第234話


「さて、どうしようか。サチーさんの所にも行かないといけないけど、取りあえずは先に食い物屋の続きだよなww」

と天丼屋、寿司屋、豆腐屋、乾物屋、調味料等を色々買いあさっていく。


そして来ました、豚骨ラーメンの屋台!

「おっちゃん、久しぶり! 取りあえず、2杯ね!!」

とエルフのおっちゃんに注文。


「おう!坊主!久々だなwww そろそろ来る頃だと思ってたぞww」

とおっちゃん。


サクッと出されたラーメンを食べながら、

「ねえ、おっちゃん、また前みたいに、お持ち帰りセット作ってくれない? やっぱりおっちゃんのラーメン無いと、きついんだよね。」

とおっちゃん心を擽る海渡。


「しょうがねぇなぁ~w」

と満更でもないおっちゃん。


「でさあ、今回、明後日まで居るから出来るだけ、沢山欲しいんだよね。ワンスロット王国の方で、おっちゃんのラーメンのファンが多くてさぁ・・・」

と更に擽る。


「おお、マジか! よーし、頑張るかなw」

と満面の笑みのおっちゃん。


「で、毎回寸胴の持ち運びとか大変だと思うから、これを渡して置くので、これを使って作り溜めして貰えると嬉しいな。」

とマジックバッグを取り出して、おっちゃんに初期化させた。


「このマジックバッグは、入れたら時間経過無しで、重量も大きさも関係ないから、大量に作ってドンドン入れて貰えれば、大丈夫だよ! 寸胴何百個でも入るからね。」

と言うと、


おっちゃんが驚いて、

「え? それマジでヤバい値段するんじゃねーのか?」

と軽く青ざめてる。


「ああ、いやいつも無理言ってるから、ほんの気持ちだよ。気にしないで使って下さい。で、ラーメンの代金だけど、取りあえず、先にこれぐらい渡しておけば良い?」

と金貨2枚を取り出して渡した。


「えーー!? そんなに欲しいのか? これだと寸胴10個じゃ効かないぞ?」

とおっちゃん。


「取りあえず、明後日までで、渡せる分だけ作って貰って、残りは入れて保存しておいて貰えば、次に来た時に受け取るし、多い分には構わないからwww みんな喜んで食べちゃうしw もし足りなかったら、またお金追加するから!」

と海渡が説明した。


「なるほどな。おう、任せとけ!いつ来ても良いように、常に寸胴10個分ぐらいのスープと麺とチャーシュー作っておいてやるよ!!! かぁ~、忙しくなりやがったなw」

と満面の笑みのおっちゃん。


ラーメンを食べ終わり、寸胴を取りあえず、50個程渡して、預けておいた。


「じゃあ、また明後日取りに来るよ! おっちゃん、サンキュー!!」

とラーメンの屋台を後にした。


「フェリンシア、後は何処だろう? 何か忘れてるのあるかな?」

と聞くと、


「ウナギ屋!!!」

とフェリンシア。


「ああ、ウナギ屋さんか・・・フェリンシア、多分残念なんだけど、今季節じゃないから、ウナギ殆ど無いと思うんだよ。残念なんだけどねぇ・・・。この世界でも、日本みたいにウナギの養殖が成功していればなぁ・・・。」


