第517話
異世界10ヵ月と6日目。
朝からダスティンさんとの約束を果たすべく、常設型のゲートの制作に掛かる。
現在の常設型ゲートは、1対1なのだが、1対多もしくは多対多に対応出来る様にしたい。
その為、現在の常設型ゲートをバージョンアップする事にした。
構造は簡単で、コントローラで接続先を指定して、そこのゲートに接続要求を出し、認可されればゲートが固定される様にする。
コントローラは、ガラスディスプレイのタッチパネル式にして、スマホのアドレス帳の様な感じで、選択出来る様にした。
ゲートとコントローラーのセットの生産ラインを稼働させる。
次に、ゲートルーム用のセキュリティゲートの生産ライも再稼働した。(総合型宿舎の出入り口用に作った生産ラインね。)
一応常設型ゲートにも同様のセキュリティが掛かってはいるが、念の為に二重にチェックする様にする為である。
ゲートルーム自体はそんなに場所は取らないので、実際の所、ゲートとコントローラで奥行きは50cmぐらいあれば、十分なのだが、一般の目に触れる所にゲートを晒すのは拙いので、目隠し用の部屋を用意する事にし、その入り口にセキュリティキーのチェックゲートを設置するのである。
とは言え、余りにも小さい部屋に、ゾロゾロ100人ぐらいが入り、全然出て来ないとなると、悪目立ちするので、それなりのサイズの小屋にして貰う予定である。
一応、飛行場の格納庫の裏に設置して貰う予定であるが・・・。
さて、これを国内外全ての飛行場に設置して廻らないといけない。
と言う事で、弟子ズ1期生~4期生にお願いして、全飛行場の格納庫裏にゲートルームの建設と常設型ゲート設置をお願いし、やって貰う事にしたのだった。
海渡は、トリスターの外の秘密基地の格納庫裏を担当する事になった。
「何か、俺だけ楽してる感じで悪いね。」
と弟子達に言うと、
「いえいえ、お気遣い無く。そもそも我々はカイト様の手足であり、こんな事ぐらいでしかお役に立てませんので。それに、良い機会だから5期生~7期生を同伴して、訓練も兼ねますから。」
との事だった。
手足だなんて、そんな傲慢な事を思った事は無いのだが・・・ちょっと反省。
午後になると、早速ダスティンさんが防寒具の試作品を持ってやって来た。
「ご無沙汰しております。 ほう~、ここがその保養所ですか!
素晴らしい所じゃないですか! これ、本当にダンジョンの中なんですか!?」
と興味津々に辺りを見回していた。
そして、「では、早速!」と言って、脱衣所へと消えていった・・・。
「え?」
と唖然とする海渡。
横で爆笑するフェリンシアとステファニーさん。
ロビーでコーヒーを飲んで寛いでいると、やっとダスティンさんが戻って来て、
「いやぁ~、この炭酸泉でしたっけ? これも素晴らしいですね。」
と絶賛してきた。
「だよね。
まあ、それは良いとして、本来の目的を先にして貰わないとね。」
と海渡が苦笑いすると、
「ああ、そうでした! すっかり頭の中が温泉モードになってまして。
申し訳ありません。
カイト様のご指示通りの物になっていると思います。ご確認下さい。」
と試作品の防寒具一式をテーブルの上に広げた。
「うん、良いね! デザインもこちらがスケッチ画で送った通りだし、細部の出来も良いよ!
試着してみて良いかな?」
と聞くと、勿論と即答された。
なので、海渡が試着して、屈んでみたり、跳びはねてみたり、動いてみて、動きが阻害されないかをチェックした。
そして、そのまま外に出て、スノーモービルに30分程乗ってテストした。
「いやぁ~、ダスティンさん、これ最高じゃん!
保温性も抜群だったよ。 これで行こう!!」
とGoサインを出した。
その後、ダスティンさんにスノーモービルを見せて説明し、実際に試乗して貰った。
最初は防寒具無しで、試乗すると、5分でギブアップ。
次は、防寒具を着て貰って再度試乗して貰った。
「カイト様! これは良いですね。防寒具も最高ですし、スノーモービルも最高です。
もうちょっと試乗して来ます!」
とそのまま叫び声を残しつつ、丘の向こうへと消えていった・・・。
やっとダスティンさんが戻って来たのは、それから更に1時間後だった。
どうやら、顔だけ寒かったようで、鼻水が凍ってたw
「がいどざま~・・・がおがざむいでず・・・(カイト様、顔が寒いです)」と。
そこで、レーシングカート用のヘルメットか、フェイスマスク+ゴーグルを提案し、ゴーグルも販売する事になったのだった。
防寒具は、本格的な生産ラインを作成し、5種類のカラーバリエーションを販売する事にしたのだった。
後日、コーデリアのサチーさんも交え、再度防寒具とスノーモービルの体験&試乗会を行う事にした。
夕方、海渡が防寒具の生産ラインを作成し終わって保養所へと戻って来ると、第10階層のマッピングが全て終了した通知が端末に届いた。
マッピングが終了した地図を見た海渡は、何となく見覚えのあるその配置に頭を捻っていたが、不意に・・・
「これ、もしかして東京?」
と呟いたのだった。
ザックリと、皇居を中心とした山手線沿線の地形と非常に似ている気がする。
ちゃんと東京タワーの残骸もあるっぽい。
スカイツリーの残骸も少し残っている様子。
都庁が残っていたりと、割と見所満載。
金庫やその他のお宝に相当する物があるポイントを▲マークで表示すると、もの凄い数が表示された。
特に霞ヶ関辺りは▲マークで塗りつぶされた状態である。
「うっへー・・・これ全部廻るのはキツいなぁ。」
魔物の分布図を出すと、新宿御苑や皇居、浜離宮辺り、海浜公園、後は目白や白山辺りにかなり集中していた。
更に、地下鉄を線路を探索していたドローンからのデータは、現代では使われていない地下鉄の廃線のトンネルまで、全てが通れる状態であった。
しかし一部では、魔物が巣くっている様子だった。
「まあ、せっかくの面白いステージだし、せっかくだから、久々の発掘気分をジックリ味わうかな。」
と海渡が微笑むのだった。
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