第227話
正にその時、海渡のマップ上に赤い点が10個現れ、急速に近付いて来た。
直後に機体のレーダーからも警報がけたたましく鳴る。
海渡は
「フェリンシア、進路上に魔物!!10匹!!!ワイバーン!!!!♪」
と告げ、オートパイロットをOFFにして急上昇をし始めた。
後ろの席からは
「うぉー!」とか「きゃーー!」とか聞こえているが、グングンと上がりつつ、
「すいません、進路上に魔物・・・ワイバーンが10匹出ましたので緊急回避しました。」
そして、高度2000mまで上昇した後、水平飛行へと戻し、
「申し訳ないのですが、方向的にトリスター方面へ向かってるワイバーンは、放ってはおけないので、行ってきます。」
と機体をフェリンシアに任せ、先にコーデリア王国へと向かう様にお願いしつつ、後部ハッチを開けて、飛行魔法を使い外へと飛び出した。
海渡が外に出たのを確認し、フェリンシアが後部ハッチをコクピットの遠隔スイッチで閉めた。
ちなみにだが、飛行機の機体には、気密保持と凍結防止の為の光魔法のシールドが張られている。
そのため、飛行中に仮に後部ハッチを開けても、気圧変化は起こらない様になっている。
オートパイロットを再びONにして、急上昇により全員に怪我等が無い事を確認した。
「フェリンシアちゃん、カイト君が外に飛び出したが・・・こんな上空で・・・。彼は無事なのだろうか?」
と他の人より早く平常心を取り戻した王様が、海渡を心配して尋ねる。
「ええ、海渡ならご安心ください。私も海渡も飛行魔法を使えますので。
それにしても、海渡ったらズルいです!!!!
やっと久々にワイバーン・・・しかも10匹も見つけたのに!!!!!!」
と正にガーーンとした表情で悔しがるフェリンシアだった。
飛行機から飛び出した海渡は、身体強化、身体加速、クロックアップのスキルを発動し、そのまま弾丸の様に加速しつつワイバーンの群れへ降下していく。
「さて、フェリンシアには悪いけど、久々のワイバーンの群れww どう料理しようかなww」
と満面の笑みを浮かべつつマップでワイバーンの詳細を確認すると、
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種別:ワイバーン
Lv:98
説明:竜の下位種。亜竜とも呼ばれる。
風魔法、火魔法を使う。鋭い足の爪と、牙による攻撃、硬い鱗による耐物理
攻撃による防御が特徴。
知能は低く、狂暴。
空から獲物を見つけ、鋭い足の爪で急降下攻撃が得意。また火魔法の
ブレスによる広範囲攻撃には注意が必要。
視覚、嗅覚、聴覚が鋭く、魔力感知で遠く離れた敵を感知する。
別名空のギャングと呼ばれる。1匹で一国の軍隊が壊滅すると言われている。
肉、骨、鱗、爪、牙、素材全てが高い金額で取引されるが、滅多に出回る事
はほぼ無い。
肉は非常に美味しい。
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種別:ワイバーン
Lv:94
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種別:ワイバーン
Lv:97
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・
・
・
そして一際大きい赤い点は
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種別:ブラック・ワイバーン
Lv:105
説明:竜の下位種。亜竜とも呼ばれる。通常のワイバーンの亜種で、ワイバーンの
中では最強。
風魔法、火魔法、水魔法、を使う。鋭い足の爪と、牙による攻撃、硬い鱗に
よる耐物理攻撃、耐魔法攻撃による防御が特徴。
知能はソコソコで、一般種よりも賢く、獰猛だが冷静な判断が出来る。
空から獲物を見つけ、鋭い足の爪で急降下攻撃が得意。また火魔法、風魔 法、水魔法のブレスによる広範囲攻撃には注意が必要。
視覚、嗅覚、聴覚が鋭く、魔力感知で遠く離れた敵を感知する。
別名空のギャング・ボスと呼ばれる。1匹で一国全土が壊滅すると言われてい る。
かつて市場に出回った事は無い。
肉は一般種とは比べ物にならない程、美味しい。
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マジか!ブラック・ワイバーン!!! 何これ!滅茶食いたい!!!!
