第335話
解体するにも獲物が無いと言う事で、海渡は持ってる中で、切れ味の良さそうな物を選び、全員に渡す。
がしかし、海渡が渡した、盗賊からの巻き上げ品などでは、皮膚すら切れない事が判明・・・。
切れるのは、フェリンシア、ステファニーさんに渡した刀やナイフ。ケモ耳ズの3名は自分の武器に付与を付ければ、何とか切れるぐらいらしい。
なので、大解体大会は急遽中止し、食べる分だけを取りあえず海渡が愛刀で切るハメになってしまった。
ケモ耳娘の勘を頼りに一番美味しい部位を指示させ、その部位をサクッと切り取ったのだった。
サンド・ワームから吹き出す紫色の血の噴水に、ビビる海渡。
咄嗟に光魔法のシールドで直撃は避けたのだが、どうせだから、血抜きもするかと、闇魔法の触手のチューブで血管に水圧を掛けつつ、チュウチュウと吸い出す。
人族の6歳の可愛い男の子。
その背中から生える黒くウネウネした何かが、チュウチュウと血を吸い出す絵面を見て、ドン引きするケモ耳団67名。
いや、別に海渡が飲んでいる訳ではないのだがな・・・。
やっと血抜きも終わり、残った巨体は収納した。紫の血の海になった地面をクリーンで綺麗にする。
見ると、結構な人数が紫のシャワーを浴びたらしく、酷い有様だったので、そいつらも綺麗にクリーンを掛けた。
そのまま、大食堂の厨房に入り、みんなの要望で、朝からステーキとなった。
切り取った肉だが、ウッヘーな外観からは、想像出来ない程に、程よく綺麗なサシの入った霜降り肉。
「いやぁ~A5ランクの国産和牛もビックリな肉だな。これなら筋とかなさそうだなぁ。」
と独り言を言いながら、肉のブロックから2cm厚のステーキをドンドンと切り出して行く。
オリーブオイルを肉表面に塗して、岩塩と胡椒を塗して行く。
キッチンの巨大な鉄板を熱して、その上にバターを落とし、次々とステーキを置いて行く。
その数100枚。
換気扇を回しているのだが、肉の焼ける素晴らしい匂いが堪らない。
付け合わせのニンニクスライスもバターでコンガリ焼いて、焦げる前に素早く回収する。
肉の片面に丁度良い焼き色が付いた頃を見計らい、ドンドンと裏返していく。
そして、蓋を被せて中の熱でジックリと火を通す。
時々、肉汁と合わさったバターの汁を掬って肉の上に掛けて更に蓋をする。
丁度良い頃合いで、皿に盛り付けて行き、付け合わせのニンニクスライスを乗せ、完成。
パンやスープは食事用ストッカーから出した。
席に着いて、全員でいただきます!
