28話 沼地とハンド
俺たちは41階層のセーフティゾーンにいた。
ここら辺に来ると全然人がいないなー。さっきまではちらほら見かけていたのに。
俺たちは32から40層までを実質2時間ぐらいで踏破したので今日中にもう10階層降りることにした。
昨日の半日ぐらいで行っていたのは、主に冒険者たちのボス部屋の待ち時間が長かったせいだ。
35、40階層のボス部屋には誰も並んでいなかった。だからあんなに早く着くことが出来た。
ということで、2時間ペースなら昼過ぎぐらいにはセーフティゾーンに着くから、今は軽めにお菓子を食べていた。
「もぐもぐ。ご主人様!これ美味しいね!」
「もぐもぐ。ああ、そうだな」
俺たちは間食でシュークリームを食べていた。
生地やクリームを作るのがめんどくさかったので、シュークリーム本体を創造で作った。
これが普通に美味しいのだ。
8個入りのシュークリームを俺とエルで半分ずつ食べた。
「「ごちそうさまでした」」
俺はすぐに向かうためにいろいろな下準備をしながら、シュークリームの入れ物を片付けていた。
全てが終わり、俺たちは42階層へと足を踏み出した。
42階層は沼地エリアだった。
……これだったら50階層になるまでずっと沼なんだろうなー……。
しかもなんか泥に塗れた魚や人?みたいなものが沼地を闊歩している。
……うわー、グロっ!
あんなの視界にも入れたく無いわ。
そう思った俺は飛翔を使い一気に対岸まで行った。
もちろんエルは俺の背中にいるぞ。
なんでかっていうと、
「ご主人様におんぶてもらいたい!」
と言われてしまった。
最初にそれを聞いた時は、いきなりのことで少しテンパってしまった。
まあ、これからも結構おんぶする機会はあると思うから別にいいんだけどな。
ここら辺になってくるとエルだけじゃ絶対行けそうにないし。
42階層を踏破したあとも、やっぱり同じステージがある続いた。
そして45階層へと1時間以内にたどり着いた。
やっぱり、待ち時間が無いっていいよな!
レベリングとかするならなるべく人がしないところでやりたいものだ。
そしてボス対戦が始まる。
『……』
「「……」」
そこにはまるでド○クエのマド○ンドのような奴が沢山いた。
ちょっ!?無言で襲ってこないで!?
マド○ンドA、B、C、D、E……etc.
まあ、結局100体ほどのマド○ンドが直径50メートルぐらいのボス部屋に集結しているのである。
……ホント、数の暴力だよね。
「うわぁ!」
エルはこんなにも沢山のマド○ンドに囲まれて、すごい驚いていた。
「これ、めんどくさいな」
1匹1匹はそこまで強くは無い。ゴブリンの上級ぐらいのレベルだ。
そこは問題ないんだが……、いかんせん数が多すぎる。足場が極端に狭いため、迂闊な行動はできない。
とりあえず、土に強そうな水の魔弾を撃っては変え、を繰り返す。
そこまで強くなかったのが幸いしたのかどれも1発で倒せていた。
あ、今気づいたけど、これって飛翔使えば早いんじゃね?
空とかだったら足場とか関係ないし。
「〈飛翔〉!」
飛ぶと、マド○ンドの全体が見えた。
結構やったと思ったのに、それでもまだ150匹ぐらいは残っている。
これは大火力で殲滅したいな。ていうかしなかったらなんか復活しそうで怖い!
というわけで検索ツール。何かいいのある?
〈スキル検索……表示スキル2件。表示します〉
それで出てきたのは、一つ目が〈水魔法〉ビッグフラッド。もう一つが〈土魔法〉マッドマリオネットという魔法だった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
<ビックフラッド>
自身をの半径1メートル付近を除き、大量の水を発生させる。射程範囲は直径50メートル。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
<ナチュラルマリオネット>
自然界のありとあらゆるものを自分の意のままに操ることができる。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
これのどちらかを使うか、俺はもう決めている。
ナチュラルマリオネットは便利そうだが、今はパスだ。ちょっとビッグフラッドを試してみる。
ちょうどこの部屋も直径50メートルぐらいだしな。
「〈水魔法〉ビッグフラッド!」
俺がそう唱えると、上から大量の水がマド○ンドたちに振っていった。
おお!まるで滝の中にいるようだな。360°全部が滝なんて初めての経験だな!
