第312話
異世界3ヵ月と7日目。この世界の暦では12月27日。
今日は、さえじま商会の仕事納めの日である。
夕方までには戻って来て、挨拶をお願いします とヨーコさんに釘を刺されているので、サクサク進める予定である。
日の出前から、フェリンシアを起こして、軽く2人で実戦形式の訓練を行い、朝風呂で汗を流し、弟子達を叩き起こすww
「「「「「「・・・おはようございます・・・」」」」」」
と半分寝ぼけているが、
「よし、目を覚まさせる為に、実戦形式の掛かり稽古をヤルかw」
と海渡が提案し、弟子ズvs海渡フェリンシアの実戦稽古を開始する。
開始早々、極微力な雷撃を6発ヒットさせ、弟子ズの目を覚まさせる。
「さあ行くぞ!」
と海渡とフェリンシアがスキル無しで踏み込む。
海渡は横薙ぎの一振り、フェリンシアは二刀による連撃を繰り出す。
慌てた弟子ズがスキル全開で、バックステップしたり、木刀で受け流したりしている。
更にペースを上げて追撃を開始する海渡とフェリンシア。
早朝から容赦ないが、
「お前ら、夜中の就寝中だって、襲撃される事はある。寝ぼけてるから待って下さいなんて通用しないからな?」
と海渡が檄を飛ばす。
30分ぐらいの朝の稽古で6名はぶっ倒れ、ゼイハーと肩で息をしていた。
骨粉入りハチミツ水を飲ませつつ、10分の休憩させる。
その後、型稽古を20分させ、15分のソロプレイを1回やらせて、朝の稽古を終了。
朝食はスタンダードな朝食にして、サクッと済ませ、今日も絶界の森へとゲートで飛ぶ。
今日は、昨日のゴブリン集落からスタートし、自分らの足で、森をかなりのスピードで走破しつつ、遭遇戦をやらせる。
ラルク少年が、
「うーん、兄貴と姐さんのペアを相手にするより、これだけ走り廻って遭遇戦する方が、全然楽ってのはwww」
と笑っていると、残りの5人も激しく同意していたw
ビッグ・ボアの群れ10頭を瞬殺して収納、ワー・ウルフ50頭の群れを撃破しながら収納、ワイルド・シープの群れ73頭を撃破して収納、はぐれオーク数匹を撃破して収納~~(ry
2時間の内に相当数の魔物を撃破し、小休止を入れた。
その先に、リザードマンの群れがいるからである。
骨粉入りハチミツ水を飲ませ、軽くサンドイッチを摘まむ。
「この先に、リザードマンの群れが居る。軽く53匹ぐらいだな。リザードマンの外皮は鱗で覆われていて、非常に堅い。
おそらく、今までの敵よりも堅い。動きはそれ程速くはないが、力が強く、組み付かれるとやっかいな相手だ。更に尻尾による攻撃にも気を付ける必要がある。」
と伝える。
リザードマンを知っているケモ耳3人は、少し顔色を変えていた。
そこで、海渡はラルク少年に、問題を出す。
「ラルク、外皮が硬い相手にはどうやって攻撃すれば良い?」
「はい。外皮が硬い場合、刀や槍などに、『鋭利増加』『貫通増加』『斬撃加速』等の付与を掛けて鱗の下まで打撃を与える必要があります。又は魔法による攻撃を口の中に仕掛け、内部から破壊するか・・・ですかね?」
と答えた。
「うむ。そうだな。 あと外皮に耐魔法攻撃等の効果が無ければ、電撃による攻撃が効いたりするぞ!」
と海渡が補足する。
顔色を変えていたケモ耳3人も、付与が出来る様になったのを思い出し、少し顔色が戻って来た。
「あとな、沼地だから、足場の良い所で戦う様にしないと、スピードで撹乱出来ず、アウトとなるから場所取りに留意する様に。」
と注意を促した。
さあ、リザードマン狩りの始まりだ!
