第416話
出鼻を挫かれたが、1時間半遅れで、大陸Bへとヒラメ君0号機で飛び立つ。
今回は、海渡、フェリンシア、ステファニーさんの3名+レイアとなる。
「それーー!いっけーー!!」
とテンション絶好調の海渡。
ゲートで大陸Bの一番海側へと飛び出した。
この大陸Bは、日本のある大陸よりやや大きい大陸である。
海から一番近い人の住んで居る都市?へと高度500mを音速以下で飛ぶ。
海岸沿いに集落があり、一瞬迷ったのだが、取りあえず今回はパスする事にした。
30分程飛ぶと、大きな都市を囲む城壁が見えて来た。
速度を時速200kmまで落とし、高度も200mまで下げ、海渡にしてみればかなりの低速で近づいて行く。
街道を行く馬車の御者や徒歩の旅人が驚いて見上げている。
そして、城壁の門の側に辿り着くと、慌てる衛兵にを見て、
「あー、驚かせて申し訳ない。こちらに攻撃の意思も悪意も無い。ただの観光目的であるので安心して欲しい。これより着陸する。」
と外部スピーカーで伝えて、オートランディングで着陸した。
メインキーを抜いて、リヤハッチから外に出ると、10人の衛兵が武器を構え飛び出して来た。
「何!? 子供だと?」
と10名の兵士の隊長格っぽい人が、驚いて叫んでいた。
「あー、みなさん、こんにちは。余所の大陸からこちらの大陸まで飛んで来ました。普通に観光目的です。何か美味しい料理とかあるかな?と。」
と海渡が言うと、ポカンとする兵士達。
暫くすると、隊長?が
「ダハハハハハハ!!!! 物々しく出迎えたら、美味しい料理目的かよwwww」
と大爆笑している。
「ははは、だって、美味しい物は重要ですよ? あ!でもこっちのお金って持ってないから、先に何か売らないとダメか・・・。
あ、初めまして、カイト・サエジマと言います。こっちはフェリンシア、こちらはステファニー・ヨハンソンです。
こっちの亀っぽいのは、従魔のレイアです。」
と自己紹介する海渡。
「あっと、先に飛行機仕舞いますね。」
と言って、ヒラメ君を格納すると、
「「「「「「「「「「うぉーーーーーーー! 消えた!!」」」」」」」」」」
と大騒ぎする兵士達。
「ああ、これはアイテムボックスと言うスキルでして。大きさ重さ関係無く、収納したり出したり出来るスキルですよ。」
と海渡が言うと、
「えーー!? アイテムボックス!!!」
と何やらアイテムボックスのスキルをご存知らしい。
「ところで、中に入りたいのですが、入場料とかって必要なんでしょうかね? 身分証は他の大陸の物ならあるんですけど。」
と冒険者ギルドカードを2枚見せた。
「うーーーん・・・その余所の大陸の身分証は、ちょっとここでは厳しいな。一応ここで身分証が無い場合は、一人大銅貨5枚頂く事になるのだがな・・・まあ、無ければ魔石・・・ゴブリンの魔石とかでも可能ではあるぞ?
あと、身分証の発行は冒険者ギルドか傭兵ギルドとか、商業ギルドとかのギルドカードで代用が可能だ。」
と隊長?が教えてくれた。
「なるほど!それはご丁寧に。じゃあ、取りあえず、入場は、ゴブリンの魔石3個で3人OKですかね? 他の魔物の素材の売却とかって、冒険者ギルドで大丈夫ですかね?」
と聞くと、
「ああ、入場はゴブリンの魔石3個で3人大丈夫だ。冒険者ギルドで冒険者登録すれば、魔物素材の買い取りはしてくれるぞ。
あー、但しだ・・・既に伝令が城の騎士団の方へ走って行ってるから、一応、城門の詰め所で、騎士が来るのを待って貰う必要があるんだ・・・。」
との事。
「ふむ・・・。了解しました。じゃあ、詰め所の方で待たせて貰います。」
と隊長?に案内されて、別室へ。
部屋にはテーブルとソファーがあり、海渡らはソファーを勧められ、座ると、気を利かせた衛兵の1人がお茶を持って来てくれた。
「ああ、ご丁寧に、ありがとうございます。」
とお茶を啜りながら、隊長?と談笑をする。
「なあ、カイト君だっけ? さっきのあれは、乗り物なのか?」
とヒラメ君の事を聞いてきた。
「ええ、あれは空を飛ぶ乗り物・・・魔道具ですね。他にも地面を走る、馬の要らない馬車みたいな、自動車と言う乗り物があります。」
と答えると、
「ほー! その・・・君らの大陸では、そう言う物が普通に走ったり飛んだりしているのか?」
と驚いていた。
「ああ、作ったのは去年ですが、普及し始めたのは、ごく最近ですね。」
と答えた。
「え? 作ったのは?? と言う事は、君らが作ったのか?」
と驚いている。
「ええ・・・。冒険者もやってますが、商会もやっておりまして。うちの商会で販売してます。」
と言うと、
「若いのに凄いなぁ・・・。」
と感心していた。
そこへ・・・
「ドラゴンは何処だーーーー!!!!」
と叫び声が聞こえた来た。
「え? この大陸にドラゴンって居るの?」
と海渡の目がキラリと光る!
