第281話
午後3時過ぎに地下工房へ戻った海渡は、魔動自動車の各部を点検した。(主に智恵子さん点検だが)
結果、各部に問題は無く、100年保証を智恵子さんに頂いたw
ついでに、カメラとバックモニターを車体に取り付け、バック時にセンターコンソールのガラスディスプレイに表示されてる様にした。
また、切り替えると、兼ねてよりの念願だった、ナビで地図表示される様にもしてみた。
地形データは、定期的にサーバーから自動ダウンロードする様にしておいた。
「流石魔法の世界。何でもありありだなww ここまで自由に好きな事を実現出来るって、本当に素晴らしい。ありがとう、ジーナ様!!」
と上を向いて、お礼を言う海渡。
よって、これらのパーツを作る生産ラインを本格的に作る事にした。
「まずは、同じデザインで色違いを20台ぐらい作るかな。」
ショックの生産ラインもコイルスプリングのラインも作ったし、残りは大物や細かいパーツ類のラインを作る事になる。
タイヤとホイールの生産ラインを1つに纏め、タイヤが組み上がった状態でスロットから木箱へ入る様にした。
まずは、フレーム、足回りのアーム、ボディー、ドア、ボンネット、トランクの強化TFG生産ラインを作成し大型の収納木箱に排出する様にして、ラインを起動する。
次は、魔動モーターと魔動サーボとフィードバック用サーボの生産ラインを作成する。
各窓ガラスも専用の生産ラインを作成した。
ヒンジやロック類、ペダル類をミスリル合金で作るラインを作成した。
エアコン、空気清浄機の生産ラインを作成した。
シート類作る生産ラインを作成した。
魔力的超伝導リンク用のラインをタンカー・ホエールの血管から切り出して、光コーティングする生産ラインを作成し、長さ別に別々のスロットの木箱に排出されるようにした。
最後は、魔動CPU、カメラ、バックモニター、ナビ、メーター、スイッチ類の生産ライン。
プログラムはバックモニターとナビの処理を追加し、水晶記憶体にインストールした状態で魔動CPUユニットが生産される様に作ってみた。
ラインを全て起動し、ドンドンとパーツが生産されていく。
「となると、後は組み立てのラインが作れれば、自動化が可能となるのか。しかし、魔力的超伝導リンクの線を通すのが大変だよな。」
ダメ元で、時空間魔法で作った空間に光シールドで支えたり、配置したり、ボルトを規定トルクで締めたり、溶着したりする動作を、それぞれファンクション化して、プログラムを作成してみる。
1)フレームにアームを接続してボルトを締める。
2)魔動モーターをアームに取り付けボルトを締める。
3)サスペンションを組み付け、ボルトを締める。
4)タイヤ&ホイールをハブに取り付けてボルトを締める。
5)ボディーをフレームに取り付け、ボルトで締めて、溶着する。
6)ボディーにフロント・ガラス、リヤ・ガラスを填め込んで溶着する。
7)ステアリング周りを装着する。
8)インパネにスイッチ類、魔動CPUを装着、メーター用とバックモニター用のガラスディスプレイを装着、ボディ後部にカメラを装着、ヘッドライトとテールライト、バックフォグを装着し、魔動モーターやそれぞれを指定された経路で魔動CPUと魔力的超伝導リンク用ラインで溶着する。
9)内装にタンカー・ホエールの皮を溶着する。
10)内装にシート、ペダル、サイドブレーキ、シフトレバーを装着し、ペダル、サイドブレーキ、シフトレバーの出力とステアリングのフィードバックサーボを魔動CPUに魔力的超伝導リンク用ラインで溶着する。
11)ドアロック、ドアヒンジ、パワーウィンドー機構と窓ガラスを取り付け、魔動CPUに魔力的超伝導リンク用ラインで溶着する。
12)ボンネット、トランクのヒンジとロックを取り付け、ボディーにボルトで組み付ける。
12)色とカイト印を着色する。
13)固有シリアルナンバーを印字する。
14)組み上がった車体をスロットへ排出する。
「うーん、これで漏れは無いかな?」
と暫し考え、漏れが無い事を確認し、全てのスロットに生産ラインから外した木箱を取り付けて、完成した車体を受け取る木箱を取り付けた。
1台のモードで組み立てラインをON。
5分で、組み上がった車両を木箱から取り出し、各部を点検する。
フェリンシアの車両で、色は赤にした。
シリアルナバーは横にSA-0001と書いてある。(尤も、SAに相当する文字がこの世界には無いのだが、0001だけはこの世界の文字)
カイトの車両には、SA-0000と印字しておいた。
「赤いと派手だなw」
と喜びながら、車両の走行テストをしに、先ほどの草原へと持ち出した。
赤い車両のメインキーをONにして、各スイッチを入れ動作を確認した。
実際に走行テストを軽くし、各部問題無い事を確認し、車体にクリーンを掛けて収納して地下工房へと戻った。