沼地から誘い出す為に、6名が弱めの魔法攻撃をかなり手前から仕掛ける。
「チュドーーン、ゴゴゴー、ザシュ」と着弾音が響き、リザードマンがざわめく。
ギュオーと1匹が咆哮し、一斉にこちらへと突進して来る。
「ふふふ、上手いなww」
と褒める海渡。
キャスは、付与した矢を連続で撃ち放ち、瞬時に5匹をに命中する。
しかし、致命傷にはなっていない。
あの弓矢では、威力が足りないらしい。
なるほど、弓スキルを持ってるって事は、射撃も出来るんじゃないか? と思い立ち、後でハンドガンを使わせてみようかと考える海渡。
10m以内まで接近して来たリザードマンに刀、槍、小剣等に付与を掛けて向かい撃つ弟子ズ。
スキル全開で、相手を翻弄しつつ、1体1体また1体と殲滅して行く。
リザードマン相手の場合は、付与1回コースでサクサク切れるようだ。
ケモ耳3人に与えた、ドリンガさん作の武器も良い物で、1回の付与には余裕で耐え、切れ味も素晴らしい。
流石は伝説級の職人の技だ。
今度、海渡が作ったミスリル合金と、骨粉入り鋼鉄を進呈して、打って貰うのも良いな と悠長に考えている。
10分程で、リザードマンも体の大きな個体が5匹となった。
このリザードマンは、Lvが高い概ね60後半である。
ちょっと心配しつつ、いつでも動ける様に準備して、見守っていると、アンが雷撃を5匹に掛ける。
バッシーンと言う轟音が響き、5匹が痙攣して悶絶している。
そこへ、間髪入れずに残る5名が斬り掛かる。
頑強な鱗のせいで、その他のリザードマンの様にはスパッと切れず、彼方此方に切れ目が入っただけだった。
再度、アンが雷撃を放ち、5匹にダメージが蓄積し、麻痺している。
サニーも雷撃を放ち、更に追撃する。
6名による雷撃の嵐で、1匹1匹と、動かなくなる。
最後に6名全員で雷撃の集中砲火が飛んで、5匹が事切れた。
雷撃の轟音が消え、海渡が拍手する。
「なかなか凄かったな。良い判断だと思うぞ? 魔力残量は大丈夫か?」
と聞くと、ケモ耳3名は1/3、少年少女は3/4ぐらいと答えた。
「万が一の事もあるから、1/3は魔力を残す様に気を付けないと、この段階で魔物の群れの襲撃を受けると全滅する可能性もあるから、気を付けるようにな。」
とアドバイスをして、後は全ての死骸を回収する。
「アイテムボックスって、超便利ですね♪」
とケモ耳3名が嬉し気に収納していたw
海渡は、回収している横で、ショルダータイプ20mmガトリング式レールガンを構え、
「ちょっとテストするから、少し五月蠅いかも知れないけど、気にしないでね?」
と事前に警告をした。
セーフティを解除し、トリガーを軽く0.3秒程引くと、
「ブオーー!!」
と凄まじい音が前後に鳴り響き、全員がギョッとした目で、注目する。
発射音と同時に前方の沼地には、巨大な水柱が上がり、向こう岸近くまで飛び散っていた。
「「「「「「・・・・」」」」」」
弟子ズが唖然としている。
「うーーん、今回かなり威力を弱めにしたんだけど、まだまだオーバーキルかもな・・・まあ一応、テストは成功って事だが。」
と海渡が呟く。
「あ、海渡!!私もそれ欲しいです!!!」
とウキウキワクワクのフェリンシア。
海渡は1丁を渡し、さらに向こう岸の木々を狙い、1秒連射した。
「ブオーーーーーーー」
と鳴り響くと、200m先の木々は消え、遙か向こうまで視界が開けていた。
フリーズからいち早く復帰したミケが、
「ボス!何ですか、その破滅をもたらす自然に優しくない武器は!!!」
と食いつく。
「ああ、これは昨夜作ったショルダータイプ20mmガトリング式レールガン・・・長いからショルダーガン?いや、ガトリングガンかな。」
