第226話


異世界2ヵ月と23日目。


いつもの時間に目が覚めると、今朝はバタバタするので、フェリンシアを起こして、屋上で暗い内から模擬戦。


フェリンシアとの模擬戦は本当に良い運動になる。

もう、30分で汗びっちょり。


2人ともクリーンを掛け、誰も居ない大食堂に降りて、朝食を頂く。


食べ終わる頃、気を利かせて早めに起床してくれた、ヨーコさんとオスカーさんが降りてきた。

「おはようございます。カイト様、フェリンシア様。」

とヨーコさん。


「おはようございます。流石早起きですねw」

とオスカーさん。


「おはようございます。何か僕らの為に早起きさせちゃったみたいで、申し訳ないね。あ、オスカーさん!新しい魔道具作ったよ!!」

と朝から魔動チェンソーをアイテムボックスから出して、見せる海渡。


「ふふふ、また面白そうな物を・・・これは何に使う魔道具なんですか?」

と利用方法の判らないオスカーさんとヨーコさん。



「これはね、魔動チェンソーと言って、木を切る際に使う魔道具だね。普通木こりは斧を使うよね? あれだと時間掛かるから、これを使えば、直径1mの木を切り倒すのに1分ぐらいあれば十分じゃないかな? まあトレントは切れないんだけどね。」

と海渡が説明する。


「ほほーー!これはまたビックリの魔道具ですね。今までこんな発想の魔道具は無かったですよ。ああ、なるほど!アルマー様からの城壁拡張に際しての建設にって話ですね? ふふふ。」

とオスカーさん。


「うん、流石オスカーさん、話が早いね。まあ、金貨1枚とか2枚かな? あまり高いと買う人いなくなると思うんだよね。売るなら、丸太を置いて、実演して見せるのが良いかもね・・・」

と言うと、


「ふむ・・・金貨1枚か・・・。実演販売ですか! それも新しい方法ですね。ふむふむ。」

と考えるオスカーさん。


「まあ、そこら辺の匙加減はお任せします。もうライン作って、工場に設置してあるからね。さて、じゃあ後はお任せして、そろそろ行ってきますね。」

と2人で席を立つ。


「まあ、心配要らないとは思いますが、お気をつけて。」

とヨーコさん。


「では、次に会うのはトリスターですかね。お気をつけて!」

とオスカーさん。




見送る2人の前で、ゲートを開き、王都の北門の近くの路地裏に出た。

時刻は6時丁度、北門から出て、飛行場へと向かう。


滑走路に2号機を取り出して、横に椅子とテーブルを出し、コーヒーを飲みつつ集合を待つことにしたのだった。


「トリスターよりはマシだけど、何かこの時間だと結構肌寒いね。 ん?と言う事は、コーデリア王国はもっと寒いのかな?」

と海渡が言うと、


「ああ、絶界の森も北に行けば行く程寒くなるから、きっと寒いと思いますよ!」

とフェリンシア。


「マジか。じゃあ、そろそろ厚手の上着を調達しないとだな・・・。コーデリア王国かトリスターでちょっと探してみようかな。」

と海渡が提案する。


「そうですね。私は本来、それ程寒さには弱くないんですが、人化してると、少し寒く感じます。毛がないせいかな?」

とフェリンシア。


ああ、そうか!フェンリル形状だと、毛皮装備だもんなぁ・・・。


などと話している内に、北門に動きがあった。


ドヤドヤと騒がしくなり、馬に乗った騎士と、馬車が2台・・・いや3台か・・・え?4台??こちらに向かってやってくる。


「お!来たみたいだね。でも馬車の数多いな。最後のは荷馬車だから荷物かな? 護衛人数が多いのかな?

