再会の霊

勝利だギューちゃん

第1話

(やあ、元気?)

「まあね。」

(久しぶりだね、いつ以来かな)

「3年ぶりかな・・・」

(もう、そんなに経つんだ、早いね)

「僕には、永遠に感じたよ。」


クラスメイトだった、女の子、青井凛が目の前にいる。

彼女が、旅立ってから、3年が経った。

なぜ、亡くなった彼女と話をしているのかというと・・・


僕には、見えるのだ・・・

霊が・・・


(まさか、君に霊感があるとはね、思わなかったよ)

「僕は、こうして現れてくれた事のほうが、驚きだよ」

(霊は人を見抜くからね)

違うと思う。


「随分と、明るいね。死人なのに・・・」

(私は、悔いなく生きてきたからね。それに、向こうは楽しいよ)

「そうなのか・・・」

青井さんの表情にウソはないようだ。


(あっ、凛でいいよ)

「でも・・・」

(どうせ、誰もいないんだから・・・)

「いや、いるけど・・・」

(私の事は、君にしか見えないんだから・・・)

「確かに・・・」


ちなみに僕の言葉は、心の中の言葉だ。

声には出していない。


ただ、立ち止まっているので、視線が冷たいが・・・


「で、どうしたの?ご機嫌伺いではあるまい」

(何だと思う?)

「まさか、お迎えに来たとか?」

(外れだよ、君はまだ死なないから・・・)

「そう・・・じぁあ、なんで?」


愛の告白ではないだろうな・・・

絶対に違うと思うが・・・


(その通り、違うよ)

「だろうな・・・」


残念なような、ホッとしたような・・・


(君の事は、好きだったけど、それはファンみたいな感じかな・・・)

「あっ、そう・・・」

どういう意味だ?


じゃあ、何で現れたんだ?凛は・・・


(実はね。君に会わせたい人がいるんだ)

「だれだ?」

(いいですよ)


すると、男性のご老人が現れた。

懐かしく、そして、とても大好きだった人が・・・


「おじいちゃん?」

(元気じゃったか?)


小さい頃、大好きだったおじいちゃん。

僕の事を一番可愛がってくれた。


会いたかった人だ・・・


でも、どうして来なかったんだ?

僕に霊感があるのは、知っているはずだが・・・


(あの世での生活が楽しくての、つい来るのを忘れていた)

「それで、凛に頼んだのか・・・」

(まあな)


積もる話もあるだろうが、何の話だろう・・・


(おじいちゃんが、好きだったチーム、覚えているな)

「ああ、バイソンズだろ?」

(おじいちゃんんは。一度も優勝を見れなかったが、どうじゃ?強くなったか?)

「4回優勝したよ、」

(そうか)

嬉しそうだな。おじいちゃん。


でも、消滅した事はいわないでおこう。


(でも、消滅したよね)

「あっ、凛、シー」


そのあと、おじいちゃんんは、ショックを受けるのか・・・

そう、思っていたが・・・


(まあ、仕方ないな。そうなると思っていた)

「どうして?」


おじいちゃんが、存命中にも、話はあったようだ。


(それだけじゃ。いずれ、あの世で会おう。楽しいぞ。)

「どうも・・・」

(但し、まっとうに生きた者の特権だがな)

「そうですか・・・」


おじいちゃん、元気でやっているようで、安心した。


(では、行こうか凛)

(はい。おじいちゃん)

「ちょつとまて、一緒に住んでるのか?」


ふたりは口をそろえる。


(うん!)


即答ですか・・・


(じゃあ、私も君と会えるのを楽しみにしてるから、

まっとうに生きてね)

(おじいちゃんもじゃぞ)


消えた・・・

何だったんだ・・・


それ以降も、近況報告に現れる。

来なくていい。


しかし、他の親族は現れない。

友人知人も現れない。

住んでいるところが、違うと見える。


あの世とやらも、広いんだな。


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再会の霊 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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