第266話


丁度、昼食時となったので、2人で大食堂へと上がり、フェリンシアとレイアのコンビと合流。


「どうですか? 餅つき器出来ましたか?」

とワクワク顔で尋ねるフェリンシア。


海渡は親指を立てて、ニッと笑う。


「わーい、また沢山お餅食べられますね♪」

と喜ぶフェリンシア。


昼食後、つきたての餅を何個か出してあげると、醤油に漬けて食べていた。




午後からは、再び地下工房へと降り、餅を小餅に小分けにする魔道具を作る。


試作品のテスト起動も無事成功し、海渡は自動餅つき器の製造ラインを4つと自動餅小分け器の製造ラインを4つ作り、工場へ持って上がって、起動したのだった。



試作品を大食堂の厨房へと持ち込み、沢山の餅を作り、倉庫と自分のアイテムボックスへと収納していく。

せっせと餅を作る海渡に、料理長のアニータと厨房スタッフは興味津々。



「あのぉ~、先ほどから何を作ってらっしゃるのでしょうか? 見たところお米を使われているようですが?」

とアニータさんが聞いてきた。


なので、区切りの良い所で、

「これ、お餅と言う食べ物です。お米は、普通のお米ではなく、餅米と言う特殊なお米を使ってまして・・・。丁度良いので、みんな少し味見してみませんか?」

ときな粉餅やおろし餅、餡子餅を作って食べさせると、


「「「「おいしいーー!」」」」

と声を揃えて大喜び。


更に磯辺焼きを作ってやると、これまた大絶賛。


驚くべきは、フェリンシアとステファニーさん。

気が付くと、何故か、いつの間にかちゃっかり餅の試食に加わっていたよww

しかも人一倍お替わり連発w

レイアも餅をパクパク食べてるしw


「君達・・・本当にブレが無いと言うか、嗅覚凄いよねw いつの間にか試食に混じってるしwww」

と大笑いしてしまった。



アニータさんもその他のスタッフも、餅の素晴らしさを堪能し、餅米を別けてくれとお願いされて、3トンの餅米を食品倉庫へ別けてやった。

更に、自動餅つき器と自動餅小分け器を工場のラインから2台持って来て設置してやった。


手の空いた厨房スタッフに餅作りを継続して貰い、その間に海渡は小豆を煮込み、ぜんざいを作った。

見た事の無い黒い色の汁に、一瞬引き気味のスタッフを尻目に、お椀を差し出すフェリンシアとステファニーさんw


ぜんざいを入れたお椀を受け取り、ハフハフ言いながら食べる2人は、

「「甘くて美味しいーー!」」

とニコニコ顔。


それを聞いた厨房スタッフも、お椀に入れて一口食べて、さっきとは一転し大絶賛。

スタッフが幾ら多いとは言え、寸胴1つがアッと言う間に空になるって・・・


「君ら、よくこれだけ全部食べたね・・・ビックリだよ!」

と唖然とする海渡。


よく見ると、フェリンシアとステファニーさんの手にしたお椀がいつの間にか、丼にスケールアップしていたww


「誰が大食い美少女キャラやねん!! そこにぜんざいがあるのが悪いねん!」

と良く判らない説明をするステファニーさんと、それに頷くフェリンシア。



スイーツ部隊とアニータさんには、ぜんざいのレシピを渡しておいた。

近々にカフェのメニューに加えるらしい。


スイーツ部隊曰く、

「海渡さん、これ(ぜんざい)はヤバいです! 冬にピッタリのスイーツですよ!!」

と興奮していた。


ついでに、餡子を使ったスイーツとして、餡子餅や抹茶アイス等の和風スイーツの作り方を教えておいた。

色々試して、時期を見てリリースするらしい。



アニータさんとヨーコさんを交え、ソロソロカフェの2階にあるレストランをオープンする様にお願いした。


「接客の基本はカフェの店員と同じで良いですが、キッチンスタッフをどうするか?が問題ですね。」

と2人に相談する海渡。


すると、アニータさんが、

「スイーツと同じ様に、トリスターで集中調理しますか? そうすると、メリットとしては店員の研修ぐらいで早めにオープン出来ますよね?」

と提案する。


「確かに、それなら早い所だと年内にオープン出来そうですね。スタッフの集め具合にもよりますが。」

とヨーコさんも肯定。


「ふむ。と言う事は、地下に作ったスイーツ工房とは別に、レストラン用の調理工房を作れば良い感じになるのかな?」

と海渡が言うと、


「そうですね。レストランの値段帯にもよりますが、基本的にカイトさんの提案する料理って、どれも絶品なのは理解されていますか?

ここの大食堂で提供される料理って、実際の所この国で一番美味しいと全員が思ってます。確かに王宮とかでご馳走になっても、ここの料理と知っていると、感動が薄いんですよねww」

とヨーコさんがぶっちゃける。


アニータさんも、

「まあ王宮の料理がどういうのかは知りませんけど、自分で作っていても、ここの料理(カイトのレシピ)は異常なぐらい美味しいと思います。」

と激しく同意する。


「ですよねw だからあまり値段帯を安くしちゃうと、スイーツ以上の混み具合になってしまって、拙い事になりそうなんです。

少し来客数を絞る為にも、値段帯を高く設定するべきですね。」

とヨーコさん。


「判った。そこら辺は2人に任せるよ。メニューはコース料理と定食と日替わりぐらいにすれば良いと思う。後は時々、季節の数量限定のコースとかを入れる感じかな。

工房スタッフは俺が講習会やって調理スキルを生やせば、特に調理スキル持ちに拘らずに募集可能だよね? 工房の規模はどれ位を作れば良いかな?」

と相談すると、


「取りあえずは現在のスイーツ部隊の1.5倍規模から始めるのが良いかと。状況によって増やす事になるかと思いますし。あ、あとついでにスイーツ工房も広げて貰って良いですかね?

先日、全国規模になって、本稼働したらかなり備蓄が今のペースだと減る方向になって来てまして・・・。将来的に厳しいので、少しスイーツ部隊も増員する予定です。」

とヨーコさん。


「了解。じゃあ、まずはスイーツ工房を今の2倍にして、同じ大きさの調理工房を作る事にするよ。 あとメニューは決めて貰って、メニューを写真入りで紙に印刷した物を作る感じで考えてるから。」

と海渡が言うと、


「え?写真?? すみませんそのメニューの『写真』ってなんでしょうか?」

とヨーコさんとアニータさんが聞く。


「ああ、そうか。言い方が悪かったね。写真というのは、実際とソックリそのままの絵と思ってくれれば良い。」

と説明し、海渡は撮影ドローンに使っている、カメラ部分をアイテムボックスから取り出して、先ほど作った磯辺焼きを撮影し、2人に待って貰っている間に、地下工房で紙に印刷。


その見本を持って再び2人のもとへ戻り、


「これが写真って言う物だね。絵と違って、実際に目で見たイメージがそのまま紙に印刷された物だね。」

と説明すると、


「まぁ!これは凄いですね!!!」

とヨーコさんが食いつく。


「メニューの冊子は、料理の名前と写真と説明文を載せて、値段をのせる感じにする予定だね。オープン記念特別メニューや、季節の特別メニューは別の紙にするとかすれば、基本は同じメニューを使えるし。」

と補足する。


と言う事で、スタッフ募集と皿類の仕入れはヨーコさんに丸投げ、メニュー選定はアニータさんに丸投げする事にして、海渡はスイーツ工房拡張と調理工房の新設に向かった。

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