もし最悪1機で乗れない人数の場合、悪いけどフェリンシアも1機飛ばしてね?」

とお気楽モードの海渡。



一群が滑走路の手前で止まり、海渡はテーブルと椅子を収納して出迎える。


黒っぽい馬車のドアが開き、大臣のワリスさんが降りてきた。

そして次の白い馬車の中からは・・・王様が降りてきた!? 続いて近衛騎士団の団長のアーメイドさん。


3台目の黒っぽい馬車からはメイド達が5名と執事の男性1人が降りて来た。



完全に事態が飲み込めてない海渡が、頭の中に『?』マークを沢山並べていると、

ワリスさんが寄って来て、

「カイト君、フェリンシアさん、おはよう!」

と微妙な顔で挨拶してきた。


「あ、おはようございます。ワリスさん。 ちょっと事態が良く理解出来ずに固まっちゃいました。」

と海渡。


更に近付きつつ小声で、

「あのーー・・・、何で陛下がこちらへ?」

と嫌な予感全開で質問を投げると、


「いやぁ~、昨日のあの電話で何か急に行かれる気になったらしくてね・・・今回、ご同行されると言う事になったんだよね。」

とワリスさんがすまなさそうに言った。


「えー!? マジですか・・・。と言う事は、護衛の人数とかも増える事になりますよね? 総勢何名ぐらいですか?」

と聞くと、


「陛下の侍従とメイド達に加え、護衛も併せて、総勢で24名だが、大丈夫かな?」

とワリスさん。


「ああ、それなら1機で大丈夫ですね。39名まで乗れますので。」

と答えると、


「おお!そうか、じゃあもう少し増やしても問題ないかな?」

とワリスさん。


「はい、39名までは大丈夫ですよ。」

と答えると、急いで陛下の方へと向かい、相談していた。


相談が終わる頃を見計らい、海渡とフェリンシアも陛下の方へ、朝のご挨拶へと向かう。

「王様、おはようございます。 なんかご同行されるそうでww」

と言うと、


「ふふふ、驚いた? ちょっとした朝のサプライズじゃよw」

と王様。


「ええ、十分に驚きました。 しかし、良いんですか? 王様と大臣が同時に城を空けて?」

と聞くと、そこはちゃんと王子様とか他の人材が居るので、心配無用との事だった。


カーゴに荷物を積んで、後部ハッチから全員乗って貰い、シートベルトの装着方法を教え、王都の空へと飛び立ったのであった。



オートパイロットをONにして、これから3500km、約3時間半は暇となる。


飛び立って、30分ぐらいは眼下の風景を窓から眺め、騒いでいたが、一段落した頃を見計らい、同乗しているメイドの方にお願いをして、カフェオレとオークカツサンドを配って貰った。


すると、みんな朝からバタバタしていたらしく、朝抜きだったそうで、大変喜ばれた。


しかし、オークカツサンド一口食べると、普段クールな感じの騎士の皆さんまでもが、絶叫して喜んでいた。


唯一、朝食を食べて来た筈の王様が真っ先に、

「カイト君、この美味しいサンドイッチは何なんじゃ!? これは絶品じゃな! もう一皿頼む!」

と目をクワッと見開き、お願いされた。


なので、希望者を募ると、全員だったので、もう一皿づつ追加したw


更に、カフェオレも大人気で、

「カイト君、この香りの良い飲み物、何んじゃ? すごく美味しいのだが?」

と王様が聞くので、


「これはコーヒーと言う飲み物にミルクと少量の砂糖を混ぜた飲み物です。 王都のうちのカフェでも大人気ですよ。」

と教えると、


「うむ・・・これは是非王宮へもそのこーひーとやらを納入して貰わねば!!!!」

とワリスさんの方へ向いて、指示をしていたww


毎度ありぃ~~♪


「カイト君、他に何か面白い食べ物はあるかのぉ?」

と捨てられた子犬の様な目で懇願されて・・・


「じゃあ・・・」

とマツタケご飯(おにぎりバージョン)を出してみた。


「何じゃ?この堪らない香りの食べ物は?」

と凄い食いつきようだったので、これはマツターケと言う伝説級の茸を使った、炊き込みご飯をおにぎりにした物と教えると、


「なんと!!!伝説級の茸とな!!!!」

と驚きつつ、パクリと一口。


全員が、

「「「「「うっまーーーい」」」」」

と騒いでました。


更に効能として、ステータスの魔力、筋力、俊敏の上限値が上がり、知力も上がる事を教えると、益々大騒ぎしていた。



そんな感じで、食に花を開かせていると、

「今トリスターを通過しました。」

とフェリンシアが知らせてきた。


「おお、もうそんな所か。じゃあ今は絶界の森の上辺りかな?」

と海渡が言うと、


「今、絶界の森に入りましたね。」

とフェリンシア。


「あと少しで久々のコーデリア王国だなww」

と海渡の顔が綻ぶのであった。(食べ物の事で)

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