ラインで、オスカーさん、ヨーコさんの車両を作成し、色は濃紺にした。
おそらく欲しがるだろうステファニーさんの分も白で作成した。
後は各支店に1台置く事にし、まずは100台分の生産ラインをフル稼働させ、パーツを製造させる。
計算では、2時間ぐらいで100台分のパーツが揃う予定だ。
午後5時になったので、上に上がり、オスカーさんとヨーコさんを見つけ、それぞれ専用の魔動自動車を作った事を知らせ、メインキーを渡した。
2人は大喜びしていたが、
「良いんですか? 私らだけって・・・」
と言うので、
「まあ、事実上、2人が商会全体を回してくれている大幹部だから、特別で良いんじゃない? あとフェリンシアとステファニーさんの分も作ったし、各支店には1台配備する予定だから。」
と言うと、じゃあ素直に受け取ります! とニッコリ笑っていた。
「ついでに、2人がアイテムボックスのスキルを持てば、行く先々で車使えるだけどなぁ・・・。」
と言うと、2人が前のめりに食いついて来た。
「え? アイテムボックスのスキルって生やす事、出来るんですか?」
と。
なので、
「だって、フェリンシアとステファニーさんは生えたよ?」
と言うと、
「ダメ元で、是非お願いします!!!」
と頭を下げて懇願された。
なので、別室に移動し、フェリンシアとステファニーさんにやったのと同じ感じで、レクチャーしていく。
2人とも、滅茶苦茶真剣である。
簡単な物を・・・と言う事で、手に持ったペンを収納しようと、何度も意識を集中している。
「まあ、元々素養のありそうなフェリンシアとステファニーさんでさえ、30分以上掛かったから、焦らずに行こうね。」
と気休めを言うが、40分が過ぎても生えて来ない。
ちょっと根を詰めすぎかと思い、海渡がハチミツ水をコップに入れて、2人に渡そうとしたが、ふと思いつく。
「えっとさ、実験台と言うか、まあ俺も飲むんだけど、1つ切っ掛けになるかも知れない事を思いついたんだ。試してみる気ある?」
と言うと、
「え?どういう実験ですか?」
と2人が聞いてきた。
なので、タンカー・ホエールの骨の効能を教えた。
曰く、粉末を飲食すると、強靱で魔導効率の良い肉体となる。
曰く、レベルやスキルが上がり易い体質になる。
と・・・。
すると、2人は驚き、
「それはまた、好都合な効能ですね! 良いんですか頂いちゃっても?」
とスキルは欲しいが、そんな夢の様な物を貰っちゃって良いのか?と心配している。
「うん、2人さえ良いなら、幾らでもあるしw 遠慮は要らないよ。」
と言うと、
「「是非お願いします!!!」」
と声を揃えてお願いされた。 何か2人って本当に息ピッタリだなぁ・・・もしかして、できてる?
と疑いつつ、3つのコップのハチミツ水にタンカー・ホエールの骨の粉末を小さじの1/4づつ入れ、かき混ぜた。
「まあ、これで効果が無くても、悪い物じゃなさそうだし、一気に逝っちゃいましょう!」
と3人で乾杯して飲み干した。
すると、3人の体から、魔力が溢れる様な衝動が沸き起こる。
「「「おお!!!」」」
と3人が声を上げ、ニヤリと笑う。
「さあ、やってみて!!」
と促し、
再度、収納を念じ始めた。
2分ぐらいして、ヨーコさんが、
「あ!!!!!」
と叫ぶ。
手元を見ると、ペンが無くなっている。
続いてオスカーさんも、
「やったーー!」
と叫ぶ。
二人とも、無事にアイテムボックスのスキルが生えたらしい。
喜びながら、出したり入れたりしている。
オスカーさんなんか、泣きながら笑ってるし。
ヨーコさんは不敵に笑いながら、色んな物を出し入れしてる。
「2人ともおめでとう!!」
と握手をした。
「「ありがとうございます! これもカイト様のお陰です!!」」
と声を揃える2人。
「ところでさ、2人って本当に息ピッタリだよね? もしかして、いい仲だったりする?」
とニヤリと笑いながら聞くと・・・
急にモジモジしだす2人。
「え!?マジかぁww じゃあ、そろそろ結婚したら?」
と言うと、
「いやでも、仕事もまだ一段落付いてませんし。」
とオスカーさん。
「いやいや、それはそれ、これはこれだよ。そんな一段落なんて言ってると、10年なんてアッと言う間に過ぎちゃうよ?
仕事なんて・・・って迷惑掛けてる俺が言うのも変だけど、素晴らしい家庭や家族を作るのも大切だと俺は思う。
だから、直ぐに辞めます!ってのは困るけど、結婚は先にして、仕事は負担を軽く出来る様に調節していこうよ。」
と力説したのだった。
ヨーコさんが人妻になってしまうのは、1人のファンとして寂しい気もするが、まあ6歳児だしなぁ。
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