第368話
--------オスカー-----------
朝食の時間、突然食堂の巨大ディスプレイが起動し、ライブ映像と音楽が鳴り響いた。
全員が注目する中、カイト様の声が響き、帝国が一瞬で終わった。
「わぁ・・・これまた派手にやりましたね。」
と思わず声を漏らした時、巨大な火柱が画面に映し出され、残されたのは、溶岩の池だった。
声を上げるのも忘れ、全員が見つめる中、カイト様の声で、治安維持の為の禁止事項が読み上げられた。
暫くの沈黙の後、
「ワァーーー」と言う歓声と、拍手が鳴り響いたのだった。
後で聞くと、他の支店も同じだったらしい。
いやぁ~、全くもって凄い方にお仕え出来たものだw
毎日が驚きの連続なのだが、お陰で、美しく愛おしい妻も出来る。
一生、カイト様のお役に立てる様に頑張りたいと 心を新たにしたのだった。
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--------ワンスロット王-----------
カイト君がやりおったw しかも反乱の『は』の字さえ思い浮かばない程の方法で。
ああ、ワシはなんと幸運なんだろうか。
少なくとも彼がワシの国に辿り着き、根を張ってくれた事の幸運を感謝したい。
しかしなぁ・・・この先、あの帝国をどうするかが、まだ決まっておらんのじゃ。
それこそ、カイト君が纏めてくれれば本当に最善なんじゃがなぁ。
あとでコーデリア王と話さなければ・・・。
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--------コーデリア王-----------
うぉーーーーーー!!! なんなんだ、あの一方的な蹂躙劇は!
派手に行くって言っておったけど、圧倒的・・・いや、正に神罰だったな。
あ・・・嫌な汗が背中と言い、脇の下と言い、額に流れとる。
あ!光った!? 青白い火柱が!!! そして、残ったのは火山の火口の様な赤いドロドロとした溶岩・・・。
ワシは何と危ない少年を怒らせたのか! あっぶねぇ~・・・。
いや、ギリセーフじゃった筈。
あの少年とは末永く仲良くせねば・・・。
とにかく、温泉じゃ! 温泉を作って貰わないとなwww
しかし、問題はあの帝国の統治の事だな。
どうするかのぉ。
人員を廻すにも、旧帝国領土は巨大過ぎるんじゃよ。
それに、元々我々エルフ族もドワーフ族も、侵略してまで領土を広げたいとは思わんし、人族の様には人口は増えないんだよなぁ。
ワシも頑張って、もう1人ぐらい奥様に産んで頂くかのぉ・・・グフフ
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治安維持モードに移行した海渡の乗る0号機の中、海渡達は、ジュースで乾杯し、談笑していた。
まあ、少なからず人の命は消えたのだが、因果応報、自業自得である。
そして、休憩の後、両国の王様へとパーティーラインで連絡を入れたのだった。
「どうも、海渡です。一応、こちらの仕事は全部終えました。後は宜しくお願いしますね!♪」
と海渡が言うと、
「「ありがとう。お陰様で我が国の兵には損害0で、守る事が出来た。」」
と両国の王様より、お礼の言葉を頂いた。
「まあ行き掛かり上の話なので、そこは気にしないで下さい。
それよりも、早めに統治の割り振りお願いしますね。あ、あと宮殿や貴族の倉庫から事前に救援物資は奪取済みなので、ご安心下さい。
後でその時の映像をお見せできますよwww」
と思い出して笑い出す海渡。
「あー、その何じゃ、今後の事についてなんじゃが、カイト君も交えてトリスターで3者会談出来んかのう?」
とワンスロット王。
「そうそう、事前に色々相談したい事もあるし、当事者が集まって話す方が早いからな。」
と乗っかるコーデリア王。
「ああ、私はもう特に用はないので、今日の午後からは大丈夫ですよ?」と言うと、
色々あるので、明日の午後1時にトリスターの領主館で・・・と言う事になったのだった。
どう考えても面倒事の匂いしかしないので、
「まさか・・・ですが、ただの平民の6歳児俺に、厄介事を押しつけようとか考えてませんよね?」
と釘を刺しておく海渡。
そんな海渡の反応に、通信機の向こうで冷や汗を掻く両国の国王だった。
「まあ、詳しくは明日トリスターでな!」
「ああ、明日な!」
と早々に通信が切れたのであった。
「あ・・・逃げやがったな・・・ 嫌な予感しかしないのだが。」
と海渡が呟くと、フェリンシアもステファニーさんも、ウンウンと頷いていた。
「なぁ、カイト君は統治して、カイト君の思い描く様な、理想の国を作りたいとは思わへんの?」
とステファニーさんが聞いて来た。
「理想の国ねぇ。全員が全員満点と評価する様な国は作れないし、どんなに良い国だとしても、何処かに歪みはあるものですよ。
全員の理想が同じ訳じゃないですからね。逆に洗脳された様に同じ方向しか向いてない国・・・それはそれで怖いですよ?
上手くバランスを取るってかなり困難ですからねぇ。」
と日本や元の世界の色んな国の事を思い出す海渡。
「例えばですが、王制や君主制ではなく、民衆から選ばれた代表者が一定期間政治を行う民主制ってのがあるんですが、それも善し悪しなんですよ。
これは、ちゃんとしたある程度の成熟した民度の国じゃないと、政治家にまんまと乗せられ、騙されて、気が付くと飛んでもない事になって、いたりするんですよ?
あるお人好しの国があって、その国では、性善説を信じてて、人間話せば判る、生まれ持っての悪人は居ない、困った時はお互い様 って難民や移民を受け入れ、その国に忠誠さえ誓っていない連中を、ホイホイ受け入れちゃったんですよ。
その結果、どうなったと思います? 国民に情報を流す機関や映像を流す機関に、ドンドンその連中が入り込んで、気が付くと、国を乗っ取られる寸前になっちゃったんですよ?
民衆が選ぶ代表者・・・これの元々の自国民側の候補者に対するデマや不利な情報をドンドンねつ造して、国民に信じこませ、自分らの代表候補を持ち上げて、世論を作るんですよ。
それで、気が付くと、その国の代表者が、元々違う国の奴で、元の国に有利な政治を行っていた・・・ 怖いでしょ?」
と言うと、ステファニーさんが、ブルブルと震えていた。
「なるほど、色々と難しいねんなぁ・・・」
と呟いていた。
「で、その国はどうなっちゃったんですか?」
とフェリンシアが聞く。
「本当に幸いだったのは、ギリギリの所で自国民側の代表に代わったんだよね。
それで、そう言う情報機関からの情報を、国民が信用しなくなってね、情報機関がこう言ってる・・・じゃあ、その反対が正解だ!ってね。
一応、なんとかギリギリ盛り返そうとしてるみたいだったよ。
まあ、相手側がバカで、すぐにポロポロと言ってる事の矛盾が明るみになってね。
でも、その後は俺も知らないんだよね・・・。」
と締め括った。
「まあ、話は戻るけど、商会1つでも面倒なのに、国ってその何倍か?って事だよね。
まず、人材が足りなさすぎるし、完全にキャパオーバーだよね。
俺、ほら6歳児だよ? 無理だろ? 誰がこんな6歳児に着いて来る?」
と苦笑いしたのだった。
そして、海渡は秘密基地へとゲートで移動し、飛行機に乗り換えてトリスターへと戻ったのだった。
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