第203話


異世界2ヵ月と4日目。


日の出前に目を覚まし、朝の鍛錬を済ませ、一休みして全員分の朝食を作る。


メニューはトーストと、ベーコンエッグ、イチゴジャム、スープ、サラダ、ポテトフライ、あとはコーンのシリアルとミルクと言う簡素な物にした。


7時頃にみんなが降りて来て、ドンドン朝食を出す。


意外な事に、このメニュー最大の賛辞は、前にコッソリ作っておいたイチゴジャムだったwwww

特に、女性陣と子供に大人気だった。

聞くと、ジャムなんて物を知らなかったらしい。


「へーー? 売れそう?」

と聞くと、女性全員から


「間違い無く売れます!!!!」

と太鼓判を押された。


じゃあ、また今度絶界の森にイチゴ狩りに行こうかなww と計画を練る海渡であった。


まず、朝の8時にサルバドルの格納庫でヨーコさんをピックアップし、そのままトリスターの格納庫で新しい店長のアルモンドさんと店員4名をピックアップし、エリンガの格納庫へと連れていった。


東門のを通り過ぎた所で、待ち合わせし、ヨーコさんを含む6名を店まで案内した。


宿舎に着いて、既に子供を含め68名が居る事に軽く驚かれた。


更に9名孤児院組が加わり、77名になる可能性を伝えた。


で、アルモンドさん、ヨーコさん、海渡の3人で、人員の割り振りを検討した。


海渡の意見では、領主館の44名中、32名の男性陣の20歳以上は22名で、最年長の男性を航空部門のチーフにし、5名ぐらいをパイロットで使いたいと話す。


22名の残り16名を店長候補として育てて欲しいと考えている事を伝える。


残り10名は店舗、カフェ、とし、女性12名の内、最年長者(子供と再会)を託児かカフェのチーフに、残りをカフェの店員か調理スタッフとする事を提案。


子供の内、使える年齢のドルガ達7名は店舗かカフェかに取り合えず割り振って、訓練して貰う感じで考えている。

又は、温泉部門のチーフを1人男性陣から取って、8名にして温泉をやらせるか?


という事で、取り合えず、最年長の男性を呼ぶ事にした。


「ジャンセンです。歳は31歳で、元はここの騎馬隊を指揮しておりました。あまりの非道っぷりを御諫めしたら、投獄されまして・・・」

と笑っていた。


「ジャンセンさん、質問なんですが、もし、勤務地がここから離れたとしても大丈夫ですか? それともここに居たいですか? まあ、行くとしたら今の所はトリスターか王都になる可能性が高いのですが・・・。」


「ああ、独身で身寄りも居ないので、場所には拘りません。救って頂いた命、如何様にも!」

と頼もしいお言葉を頂いた。


「実は、今、世界初の新しい事業を起動に乗せようとしてまして、そこの部門のチーフをお願い出来ないかと思っています。」


ジャンセンさんは、目を輝かせ、

「ほう、世界初の新しい事業とはどういった物ですか?」

と聞くので、


「一度、現物を見て貰った方が早そうなので、一緒に東門の外まで来て頂けますか?」

と言うと、即座に

「了解!」

と席を立った。


他の候補の5名(子供と再会した人を除く)にも同じ様に聞いて、6名を引き連れ、東門の外へと向かう。

門の外の飛行場に駐機してある飛行機(フェリンシアの3号機)を見せて、

「これです。これが世界初の飛行機と言う、空を飛ぶ乗り物となります。」

と紹介すると、


「「「「うおーーー!」」」」と叫ぶ6名。


「つまり、これを動かす仕事と言う事でしょうか?」

と聞くので、


「はい。『百聞は一見に如かず』と言いますから、ちょっと乗ってみますかw」

と格納庫から2号機を取り出して、3号機の横に置く。


後部ハッチを開けて、ジャンセンさんを副操縦席に座らせ、5名は後部座席に座らせる。

シートベルトの締め方を教え、後部ハッチを閉じる。


「では今から軽く教えるので、見ていて貰えますか?」

とジャンセンさんに指示する。


「まず、メインキーをここに差し込みます。

そうして、全システムを起動します。

もう飛び立てる状態なんですが、まず、このレバーが魔動ジェットエンジン、翼の端についている丸い筒ですね。あれの角度を変えるレバーです。

ちょっとレバーで角度を変えますね・・・ほら、丸い筒が真下を向いたり、真横を向いたりしてますよね? あれは前から空気を取り入れ、筒の出口に向かって、

もの凄い速度の風を出しています。

その風の力で飛行機は浮き上がって空を飛ぶのです。

離陸時は、真下に向けます。

そして、このレバーが風の強さを決めるレバーです。手前は速度0つまり動いて無い状態。前に押して行くと、ドンドンと強い風を出します。

従って、速度が上がります。離陸しますね。」

とレバーを10%にセットすると、機体がフワリを浮かぶ。


魔動ジェットエンジンから噴き出す風で辺りの草が靡いている。


「「「「おおお!浮いた!」」」」

と興奮する6名。


どうやら、高所恐怖症は居ないらしい。良かったw


「ここを見て下さい。

この針が高さを示す高度計となります。

現在70を指していますから、高度70mドンドン上がります。 高度120m・・・

じゃあ、今度は、浮上だけでなく、徐々に前進していきます。エンジン角度が今は真下を向いているので、徐々に角度を変えて行きます。と少しづつ、角度を変え、エンジン出力を上げて行く。

このメーターが、現在の速度を示しています。現在時速40kmつまり、1時間で40km進む速度と言う意味ですね。

時速80km、時速150km、高度700m、時速300kmさあ、フラップを上げます。フラップは速度が低い時に翼で浮く補助装置みたいな物です。速度が上がれば、フラップは不要です。

フラップを上げると、風の抵抗が無くなるので、速度が上がります。時速500km、現在スロットル40%。速度860kmスロットル60%。さあこの操縦桿で向きを変えますよ。見ていて下さい。

操縦桿を右に傾けると飛行機も右に傾きます。この状態で操縦桿を引っ張るとユックリと旋回していきます。・・・~~(ry」

と着陸までを説明し、今度は海渡の指示でジャンセンさんが動かす。


そして離陸して徐々に加速と上昇を行い、雲の上まで上昇して貰う。ユックリ旋回させて速度を落として、オートランディングで着陸。


「お!パイロットと言うスキルが取れました。」


「おお、取れましたか! これで操縦出来る事が確定しましたねw」


全員に操縦桿とラダーやエルロンやエレベーターの動き、その効果を説明し、フラップとスポイラーの動作と原理を教える。

みんな飲み込みが早く、即座に理解し、1時間で全員がパイロットスキルを獲得した。


で、再度6人に話をする海渡。

「今、航空路線部門を作ろうとしています。良ければパイロットとして航空部門を一緒に築いていきませんか?」

と言うと、


全員が

「「「「やります!!!」」」」

と承諾してくれた。


更に色々を教えつつ、王都のビーコンへと向かって飛ばせたり、途中で交代したりして、パイロットスキルのレベルをアップさせる。


全員がLv3になったので、4号機、5号機、6号機を出し、それぞれに2名ずつでペアを組ませ、操縦させた。


6名はその日の午前中で、パイロットスキルLv5を取得し、安心して任せられるパイロットに成長したww


成長メッチャ早いっすw 流石女神様の親切(新設)スキルですw

昼飯時になったので、一旦エリンガの空港に着陸し、意気揚々と食堂へと戻った。


ヨーコさんがトリスターの調理に頼んでくれていたので、昼食は作らなくて済みました。

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