向こうの方で、「ブオーーーーーーー」と景気の良い音がして、バキバキと木々が倒れてる。
フェリンシアがヒャッハーしているらしい。
「まあ、これあれば、かなりの敵に囲まれても何とかなるけど、見た通り混戦だと同士討ちになるからねぇ。あと下手な相手だと、まず討伐証明部位どころか何も残らないと思うし。」
と説明する。
「「「「「「あーーー」」」」」」
と納得する弟子ズ。
「ちなみに、もっと簡素なハンドガンってのもあってさ、これなんだけどね。」
とハンドガンを1丁取り出し、キャスに渡して、使い方を教えて向こう岸の木を狙わせた。
セーフティを解除し、両手で構えて海渡の指示通り引き金を引くと、
「バシューン」
と言う音と同時に向こう岸の木が倒れた。
「ほう!流石弓術スキル持ちだな。」
と褒めると、キャスが喜んでいた。
キャスにマガジンの底についている3段階のダイヤルを1にセットする様に言って、再度撃たせると、
今度は木に穴が空いただけになった。
「ふむ、これ位なら、許容範囲の威力だな。」
と言って、威力を1にセットしたマガジンを10セット、キャスに手渡した。
「それを、キャスに上げるよ。どうしてもヤバい時に使うように。もし、威力が足りなかったら、2とか3にセットすると威力が上がる。まあ、3を使うシーンは殆ど無いと思うけどね。」
「え!? 本当に頂いて良いんでしょうか?」
とキャスが戸惑っていた。
「いや、要らないなら別に無理にと・・・」
「要ります!!!」
と食い気味に被せてきたwww
「ありがとうございます!!!!」
と目をウルウルさせながら、何度も頭を下げていた。
弟子ズが十分安心して見てられるぐらいになったので、ブートキャンプを終了する事にし、ゲートで秘密基地まで戻って来た。
ちょっと遅めの昼食を全員で食べる。
昼食は、久々の寿司と海鮮味噌汁にしてみた。
ケモ耳3名は、負傷する前にコーデリアで食べた事があったらしい。
「「「好物です!!!」」」
と出された寿司に、ギラギラとした獣の様な目を向けていたwww
一報、少年少女の方は、初めてらしく、不器用に箸を持っていたが、直ぐに箸使いを習得し、嬉し気に食べていた。
そして、海鮮味噌汁の美味さに撃沈していたw
冒険者ギルドで素材の買い取り等をして貰う事にして、飛行機で空港まで飛び、南門からギルドまで向かった。
ギルドの受付で、買い取りをお願いしアニーさんと6名が倉庫へと向かう。
6人共にアイテムボックスを持って居る事に驚きつつ、更に出される量に驚愕しながら、該当する依頼も事後報告で達成にして貰った。
結果、全員が一気にBランクへと昇格し、金貨約300枚を手にしていた。
弟子ズは、そのお金を海渡らに渡そうとしたので、
「いやいや、今回俺らは全然手を出してないからな? 全部お前らで均等に別けろよ!」
と言うと、驚いていた。
「本当にこんなに頂いて良いんでしょうか?」
と6名が不安な顔をするので、大丈夫と念を押すと、安心したようで、大喜びしていた。
一人頭、金貨50枚と端数・・・流石にこれを持って居るのは怖いと言う6名に、
「金貨3枚と端数を手元に残して、後はギルドカードの口座へ入れて置けば安心だよ。」
とアドバイスすると、6名はアニーさんにお願いしていた。
アニーさんは、
「しかし、本当に驚きですねぇ。流石はカイト君の弟子達・・・と言う事ですかねw」
と言って呆れていたのだった。
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