……ていうかこれ後で水が一杯になって俺たちも溺れたなんてことはないよな?
そう思って下を見てみると、地面についた水は消えていた。
これは水を落下させてダメージを与える魔法なのかな?
まあ、水没の心配がなくなっなのは良かったぜ。
「ご主人様!あれってもしかして!?」
「ああ、俺の魔法だ!」
「やっぱりご主人様すごい!!」
なんだろう。エルに褒められるとすげえ恥ずかしいんだけど……。
でも純粋に言ってくれてるのがすごく嬉しい。
この滝のループは5分ほどで終わった。
そこはマド○ンドの様子がかけらも見当たらなかった。
やっぱり水が弱点なんだな。この魔法が聞いて良かったぜ。
地面に降りて、ドロップアイテムを確認する。
奴の名前はマッドハンドだった。
惜しい!ッはいらねぇ!
数が多いのでアイテムボックスに放り込むのにも一苦労した。
「ふぅ。やっと終わったか」
「そうだね……」
なんだかボス戦の時より疲れるな。
ドロップアイテムを拾わないという手もあるけど、後で何か使えるものがあるかもしれないからな。
極力残しておきたい。
「じゃあ行くか」
「そうだね……」
今回はエルも頑張ってくれたからな(アイテムを拾うという面で)。
疲れていても仕方がない。
ということで、またエルをおぶって次に使うのだった。
46~49階層は基本何もない。
なぜかっていうと、魔物との戦闘なんて一回もしてないからだ。
最速でショートカットしたら特に何もないだろ。
もうなんだか、ボス以外周回ゲームでもやってる気分になってくるよね。
というわけでやってきました!50階層!
100階層だったら半分来たことになる。
いやー、2日でここまで来るとは、たしかに超速で行くつもりだったけど、もっと時間かかると思ってた。
そして扉を開ける。
『……』
「「……」」
そこにはマド○ンドの進化系のようなギガ○ンドが現れた。
……だから無言で襲ってくるな!怖いだろ!
体のアイデンティティである手を鞭のようにしならせて、俺へと攻撃を仕掛けてくる。
攻撃を避けながら水の魔弾を込め、ギガ○ンドに向かって発砲する。
魔弾は体をいくつも貫通させる。
「やったか!?」
あ、やっべ!これをフラグって言うんだった!
ギガ○ンドは貫通したところを泥で覆い、完全に修復された。
フラグ回収早いって!
「はたしてどうしたものか……?」
こいつは多分体のどこかに核を持っているタイプのモンスターだろう。
どうしたもんかね?
まあ攻撃の速度はそこまで早くないから余裕で躱せはするんだけど、体長が20メートルほど。
上に伸びていて、ほとんど天井に届きかけている。
全力で2つの剣使って振り回して核を断ち切るって言う方法でもいいんだけど、流石にそれは俺が死ぬほど疲れる。
実際息が切れて、動きも乱れるとやられる可能性もありかもしれない。
何かいい方法は……。
「ご主人様!あの滝みたいのやってみたら?」
「それだ!」
俺はなんで思いつかなかったんだろう?
つい30分ほど前に使ってただろ!
あれなら泥を全て落として核だけやれるはず!
「〈水魔法〉ビッグフラッド!」
俺の周りに巨大な滝が現れる。
そして五分後。
綺麗に水洗いされたギガ○ンドは核しか残っていなかった。
核は直径50センチぐらいのそれなりに大きな球だった。
「そーーーれ!!」
俺はトルリオンを全力で放り投げ、ぴったり核に命中させる。
トルリオンは一瞬で核を破壊し、深々と突き刺さると、そこにはクレーターが出来ていた。
クレーターの周りにドロップアイテムはあった。
そして奴の名は……メガハンドだった。
だから惜しい!!一文字違いだ!
「ご主人様、何そんなに悔しそうな顔してるの?」
「いや、ちょっと自分の知ってる名前と合わなくて悔しくてな」
「?」
エルには分からないか。多分このネタは地球の現代のゲームをやったことしかわからないネタだな。
「じゃあアイテム集めるか!」
「うん!」
俺はエルを降ろし、回収作業に入る。
しっかりトルリオンも抜いておく。
……めっちゃしっかり刺さってるな。全力込めてやっと取れたぞ。
エルの働きにより回収も終わり、無事50階層も踏破したのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます