第282話

オスカーさんが、

「本当に宜しいんでしょうか?」

と聞いて来たので、大きく頷くと、2人は向き合い、手に手を取って、見つめ合っていた。


「あ、続きは、俺が出て行ってからやってねww あと、式とか日取りとか、色々後で相談しようよ。」

と言うと、


「「はい!」」

と声を揃えていた。



2人を部屋に残し、海渡は廊下に出て、聞こえない様に小さいため息を漏らしつつ、

「2人とも幸せになれよ!」

とお祝いの言葉を絞り出した。


まあ、精神的なショックはともかく・・・となると、問題は住む所や、待遇の変更とかかな? 部屋は2人で同じ部屋にするか、別の家を用意するか?

別の家ってなると、俺が用意してやるべきだな・・・。

とか色々先走って考えていく。


普通、こう言う時って、ヨーコさん頼りなんだが、本人に頼むのも違うしなぁ?

と考え、秘書部隊のNo.2となったローリーさんに聞いてみようと心に決めたのだった。



気が付くと、時刻は午後6時、丁度良い時間になっていた。

そこへ、平然としたフェリンシアと、ゼイゼイと肩で息をしながら、フラフラのステファニーさんが戻って来た。

ステファニーさんは顔色がヤバい。


「ちょっ!ステファニーさん大丈夫? 運動不足かな? まあこれでも飲んで。」

とコップにハチミツ水(タンカー・ホエールの骨の粉末を小さじの1/4をコッソリ入れた物)を渡した。

肩をツンツンされて、フェリンシアにも同じ物を渡す。


ゼイゼイ息継ぎをしながら、ステファニーさんが飲み干す。

フェリンシアは一気に飲み干す。


すると、ゼイゼイ言ってたのが、嘘の様に止まり、二人から目に見えて魔力が溢れだした。


「「え?」」

と戸惑う2人を見て、ニヤリと笑う海渡。


「実は~~」

とタンカー・ホエールの骨の粉末の効能を教えると、


「うひょーー!」

とまた変な踊りを披露するステファニーさん。


「ああ、力が漲る~♪」

とフェリンシアw


「まあ、俺も飲んだからねw」

と実験台にしたんじゃない事をアピールしつつ、大食堂へと向かった。


中に入ると、

「あ、親分だーー!」

とレイアがジタバタと飛んで来る。


みんな、海渡達の帰りを待っていたらしい。

「そうか、それは申し訳ない事をした。さあ、みんな存分に食べて楽しんでくれー!」

と宣言し、大食堂が


「「「「おおーーー!!!」」」」

と変なテンションに突入。


そこへ、顔の赤いちょっと涙目のヨーコさんと、オスカーさんも合流。



みんなで、揃って頂きまーーす!!



カチャカチャとナイフと皿が当たる音がして、ほぼ同時に一口目を食べた・・・ ようである。


次の瞬間、

「「「「「うめー!(おいしーー)(なんじゃこれー)」」」」

と様々な声が方々から、怒濤のように聞こえる。


目の前のフェリンシアとステファニーさんもプルプル震えながら、美人や美少女に似合わない様なリアクションをしている。

ヨーコさんもオスカーさんも絶叫中。

レイアは、ウマウマと完食。(早すぎるだろ!!!300回噛んで食え!!)




それから、はお替わり合戦だった。

「もう、食べれません!!」

とお腹を丸くした人が続出し、大賑わいの夕食が終わったのだった。


海渡は、フェリンシア、ステファニーさん、オスカーさん、ヨーコさんを連れて地下工房へと降り、自動車を各自に渡し、格納して貰った。


あと、2人からの報告で、取りあえず、来年の1月の戦争が終わってからにすると、報告を受けた。


「え?戦争でごった返しになる可能性あるよ? 今年中の方が良くない?」

と聞いたが、やはり色々それなりに準備があるからと、言われ了承したのだった。


部屋の事を聞いたのだが、

「え? 別の家?? いえ、同じ部屋に移るだけで良いですよ。だって、ここって最高ですよ? ここ以上の家って、考えられないですよw」

とヨーコさんから、笑われてしまった。


うーん、そうなの? 新婚さんとかって、結構プライベートなイチャラブな空間欲しいんじゃないの? と思ったが、声には出さなかった。


「そうか、確か2人の部屋って隣同士だったよね? いっそ、2つの部屋引っ付けて、1つの部屋にする? あと簡易キッチンとかバスルームとか付けちゃえば、良い感じの部屋になると思うけど、どう?」

と聞いたが、それは過分過ぎると遠慮された。


「そっか。まあここの結婚式とか儀式とかって良く知らないんだけど、2人の結婚式とか何かやるんだったら、費用を含め、全面的に俺が出すから、遠慮無く教えてね! 俺もここの常識知らないし、参考になるからw

あと、2人には、その時1週間の休暇をあげるから、旅行でもしてくれば? 一応、困らない程度に部下を育てておいてねw」

と何でも無い事の様に、軽めに言っておいたのだった。

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