ドキドキしながら、フォークとナイフで一口分を切り、小皿に入れた岩塩に少し付けてパクり。
「おーーー!!!! おいしい。」
いや、本当に美味しい。
塩だけで美味い。
他のケモ耳ズやケモ耳団の連中も、余りの美味さに悶絶している。
「いやぁ~、朝からステーキとかウヘッって思ってたけど、いけるもんだねぇ~www
まさか、俺が2枚食うとは思わなかったよw」
と爆笑する海渡。
まあ、しかし、他は全員4枚ぐらい食いやがって、その間、ズーッと俺が焼いていた訳だがな。
フェリンシアとステファニーさんなんか、
「ヤリ切りました!」って笑顔で白旗上げてるし。
ケモ耳ズとケモ耳団の全員は余韻でトリップ中の様だ。
海渡は、キッチンを片付け、使った皿類も全部クリーンを掛けて収納棚に戻した。
キッチンはこれでOK。
後は食堂を片付けて終わりだな。
「おーーい、お前ら、いい加減、こっちの世界に戻ってこーーい!」
と大きめの声を言うと、
ハッとした表情で復帰しだした。
時刻は7時40分。
「お前ら、この食堂の掃除して、荷物を持って8時までにエントランスに集合な! 残り20分。Go!」
と言うと、
「「「「「「イエス・サー!!」」」」」」
と一斉に動き出した。
言われずとも、テーブルの上を拭き、調味料類もキチンと戻し、テキパキと5分で片付け、それぞれの部屋に戻って7時55分には全員集合した。
「何か忘れ物とか無いか? 2週間ぐらい取りに来れないぞ?」
と言うと、
「「「「「大丈夫です。ボス!」」」」」
と全員が声を揃えていた。
何かいつの間にか、こいつら全員ボス呼びに変わってやがる。
13台の車を出して分乗し、海渡、フェリンシア、ステファニーさんとパイロットスキルのある10名がそれぞれ運転する。
早朝の街を魔動自動車13台でノッタリと走り、東門の外の空港へと到着した。
飛行機2機、海渡の2号機と、フェリンシアの真っ赤な3号機を出して、それぞれ乗り込む。
全員がシートベルトをしているのを確認して、2機が離陸した。
ショートカットする事も考えたのだが、取りあえず暫くはこのまま飛ぶ事にして、交代で操縦を教え、パイロットスキルを生やしていく。
フェリンシアの方でも同じ様に、スキルを生えさせているらしい。流石はフェリンシア。
5時間ぐらい飛んだ頃、前方の方小さく絶界の森が見えて来た。
更に1時間程飛んだ所でようやくトリスターの城壁が小さく見えて来た。
既に全員スキルは生えており、先ほど簡単なサンドイッチを昼飯代わりに食べて終えている。
トリスターを左手前方に見つつ、速度と高度を落とし、着陸態勢に移る。
ステファニーさんが、事前に到着予定時刻を連絡してくれたらしく、滑走路の周りには、数人の陰が見える。
オートランディングで着陸して、到着。
「長旅お疲れ様ー、到着したぞー!!」
と声をかけ、リヤハッチを開ける。
滑走路に降りたケモ耳団の面々が、
「「「「おお!城壁が立派だ!!!」」」」
と妙な感動の仕方をしていたwww
「あぁ~、ねぇ。あれと比べちゃダメだよねwww」
と海渡が苦笑いする。
「カイト様、お疲れ様です。」
とオスカーさんとヨーコさんがやって来た。
「悪いね、休みの日なのに。」
と言うと、
「いえいえ、あまり休み長いと、ヤル事なくてw それにカイト様居ないと、暇でwww」
とヨーコさんが、笑っている。
「カイト様の方は、相変わらず、充実した日々をお過ごしだったようでw」
とオスカーさん。
「結構面白い国だったよ、サルド共和国! 多分行けば判るけど、首都に入る手前から面白い国だったよw」
と褒めておいた。
「え?入る前に何かトラブルでもあったんですか?」
と鋭いオスカーさん。
「まあ、後で落ち着いて報告するよ。 それより店の方とか従業員の方は何もなかった?」
と聞くと、
「ああ・・・、ラルク少年とアンとサニーが、毎日悲しそうにしていましたwww」
とオスカーさんが笑っていた。
「よし、お前ら! この方が、総支配人のオスカーさん、そしてこちらが総務の支配人のヨーコさん。手を出すなよ? オスカーさんの婚約者様だからな! この2人がさえじま商会のNo.2にして、実際の運営をしているブレインだ。
粗相の無いようにたのむぞ! あ、それとこれから街の中に入るけど、お前らの中で人相の悪い奴は、特に住民を威嚇したりするなよ!! 怖いからw」
と言うと、
声を揃えて、
「「「「「イエス・サー!!」」」」」
と敬礼していたwww
オスカーさんとヨーコさんは、ドン引きしていたw
いつまでそのノリで行くんだろうか?
と笑う海渡であった。
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