第328話
ゴンザレスさんが帰って行き、入れ違いにプリシラやケモ耳ズが戻って来た。
ケモ耳ズは、両親や友人と会って来たらしい。
「そうか、久々に逢えて嬉しかっただろ? 心配されなかったか?」
と聞くと、
ニヤニヤ笑いながら、
「それがですよ、ボス! さえじま商会に入ってると話した途端に、大騒ぎになってしまいましてねw」
とミケが言う。
「え? もしかして反対されたとかか? 俺から挨拶に行った方が良いかな・・・」
と思案していると、
「いや、その逆ですよ、真逆!www 親父ったら、お前!あのSSSランクのカイトさんところに居るのか!! あの建物はどうなってるんだ!!とか大騒ぎっすよwww」
とミケが言うと、
「あーー、やっぱりミケの所もそうだったんだねw うちもそうだよw」
「ふふふ、うちも同じw」
とパトリシアとキャスが大笑いしている。
「そ、そうか・・・まあ反対された訳じゃないから良いとしよう。」
逆に、 ゴラッ!!うちの大事な娘を好き勝手に魔改造してくれてるねん!!! とかって言われ無くて良かったよw
とちょっと安心したのだった。
「そして、Bランク冒険者にまでなったと言ったら、更に大騒ぎになっちゃいまして。親父とか兄貴とかと軽く試合する事になりまして・・・。」
とミケが言うと、残り2人も、ああ、お前もか! って顔をしてる。
海渡は、少し冷たい物が流れるのを背中に感じる。
「で? どうなったんだ?」
「ああ。当然コテンパンに伸してきましたwwww あースッキリしたぁ~♪」
と3人共に同じ結果だったらしく、腹を抱えて大笑い。
「おいおい、殺してないだろうな?」
と聞くと、
「ああ、一応、ヒールも掛けたので・・・ダイジョウブデス・・・」
と何故か後半だけ片言になっていた。
フェリンシアとステファニーさんは後ろで腹を抱えて笑ってるし・・・。
うん、聞かなかった事にしよう。
「さ、そろそろ夕飯の準備しよっと・・・」
と目を逸らして、席を立とうとする海渡だった。
しかし、プリシラに呼び止められ、回収してきた代金を渡された。
これで、サルド共和国の貨幣が黒金貨まで揃ったので、早速レジのプログラムを改修し、アップデートを掛けた。
店舗に裏口から入り、3階の事務所のレジから、その金額を打ち込んで、投入した。
それを見ていたプリシラが、色んな意味で驚いていた。
「ん?レジが不思議なのか? これは自動で計算してくれる魔道具だぞ。 接客が時間短縮されるから導入しているだよ。」
と言うと、
「いや、確かにそのレジにも驚きましたが、集金したお金を全部すぐに商会の方に回した事に驚きました。」
と言う。
「ああ、自分の懐に少しも入れないのか? って事かな?」
と聞くと、
「ええ、普通はそうする物だと思ったので。」
とプリシラが言う。
「そうか。まあ普通はどうか知らないけど、うちは、他のスタッフがそうであるように、俺やフェリンシアも全員、売り上げた金額はそのまま会計に回してるよ?
自分のお金ってよりも、商会のお金だからね。スタッフ全員で稼いだお金を、横から取るなんて事はしないね。
第一、商会のお金が無くても、普通に買い物したり食べたりは出来るぐらい、冒険者で稼いでるからね。」
と説明すると、「あぁ~~」と納得していた。
そう言えば!!! と思い出して、アイテムボックスの中を確認すると、過去に絶界の森のオークの集落で取得した硬貨の中に、サルド共和国の貨幣を発見した。
「あっ!!」
と声を上げ、崩れ落ちる海渡。
「ど、どうしたんですか? 大丈夫ですか?」
と慌てて駆け寄るプリシラ。
「いやさ、3ヶ月ぐらい前にオークの集落を1つ潰したんだけど、その時オークの倉で発見した不明な硬貨が沢山あったんだよ。
で、アイテムボックスの中に入れて、今の今まで完全に忘れてたんだけどね・・・ さっき初めて黒金貨を見た時に、あれ?前に見た事あったような・・・って思い出してさ。」
と説明すると、ドン引きしていた。
「え?つまり、知らない間に実はサルド共和国の黒金貨を持っていたって認識で合ってますか?」
とプリシラが聞く。
コクリと頷き、
「うん・・・343枚程。 正確には、黒金貨343枚、白金貨287枚、金貨539枚、銀貨211枚、大銅貨897枚、銅貨1021枚あるね・・・。うーん、ギルドで降ろす必要無かったな。」
と海渡。
「何ですか! その国家予算並みの手持ち金額は!!!!」
と絶叫するプリシラ。
「うん、大丈夫。また忘れるから!!」
と海渡はスクッと立ち上がり、余所を向いて口笛を吹いてみるのだった。
立ち直った海渡は、夕方近いので、夕食の作成に取りかかる。
夕食メニューは、タンカー・ホエールのステーキに、マリネサラダ、マギマッシュの茸スープ、パン、あとは付け合わせのポテトやニンジン等。
デザートにアップルパイを付けた。
そして今夜の夕食もフィーバーするのであった。
ケモ耳の女性の何人かは、「もう、ボスの料理にメロメロですぅ~♪」とか言いながら、お替わりしていた。
本当にあんたら全員、滅茶苦茶食うよね。
ヤバいな、本格的に調理スタッフを増強しないと、こいつらだけで下手な支店2~3個分は食いそうだし、アニータさんが倒れちゃう・・・。
と背中に冷たい汗を掻く海渡だった。
夕食が済んで、風呂から上がり、風呂上がりの冷たいミルクを飲みながら、明日の予定を考える。
やりたい事、やるべき事は全部完了し、特には思いつかない。
「ねえ、明日って何かやりたい事ある?」
とフェリンシアに聞いが、フェリンシアも特に無いらしい。
まあ、明日起きて、他の人の意見も聞いてみて決めるとしよう。
なんか、観光名所とかあれば良いんだけどなぁ・・・・。
とベッドで横になって考えながら、意識手放すのであった。
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