と海渡が悲しい顔で言うと、フェリンシアもガーーンと口を開け、『この世の終わり』って顔をしていた。


「じゃあ、明日はサクラにでもちょっと買い出しに行くかw」

と海渡が提案すると、


「あ!それは良いですね!!」

とすぐに復活した。


途中の店で、寸胴を沢山買い占め、丼等の器を買い占めて、明日のサクラに向けた準備をバッチリ行った。


他に何か買い忘れてないかなぁ?と色々物色してる所に、通信機の着信音。


「はい、海渡です。」

と出ると、


「おお、サチーだ!こっちに来たと言う噂を聞いてるんだが、全然こっちに来ないから連絡してみた。」

と何やら、お怒りモードのサチーさんww

いや、行く予定にはしてたけど、約束はまだしてないよねw


「ああ、すいません、色々ゴタゴタして、今そちらへと向かってたところですよ。ナイスタイミングですw 今回、面白い物を持ってきてますよ!」

と言うと、


「今どの辺りだ? 早く来て!!」

とサチーさん。本来の体だったら、美人さんに、早く来てなんて言われるとウキウキしちゃうんだが、6歳児の体じゃなぁ~。


「あと10分ぐらいで着きますから、お待ちを。」

と通信を終え、


「なんか、サチーさんが、すぐに来いって言ってる。」

とフェリンシアに説明し、小走りでロデム商会へと向かったのだった。



「こんには! サチーさん居ますか?」

とロデム商会に入り、番頭さんに取り次いで貰う。


サチーさんの部屋に通され、

「おお、やっと来たねw 久しぶりだなw」

とサチーさん。


「ご無沙汰してます。朝から色々あって遅くなりました。」

と頭を下げる海渡。


「で、何を持って来たの?」

とせっかちなサチーさん。


「これです。」

と1升炊きと5合炊きの自動炊飯器を出す。


何これ?って顔のサチーさんに、説明する海渡。


「これは自動炊飯器と言いまして、お米を最適な火加減で炊く魔道具です。時短モードでやれば、全行程で5分で炊く事が出来ます。」

と言うと、


「え?つまりこれで自動的にご飯が炊けるって事か!しかも短時間で。」

と驚くサチーさん。


「はい。試しに炊いてみますかw」

と炊事場へ移動して、せっかくなので、普通のご飯と、マツタケご飯を炊いてみた。


両方、時短モードにしたので、5分で炊き上がる。


「え?本当にもう炊き上がったの?」

とサチーさんをはじめ、炊事場の調理人も驚いている。


まずは、普通のご飯の蓋を開けて、見せると、

「おーーー!お米がちゃんと炊けてるじゃないか? まあ重要なのは味だな。」

と茶碗に各人が取って、味見を開始する。


「「「おーーー!!!美味しい!」」」

と全員唸り声を上げて、


更に

「なんか普通に炊くより美味し気がするんだけど?」

とサチーさんが不思議そうに聞く。


「ふふふ、私の知るご飯炊きの極意を込めてつくりましたのでw」

と海渡がニヤリと笑う。


そして、次にマツタケご飯をご披露すると、

「何だこの匂いは! 凄い良い匂い。あれ?これ小さい頃に1度嗅いだ記憶のある匂いの様な・・・」

とサチーさん。


料理人の一人(多分最年長? エルフだから何歳か判らん)が、

「これって、もしや・・・あの幻のマツターケじゃないですか?」

と聞いてきた。


「ピンポーン、大正解です! 流石ですね!!」

と海渡。


すると、全員が絶叫!!!

「ちょっと絶界の森の任務で採取出来たので、マツタケご飯にしてみました。味見をどうぞ!」

と言うと、


「カイト君、すまん、これスタッフ全員に食べさせてやりたいのだが、良いだろうか?」

と聞いてきたので、


「どうぞ、勿論大丈夫です。そのつもりで炊いたので。」

とお勧めすると、何故かロデム商会は早仕舞いしてしまいましたwww

創業以来初めての早仕舞いらしい。


そこから、宴会にまで発展すると、誰が想像するだろうか?

「いやぁ~、今日は本当に良い日だ!!!」

と涙を流して喜ぶサチーさん。


話によると、7歳の頃、今は亡き曾お爺さんが入手して来たマツターケで色々と料理を作ってくれて食べさせてくれたそうな。


すると、番頭さんが、

「いや、サチーさん・・・先々代はまだご存命ですからね?」

と突っ込んでた。


するとサチーさんが、

「え?あの爺まだ生きてるのか!!! しぶといなぁ・・・」

と毒づいていたww


「ダメですよw 勝手に殺しちゃww」

と海渡も突っ込んだ。


和気藹々としたムードの中、海渡もフェリンシアも美味しい料理を夢中で食べて行く。


「やっぱり、王城に泊まらなくて大正解だったなw 料理は美味しかったけど、落ち着かないからなぁw」

と海渡が漏らすと、


「ははは。いや、それ程堅苦しい所でも無いんだけどなw ああ、あれだ!今朝のワイバーンの一件があったから、余計にそう感じたんじゃないかな? みんな感謝してたしw」

とサチーさん。


「冒険者ギルドでも揉みくちゃにされるし、踏んだり蹴ったりでしたよw」

とグッタリした顔で吐き出す海渡。


「私も、初めて人って怖いと思いましたw」

とフェリンシア。


それを聞いて、サチーさんと周りのスタッフが爆笑していた。

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