『フェリンシア!! ブラック・ワイバーン、キターーー! 滅茶美味しいらしいよ! そっちを早く到着させて、こっちに合流しない?』
とフェリンシアに伝心すると、
『うわぁーー!行きたいです。 飛行場に着地したら、ゲートで行くので、待ってて貰えますか?』
との事だった。
『判った!じゃあ、さっきの場所辺りで引き延ばして、足止めしておくね!』
と返事をして。
方針が決まったので、海渡は、まずブラック・ワイバーンを含む10匹に向かって、3Dマッピングでロックし、30%の威力で雷魔法を放つ。
まあ30%の威力と言っても、通常の魔物なら即死級なのだが、ワイバーンなら墜落程度で済む筈!と言う予定だ。
が・・・結果、全部にヒットし、Lv95以下の5匹が即死・・・。
残る4匹のワイバーンは墜落。
ブラック・ワイバーンは無傷でギロリとこちらを睨み、
「ギュォーーーーー」
と咆哮を上げていた。
弾丸の様なスピードでブラック・ワイバーンの横を通り過ぎつつ、海渡は即死したワイバーンを闇魔法の触手を伸ばして、降下前にアイテムボックスへ収納し、空中で重力制御をしてGを殺しつつ、急停止。
アイテムボックスから、久々に刀を取り出して、『鋭利増加』『貫通増加』『斬撃加速』を付与しつつ、ブラック・ワイバーンの下から、切り上げる。
だが、その一撃は、強靱な右の足の爪で弾かれ、更に左足の爪の追撃を繰り出される。
瞬時に躱しつつ、ブラック・ワイバーンの頭上へと回り込み、上段からの一撃を繰り出す。
「ガキン」と凄い音が響き、ブラック・ワイバーンが軽くふらつきつつ、高度を落とした。
刀を通し、もの凄い衝撃が海渡の腕に伝わり、
「痛ってぇーーー!!」
と海渡も顔を顰める。
「これ、思った以上に堅いなぁ。耐物理攻撃も耐魔法攻撃も半端ないね。
墜落したワイバーン4匹にまだ動きは無いので、大丈夫そうだな・・・」
と確認しつつ、
超高速回転付きのウィンドカッター(自動追尾版)を5つ発動して、即座に眼下のブラック・ワイバーンに放つ。
2秒程フラッとしたブラック・ワイバーンだが、放たれたウィンドカッターへ風魔法のブレスを放ち、相殺しようとする。
2個を相殺され、3発が命中するが、軽い打撃となっただけで、無傷で終わった。
「うっはーーww これも効かないっすかww」
と海渡は嬉々としつつ、今度は羽の付け根辺りを狙い、飛行魔法で加速して通りざまに刀を横薙ぎに振り抜く。
「ガッキーン」
とまたしても凄い音が響き、刀が弾かれてしまう。
但し、今回は無傷とはいかず、薄く鱗の隙間から血が滲んでいる。
「ほう、間接部分はやはり弱いみたいだなww」
とニヤリとしつつ、水魔法のアイスホーミングミサイル超高速回転版を10本発動して四方八方に角度を付けて発射する。
扇状に広がったアイスホーミングミサイルが、先ほどの斬撃で怯んだブラック・ワイバーンへと襲い掛かる。
瞬時に火魔法のブレスを放ちつつ、回避行動を取るブラック・ワイバーン。
最初のブレスで2発のアイスホーミングミサイルが消滅し、残る8本は一度回避され、横を通過するが、大きく弧を描きながら、再度それぞれの軌跡を取りつつ、再びブラック・ワイバーンへと向かって来る。
海渡はブラック・ワイバーンの意識が8発のミサイルに向いた瞬間に、加速して今度は足の付け根を狙って、斬撃を繰り出す。
再び、「ガキン!」ともの凄い音が響き、
「ギュグォーーー」
とブラック・ワイバーンが悲鳴を上げた。
その直後に8発のミサイルが着弾し、ブラック・ワイバーンが地面へと墜落したのだった。
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