第425話


「さて、まだ昼時には早いけど、どうしようか?」

と海渡が全員に振ると、


「兄貴! お願いがあります!!」

とシュタッと手を挙げるラルク少年。


「ほう!珍しいじゃん、どうした?」

と海渡が言うと、


「あのぉ、申し訳ないんすけど、ポイズン・フロッグ、マッド・サーペントを先に処分して欲しいっす。

どうも、あれをアイテムボックスの中に入れてると、心も体も穢される気がして、落ち着かないっす!!」

と涙目で懇願されたwww


「あー、その気持ちは判るわww」

と海渡が言うと、全員が苦笑いしながら頷く。


「じゃあ、そうだな、風向きからいって、東門だな。あっち側で魔石取って燃やすか!」

と海渡が提案すると、


「あー、魔石取るのか・・・」

と呟きながら全員が苦い顔で頷く。


「大丈夫だよ、奥の手考えてるから、直接手に触れる事は無いよ。   ・・・多分」

と海渡が言うと、


「なんか、微妙な間があった気がするんですが・・・」

とミケが突っ込む。


「そうか、獣人だけに、嗅覚的に余計にキツいのかww」

と海渡が言うと、


「うちも、フェリンシアちゃんもやで? 嗅覚強化スキル使わんでも、嗅覚ええねんから!」

とステファニーさん。


「まあ、光シールドでシールド内に風魔法と聖魔法で空気清浄を掛ければ、全然OKなんだけどな。」

と海渡が言うと、


「あぁ~!!」

と全員がなるほどと、頷き、ラルク少年が『空気清浄』に気付いてなかった事で、崩れ落ちていた。


「まあ、何事も勉強勉強www」

と海渡が笑う。


海渡らは、東門の外に出て、300m程、城門と街道から離れた空き地に大きめの結界を光シールドで張る。

ラルク少年がその中にドカンとポイズン・フロッグ、マッド・サーペントを全部吐き出すww


今度は海渡が、闇魔法の触手を100本生やし、3Dマッピングで魔石にロックし、魔石だけ100個ずつを抉り取る様に収納する。

フェリンシアとステファニーさんが、魔石の無くなった死体を端に闇魔法の触手で避けてくれて、サクサクと作業を進める。


「うへぇ~~ グロい画だなぁ・・・」

と黒い触手の生えた3人を見て呟くジャクリーンさんw


「まあ、気持ちは判るけど、コレ出来るのと出来ないのとで、滅茶苦茶便利さが違うからねぇ。」

と海渡が苦笑い。


「じゃあ、魔石の回収は終わったから、最高温度で一瞬で燃やすぞ!」

と海渡が宣言する。


「姐さん、俺達の後ろに下がって、余り直視すると、目が焼けちゃうっすから、気を付けて下さいね。」

とラルク少年が、ジャクリーンさんに注意を促す。


ラルク少年が大きめの光シールドを貼り、更に強烈な熱と光のリミット制御を掛ける。


「準備はみんな良いか?」

と海渡が聞き、全員が頷くのを確認し、周囲の人の反応が無い事をマップで確認後、超高温の青白い高圧縮のファイヤーボールを、死体の山に30発発射し、

着弾と同時に、煙突状の光シールドを展開した。


「ドドドドドドッコーーーーン」

と爆発音が響き、強烈勢いで、周囲の空気を吸い込み、シールドの煙突30mを超え、100m近く青白い火柱が登り立つ。


「あー、ちょっと念を入れすぎたかな・・・」

と海渡が額に冷や汗を掻いていると、直ぐさま、通信機が鳴った。


「はい、こちら現場の海渡です!」

と出ると、


「あ、アーサーなんだけど、もの凄い音と火柱が東に上がってるんだけど、もしかしてカイト君だよね?」

とアーサーさんwww


「ええ・・・すみません、ギルドから臭い魔物の処分を頼まれたので、念のために多めにファイヤーボールを突っ込んだら、多過ぎたみたいで・・・。

お騒がせしてすみません。」

と素直に謝る海渡。


「はっはっは!了解! 通達しとくよーー。 お手柔らかに頼むね!」

と通信が切れた。


海渡が振り返ると、フェリンシアとステファニーさんは、腹を抱えて笑い転げているし、弟子ズは苦笑いしている。

ジャクリーンさんは、後ろに尻餅をついて、


「こ、これが初級魔法の筈のファイヤーボール威力!?」

と白い顔をもっと青白くしていた。

お尻の辺りに水溜まりが出来ていたのを、そっとミケがクリーンを掛けていた。



10分ぐらい経って、火柱が消え、シールドを解除すると、そこは、クレーターの中の火口の様に、中が赤く溶けた溶岩が見えた。


「相変わらず、兄貴の魔法はエグイっすねwww」

と爆笑するラルク少年。


既にジャクリーンは、神に祈る様なポーズで、「ダーリン・・・いえ、カイト様❤」と片膝を付いて、両手を組んで、潤んだ目で見上げている。


火柱の見て集まった野次馬らが、遠巻きにこの様子を見て・・・更に国中へと黒の軍団のボス・・・カイトの噂が駆け回るのであった。



「良いか、みんな! この状態の中に、冷やそうと水を入れるとな、大変な事になるから気を付ける様に!」

と海渡が弟子ズに忠告する。


「ボス、具体的にどんな事になるんですか?」

とミケが質問する。


「水が沸騰すると、水蒸気になるが、この状況で、一気に水を入れると、瞬間的に全部が水蒸気になって水蒸気爆発を起こす。

過去に経験済みだwww」

と海渡が苦笑いする。フェリンシアとステファニーさんが砂嵐を思い出して、腹を抱えている。


「じゃあ、どうすれば良いんでしょうか?」

とミケ。


「まあ、放っておいて自然に冷めるのを待つか、熱自体を奪う魔法を掛ける感じかな。」

海渡が熱を奪うイメージで魔法を放つ。

すると、急速にひえてゴツゴツとした岩に変わるクレーターの底。


「「「「「「「おぉーーーーーーー!!!!」」」」」」」


と唸る弟子ズ。


「よし。これで冷えたから・・・土魔法で上から土をかけて・・・っと。ほら、元通りww」

と海渡が胸を張るw


「兄貴、証拠隠滅っすねww」

とニヤリと笑うラルク少年。


「し、失敬なw 原状復帰だよww」

と笑う海渡だった。

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