「わぁ~♪ ドラゴン見てみたいですねぇwww 強いのかなぁ?」
とワクワク顔のフェリンシア。
「ほう! この大陸にはまだドラゴンおんねんか!!」
とステファニーさんも嬉しそうw
「あーー・・・いや・・・、それ君らの事だから。 空から見慣れない物が飛んで来てたから、ドラゴンかも?と伝令をね・・・」
と隊長?が口籠もる。
ドアがダンと開いて、
「ドラゴンは何処?」
ととても綺麗な女騎士が目をキラキラさせながら入って来た。
「あーー、ども! ドラゴンに間違われた、カイト・サエジマです。 余所の大陸から空を飛ぶ魔道具で飛んで来ました。
残念な事に、ドラゴンではありません。人間です。こちらはフェリンシア、こちらはステファニー・ヨハンソンです。」
と海渡が言うと、
愕然として、崩れ落ちた。
「なんだよーー! 折角ドラゴンと対決出来ると張り切って来たのに・・・」
とブーたれる美人女騎士。
「じゃ!私、帰るわ・・・」
と立ち直るや否や、踵を返そうとする美人女騎士。
「いやいや・・・、ジャクリーン団長!それは無いでしょう? ちゃんと仕事しましょうよ?」
と隊長?が引き留める。
「えーーー? ヤダ。面倒臭いもん。」
と美人女騎士・・・ジャクリーン団長。
思わず海渡が笑いながら、
「プッ・・・子供かよwww」
と突っ込んでしまう。
フェリンシアとステファニーさんも、ツボに嵌まったらしく、腹を抱えている。
苦笑いする隊長?。
そこへ、もう一人の騎士が、息を切らせながら、やって来た。
「やっと、追いついた・・・ゼイゼイ。 ジャクリーン団長置いて行かないで下さいよ。ちゃんと隊列組みましょうよ?」
と言ってから大きく深呼吸している。
そこで、隊長?がその後からやって来た騎士に経過を報告すると、
「へー!それは面白いですね!! カイト君だっけ? 私は、白騎士団の副団長、ラリー・フォン・ハイヤット。こちらは団長のジャクリーン・フォン・エリーゼンです。
その魔道具ってのを見せて貰う事は出来ますかね?」
と丁寧に聞いてきた。
「ええ、それは構いませんよ? 門の外に出て、お見せしますかね?」
と言うと、
「あ、いえ、どうせなら、王城の中庭でお願いします。きっと王も興味おありでしょうからねww」
と言って来た。
そこで、王城まで行く事になったのだが、どうせなら・・・と、自動車を出して乗って行く事にした。
「おい!これは凄いな!!! おい、動き出したぞ!!! おおーーー!!!」
と無邪気にはしゃぐジャクリーン団長。
横に座ってるラリー副団長は苦笑いしている。
「すみませんね・・・うちの団長が。子供みたいでしょ?」
「ははは、さっき思いましたww」
と笑う海渡。
道行く街の人達がポカンと口を開けながら、自動車と、自動車の窓を開けてハコ乗りするジャクリーンさんを凝視している。
ちなみに、この2人が乗って来た馬だが、他の騎士達が後ろに連なって引っ張って居る状態。
「なあ、カイト君! これ、屋根無いと、もっと気分良いよね?」
とジャクリーンさんが大きめの声で窓の外から言う。
「ああ、これね、サンルーフと言って、屋根も開くんですよ? あと、別の形状で屋根の無い自動車もありますよ。」
と言いながら、サンルーフを開けると、
「おおお! あるんじゃん! 凄いなwww」
とハコ乗りを止めて、今度はサンルーフから顔を出しているw
「キャッホーー♪」
と無邪気に奇声を上げるジャクリーンさん。
街の中を走りながら街並みや住民を見て居ると、雰囲気や規模としては、ワンスロット王国の雰囲気と似ている。
「何となく、ワンスロット王国と似た雰囲気だね。活気もあるし、良い感じだね!」
と海渡が感想を漏らすと、
「ほう、それは褒め言葉として受け取って良いのですか?」
とラリーが、聞いて来た。
「ええ、一応友好的な国として高評価だと思って頂いて問題ないです。まあ、あとは王城で・・・どうかと言う所ですがね。
ああ、申し遅れましたが、一応、そちらの王様に謁見するのであれば、私も神王国 日本の王としてお会いした方が宜しいでしょうかね?
