第355話


その後も罠のオンパレードで、廊下の壁から無数の槍が出て来たり、お馴染みのドアが閉まって天井が落ちてくるシリーズや、水攻めシリーズ、大きな回転刃の横薙ぎシリーズ等が登場した。


そして、振り出しに戻り、最初の分岐まで戻って来て、真っ直ぐに直進。


「いやぁ~、ここまで見事にスカだったなwww」

と笑う海渡。


「でも、それなりにマギ宝石とか、コザコザしたお宝?はでましたよねw」

とフェリンシアが苦笑しながらフォローする。


そう、今まで出て来たのは、アダマンタイトの長剣、片手剣、短剣、槍や、オリハルコンの長剣、盾、短剣、槍や、ミスリルの長剣、片手剣、短剣、ミスリルのフルメタルアーマー等等。

魔剣とか鑑定に出るけど、付与内容が微妙な物が多かった。

極めつけは、全部西洋剣で、刀が無かった事・・・まあ当然ちゃぁ当然なんだろうけどね。

一番酷かったのは、武器庫になってる部屋に出たんだが、壁一面の棚にミスリル剣が各種沢山立てかけてあり、「おお、これは良い本数あるじゃんwww」と喜び掛けたが、どれもガッチリ棚にひっついていて、離れなかった。

しかも、その途端にドアが閉まり、水攻めにあった事。


全員を先にゲートで逃がし、海渡は頭にきたので、棚ごと剥ぎ取って収納したwww


また海渡達が微妙な反応をする要因の一つは、使われている金属にもあった。


この世界の金属では、堅さ基準だと、


アダマンタイト>オリハルコン>ミスリル>鋼鉄


魔力の伝導率基準だと、


ミスリル>>鋼鉄≒オリハルコン>>アダマンタイト (>>間は大きな隔たり)


軽さ基準だと、


ミスリル<鋼鉄<オリハルコン<アダマンタイト


となる。じゃあ、大体中間地点のオリハルコンって、万能なんじゃね? と思うかも知れないが、それがそうでもない。


重さで叩き斬る西洋剣なら良いかもしれいが、比較的重い。加工し辛い。熱を入れすぎると強度が下がる・・・等余りメリットが少ないのである。


更に、海渡が作る合金が優秀なせいで、上記の順位が大きく変わる。

骨粉入りの合金は、どれもが優れ、更に魔力を通す事で、アダマンタイトよりも堅く、単純なミスリルよりも魔力伝導率が高く・・・良い事尽くめなのである。

つまり、ここでGetしたお宝を無理して使う必要性が無い・・・と言う事だ。


「なんか、気のせいか、ダンジョン椰子ガニを発見した時の方が、断然テンション高かったすよww」

とラルク少年が言うと、


「「「「「「「「ああーー!」」」」」」」」と全員が同意していたw




さて、最初の分岐を真っ直ぐ進むと、また何度か曲がり、上への階段が出て来た。


「ほう、ここで2階へ上る階段か・・・。 うーーむ、興味深い。」

と海渡。


階段の仕掛けを気にしつつ、登ると、2階に出た。

真っ直ぐな廊下の先には3階への階段が見えており、途中に一箇所大きな扉があった。


扉を開けると、王の謁見の間の様な大きなホールに両脇は巨大な石の柱、目の前の遙か向こうには王座があった。


「どう見ても謁見の間だよな。」

と海渡が呟き、全員が入ると後ろの扉が閉じて、松明が周囲の柱に灯る。


すると、無数のワニ顔の石像が柱の陰から出て来た。 セベクと呼ばれるワニの神・・・。


「よし、散開して各個撃破だ!」

と海渡が号令すると、


「「「「「「「イエス・サー」」」」」」」

と全員が散って、魔法や斬撃を放ち、ザクザクと破壊して行く。


セベクの石像も、石像にしては、かなり俊敏な動きを見せるが、身体強化、身体加速を使う海渡らに取っては、カタツムリの動作に近い。


彼方此方に、石像の破片や魔石が落ちて居て、段々足場が悪くなってくるが、お構いなく撃破を続ける。


不思議と何体壊しても減る気配が無い。


30分程した頃、

「あ、兄貴! 何か全然減らないんすけど・・・」

と少年少女らがの泣きが入って来た。


海渡は理由が分かっていたが、魔石がゴロゴロ出るので、気にせず、「わーい、魔石採取だーww」って乗りでホクホクしながら殲滅していたのだが・・・。


「あー、すまん、魔石が沢山出て来るから、思わず喜んでたw 王座に居る奴やっつけたら、多分止まると思う。」

と遠い王座に座っている、隼の頭を持つ、ラーの方をちらりと見る海渡。


海渡は一足飛びに目の前のセベクを飛び越え、ラーに斬り込む。


すると、生意気に、ラーが火炎弾を放って来た。


瞬時に回避しつつ、超高速回転アイスランスを10発放つと、最初の3発はラーの前でガキンと音がしてシールドに弾かれる。

続く2発でシールドにヒビが入る。


そして、その次の3発でシールドがバリンと割れて、残り2発がラーに着弾した。

「グァーーーーー」

と言う断末魔の咆哮と共に全ての動きが止まった。セベクの石像も・・・。


「ふぅ~。やっぱこいつだったかw」

と海渡が崩れたラーの石像から魔石を取り出した。

出て来た魔石は意外に大きく、オークキングのより上質であった。


「兄貴~~、知ってたなら、もっと早く倒して下さいよぉ~~」

とラルク少年に嘆かれた。


海渡もフェリンシアもステファニーさんも全然消耗はしてなかったのだが、ケモ耳ズではプリシラが、少年少女隊は3名共にハァハァと肩で息をしていた。

なので、取りあえず、良く冷えたハチミツ水を全員に渡して休憩に入ったのだった。


「なんか、悪かったな、余りにも無限に魔石が出て来るから、ついつい嬉しくなっちゃってさww」

と海渡が謝ると、フェリンシアとステファニーさんがクックックと笑ってた。


ケモ耳ズのプリシラ以外は苦笑、他グッタリ気味の4名は愕然としていた。


「まあ、元々の身体能力の出発点が人族は低いから、スタミナ面は鍛えるしかないな。そのうち、今ぐらいの戦闘では、全く息切れしなくなるぞ? 成長期に期待だなw」

と海渡が言うと、頑張ります! との事だった。


更に水分補給を行って、軽食を出して、英気を養う。

30分程の休憩の後、散らばった魔石を全部拾い集め、邪魔なセベクの破片も一気に収納して綺麗にし、謁見の間を色々と見て回った。


結果は上々で、謁見の間の裏の倉庫にミスリル、オリハルコン、アダマンタイトのインゴット(高純度)が数十トンあった。

更に嬉しい誤算は、収納したラーが持っていた杖は魔法の威力を2倍に引き上げる効果のある杖、セベクが使っていた槍や剣は全てミスリルだった事。


「なんだかんだで、美味しい部屋だったなwww」

と喜ぶ海渡であった。


ちなみに、謁見の間はラーを倒した際に、閉まっていたドアが開き、外に出られる様になっていた。


海渡らは、謁見の間を出て、3階への階段を上ったのだった。

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