第304話
何とか無事に本店の宿舎へ帰り着いた2人。
「「ただいまー!」」
とスタッフ達に声を掛ける海渡とフェリンシア。
しかし、スタッフ達は皆、
「お帰りなさい、あ! え?」
とか言っている・・・。
「何? 何だよ?」
と聞くと、
「あ、いえ・・・」
と去って行く。
「なんだよ!? 何か釈然としないなぁ・・・」
とブツブツ言いながら、会議室に行き、オスカーさん、ヨーコさん、ステファニーさんの3名に集合して貰った。
3人は入って来て直ぐに、「「「え?」」」とか言っていたけど、それはスルーした。
「忙しい所を呼び出してしまって、申し訳ないです。ちょっと皆さんにお土産がありまして。
皆さんは、ユグドラシルの木の実ってご存知ですかね? 500年に1回しか実らないらしいんですがね。」
とユグドラシルの実(スタンダード)を机の上に取り出した。
ドシッと乗っかるユグドラシルの実。
「「「・・・」」」
3人とも唖然としている。
「で、これはまあ普通のユグドラシルの実なんですが、2000年に1度だけ1つ実る通称『神の実』と呼ばれる物がありまして、これを皆さんに少しづつお裾分けして、みんなで食べたいと思ってお呼びしました。
勿論他のスタッフ全員にはスタンダードな方の実を今夜の夕食で出す予定なんですけどね。」
とスタンダードな実の横に、金色の実を取り出した。
「「「うぉ!!!」」」
と固まったままの3人が驚異の声を絞り出す。
そして、皿を5つ取り出して、一切れづつ皿に置いていき、フォークを5つ取り出して、全員に配った。
皿を手に持ったまま、固まっている3人。
海渡とフェリンシアも皿を持ち、
「「じゃあ、いただきまーーす♪」」
とパクリと行った・・・いや、逝った!
「「!!!!!!」」
声にならない・・・ああ!! なんたる幸せ!!!! 至上の喜び? いやそんな言葉では言い表せないな。
甘美で気品があって、濃厚で、ジューシー・・・いやもう、ただ一言・・・
「「最高だーーー!!!」」
と叫ぶ海渡とフェリンシア。
その直後、突然頭の中に鳴り響くピロリン音・・・
≪ピロリン♪ Lv38にレベルアップしました。≫
≪ピロリン♪ Lv39にレベルアップしました。≫
≪ピロリン♪ 魔法:火Lv7を取得しました。≫
≪ピロリン♪ 魔法:風Lv7を取得しました。≫
≪ピロリン♪ 魔法:土Lv10を取得しました。≫
≪ピロリン♪ 魔法:光Lv8を取得しました。≫
≪ピロリン♪ 魔法:闇Lv8を取得しました。≫
≪ピロリン♪ 魔法:聖Lv7を取得しました。≫
≪ピロリン♪ 魔法:時空間Lv7を取得しました。≫
≪ピロリン♪ Lv40にレベルアップしました。≫
≪ピロリン♪ 魔法:火Lv8を取得しました。≫
≪ピロリン♪ 魔法:風Lv8を取得しました。≫
≪ピロリン♪ 魔法:光Lv9を取得しました。≫
≪ピロリン♪ 魔法:闇Lv9を取得しました。≫
≪ピロリン♪ 魔法:聖Lv8を取得しました。≫
≪ピロリン♪ 魔法:時空間Lv8を取得しました。≫
≪ピロリン♪ Lv41にレベルアップしました。≫
≪ピロリン♪ Lv42にレベルアップしました。≫
≪ピロリン♪ 魔法:火Lv9を取得しました。≫
≪ピロリン♪ 魔法:風Lv9を取得しました。≫
≪ピロリン♪ 魔法:光Lv10を取得しました。≫
≪ピロリン♪ 魔法:闇Lv10を取得しました。≫
≪ピロリン♪ 魔法:聖Lv9を取得しました。≫
≪ピロリン♪ 魔法:時空間Lv9を取得しました。≫
≪ピロリン♪ Lv43にレベルアップしました。≫
≪ピロリン♪ Lv44にレベルアップしました。≫
≪ピロリン♪ Lv45にレベルアップしました。≫
≪ピロリン♪ 魔法:火Lv10を取得しました。≫
≪ピロリン♪ 魔法:風Lv10を取得しました。≫
≪ピロリン♪ 魔法:聖Lv10を取得しました。≫
≪ピロリン♪ 魔法:時空間Lv10を取得しました。≫
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・
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「これ! ヤ・・・」
ヤバい!!!!と止めようとしたんだよ?