まあ、今は楽しむ為のお忍びではあるんですが。」
と海渡が言うと、
「え!? カイト君・・・いやカイト様は、一国の王なのですか!? それは大変失礼致しました・・・しかも御者の真似までさせてしまいまして・・・
飛んだ無礼を・・・申し訳ありません。」
とラリーさんが、慌て出した。
「ああ、気にしないで下さい。つい数ヶ月前に国を立ち上げまして、まだまだ新米ですから。それにね、うちの国って王制ではあるんですが、割とそう言うの気にしない風潮なんですよ。
まあ、元々こんな子供ですし、王様だからと威張ったりする為に国を興した訳じゃないですからね・・・」
と言って事の成り行きを説明したのだった。
「ええっ!? ちょっと待って下さいよ? じゃあ、今のストーリーを聞いた限りだと、カイト様を含め、こちらのお二方と、他にお弟子さん7名の10名しか出て来ませんでしたよね?
その帝国ってのは、聞いた話だと、この大陸とほぼ同じぐらいで、その約1/4を統治する国って事でしたよね? それを10名で滅ぼしたって事ですか!?」
と少し汗を掻きながら聞いて来た。
「そうなりますね。まあ先ほど言ったように、ワンスロット王国とコーデリア王国は、各自の国境に出兵しましたけど、結局ほぼ交戦せず、無傷でしたからね。
でもね、もし、国民が一丸となって一致団結し、愛国心に燃えて戦う様な国だったらこうは行かなかっただろうし、そもそも滅ぼす事も無かったかも知れませんね。
と言うか、向こうが仕掛けてこなかったら、そっとして置いたんですけどね。
チョイチョイ仕掛けて来て鬱陶しい奴らだったんでね・・・。
とにかく、そんな国だったんで、もう国を立ち上げて、全てを完全に正常な国に戻すのが、大変で大変で・・・。(と、遠い目をする海渡)
3ヶ月も掛かっちゃいましたからね。
大体、国民が飢えで苦しんでいるのに、内政放ったらかしで、侵略戦争を仕掛ける・・・それも勝ち目の無い戦争ですよ?
もっと他にヤル事あるだろ?と思っちゃいますよねぇ?」
と海渡が吐き捨てる様に言うのであった。
それを聞いたラリーさんは、ゴクリと生唾を飲み、背中には冷たい汗を掻いていた。
『この子、ヤバいんじゃないの? そもそも王でありながら、幾らお忍びとは言え、お供がたった2人ってのもヤバい。まあ従魔の亀は戦力外?
いや、もし本当ならヤバい・・・でもあの空を飛ぶ魔道具、この自動車・・・どれを取っても実在の物・・・そうするとこの子の言っている事は信憑性あるよな。
事実、俺の直感も、事実を言っていると訴えている。この直感外れた事が無いんだよな・・・。
しかも、話の最初の方に出ていたワイバーンとか、普通に災害級の魔物だよな。
それを討伐出来る実力があると・・・。』
と頭の中で自問自答していた。
そして、30分程走ると、その珍妙な列は王城へと入って行ったのだった。
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