110話 乗合馬車
俺たちは乗合馬車の待合室へとやってきた。
この乗合馬車はこの街至る所に、ていうか殆どの街にはある。そしてこの馬車に乗って城まで目指そうという魂胆だ。
そして馬車がどの辺りで降りたらいいのかを確認するために、俺は今路線図を確認している。
「……」
「どう?何か分かりそう?」
「うーん……大体のことはわかったんだけど、後はどういうシステムなのかと思ってな」
「そんなの後で考えたらいいんじゃない?」
「……そうするか」
何事も経験。
俺たちはとりあえずお金を各々持ち、ちょうどやってきた乗合馬車へ乗った。
……思ったより狭いな……。
現在の搭乗人数が約十数人程度。そしてさらに七名が加わったのだ。狭いと感じるのは当然だ。
「けっ……!リア充のお出ましだ……」
「あの子達結構レベル高くない?え?もちろん両方の意味でだよ?」
「ロリがいる……はぁはぁ……!」
俺たちはあり得ないくらい目立っていた。
入っていきなり場を支配したような状態になってしまった。
俺はここは目立ってほしくなかったんだけどなぁ……。まあ全員レベル高いし……一部貴族混じってるけど。
それで注目されるのは仕方ないだろう。
……ていうかこんなんだったら普通に全体に影スキルを使って、そこから飛翔と重力魔法の組み合わせで運べばよかったのでは?
そっちの方が絶対ばれなかったと思うし、こんな誹謗中傷?のような発言はされなかったと思うが。
「ねぇねぇ、ご主人様?どうしてみんなこっちを見てるの?」
「さあ、知らん」
エルには余計なことは言わないでおいた方がいいかもしれないから、俺自身も分からないフリをした。絶対に他のメンツは理解してると思うけど。
そこから10分ぐらい経った後、もう近そうなので降りることにした。
他の視線がウザかったのもその理由の一つだ。
「結局歩くんですね……」
何故か嫌そうにしていたアルス。
やっぱり魔族とかは陽の光を浴びるのが苦手なのか?
ちなみにアルスのツノは俺の幻影魔法で隠し、翼は背中にしまっている。
ていうかそうしないと騒ぎになってパネェ事態が起こるからな。
「我慢しろ。何なら俺が負ぶってやってもいいが?」
「大丈夫ですので!そんなことしたら私が何されるか分からないです!」
何故か慌てたように俺の提案を拒否するアルス。
……俺って何かやらかしたっけ?
そんなに嫌がられることをした覚えはないつもり……なんだけど。
「……まあ嫌っていうんだったら俺別にそれでもいいんだけど……」
「うん……」
どちらも気まづそうにしながら、歩く。
しばらくすると、やっぱりデカイ門がそこには聳え立っていた。
「「「「「「うわぁ〜!」」」」」」
門のところまで来ると、ほとんど全員が感嘆の声を上げた。
「そこの者、カネヤマトオル氏か?」
氏て……初めて言われたんだけど……。
「はい、そうです」
「陛下からお話は伺っております。どうぞ中へ」
そしてデカイ門が開き、俺たちを中に招き入れた。
俺たちは門をくぐり、案内役がいるとされている奥の城内へ向かった。
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