でも、既に3人ともパクリと逝った後だった・・・orz
「「「!!!!!!」」」
あ、3人が蕩けた顔してる・・・
あ、驚いた顔になって目見開いてる・・・
「・・・あー、なんかごめん・・・。止めようと思ったんだけど、間に合わなかった。」
と謝る海渡。
海渡は、落ち着く為、全員にお茶を入れて渡した。
そして、お茶を啜りつつ、
「「「「「「ふーー」」」」」」
と全員でため息。
「なにやら、やらかしてしまった気がします。」
とヨーコさん。
横で頷きながら、
「うん、なんか人で無くなった気も微かにするし。」
と諦め顔のオスカーさん。
「そうか? うちなんか、最高の気分やけどなぁ~?」
とケラケラ笑ってるステファニーさん。
「まあ、他の人には、普通のスタンダード版をあげるから・・・。」
と目を逸らしながら海渡が言う。
「そうですね、正真正銘お伽噺の実ですもんね。 うん・・・少々これまでの常識が壊れただけですもん。」
とシクシク泣き始めるヨーコさん。
横でオスカーさんが、背中を優しくトントンしている。
「いや、だけさぁ、女神様が信頼出来る方と、弟子の子たちで、一口づつ食べなさい ってさぁ・・・ あっ」
と気が付く海渡。 まあ、オスカーさん、ヨーコさんには、以前に教えてたので良いんだが、ステファニーさん・・・。
「え?え? どう言う事? なんや、うちだけ知らんかった風な空気流れとるで?」
と詰め寄るステファニーさん。
「えっと、今から言う事は一応、ここだけの話で他言無用でお願いしますね。」
とステファニーさんに念を押す海渡。
ステファニーさんは凄い勢いで頷いている。
そこで、海渡は、以前から女神ジーナ様と教会で会話している事を告げた。
そして、今回のユグドラシルの実の事は、以前から12月25日に食べ頃になる事を聞いており、採取しに行った事。
今回は、『神の実』と呼ばれる、2000年に1度の実が手に入ったので、女神様に献上しに行ったが、半分を分けて貰えた事。
その際に、自分が信頼出来ると思う仲間や弟子にだけ、1口食べさせる様に言われた事を告げた。
「ほんまか!! ちゅう事は、うちはカイト君とフェリンシアちゃんに、信頼されてるっちゅう事やんか! 嬉しいわぁww」
と素直に喜んでくれた。
それを聞いていた、オスカーさんも、ヨーコさんも、戸惑っていた顔が晴れて、嬉し気な表情になってくれたのだった。
そして、
「なんか驚いてしまって、申し訳ありませんでした。そうですか・・・そこまで私達の事を信頼してくださっているのですね?
良かったわ、カイト様、フェリンシア様、そしてオスカー、私、迷いと戸惑いが吹っ切れました!」
とヨーコさんが言ってくれた。
「そうだな、確かに動揺し過ぎた。カイト様、フェリンシア様、貴重な実を分けて頂き、そしてそこまで信頼して下さり、ありがとうございます!」
とオスカーさんも頭を下げた。
それを聞いて、ホッとした海渡。
「でも、弟子に食べさせるのはもっと先だな。」
と冷静に考え、取りあえず、通常の実を食べさせる事にした。
理由は簡単で、未熟な内にこれで楽すると、せっかくの修行の意味が無くなってしまうからだ。
実際の所、嬉しい反面、海渡自身も上げる喜びが失われてしまった様に感じている。
成長期の苦労は買ってでもするべきだと、過去の俺が言っている。
そして、それが逆境をひっくり返す糧となる。
うん、何か良い感じの事を思いついた気がするな♪
と自画自賛していたのは内緒の話。
ちなみに、何で海渡達を見たスタッフらが、一瞬驚くのかを聞いた所、
「何か一回り成長したというか、一瞬神々しさを感じた。」と言うらしい。
ふむ・・・加護の影響??
と内心冷や汗を掻く。
慌てて、フォローするように、
「あ、でも慣れれば大丈夫ですから!」
とオスカーさんが言ってくれたが、あまりと言うか、全くフォローになってないよね。
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