第186話
大きな長いテーブルのある部屋に通され、席に着くと、程なく前菜が運ばれて来る。
前菜は、この世界では珍しく、生の野菜のサラダとスープである。
「おお、久々のサラダだw」
と喜びつつ、手を合わせて「いただきます」。
レタスがシャキシャキしてて、それに掛けてある、ドレッシングも素晴らしい。
トマトは濃厚な酸味と甘みがして、最高の一品である。
「おお、このトマトは最高に美味しい!!」
と絶賛する海渡。
「お!気に入ってくれたかい? これが我が領の名産の1つなんだよ。」
「この国に来て食べた中で、最高のトマトですよ。濃厚な旨味と甘み。
水加減とかに、ノウハウあるらしいですね?
これ、ハンバーガーに入れると美味そうだな。あ、ミネストローネスープも最高の味になりそうだし、ピザにも良さそうだな、トマトパスタも捨てがたい。」
と合いそうなレシピを頭で妄想する海渡。
「カイト君は、もしかして料理にも造詣が深いのかい?」
とジャックさん。
「ええ、海渡の料理はとても美味しいんですよ!」
と微笑むフェリンシア。
「本当にビックリするぐらい、料理お上手ですよね。色々なレシピも御存じですし、最初に食べた焼肉とかも驚きでした。」
とヨーコさん。
「最初の焼肉? ミノタウロス? スイート・ボア? カモフラージュ・カウ? どれだったけ?」
と思い起こそうとする海渡。
「どれも、幻だったり、災害級だったり、一般では市場に出回らない魔物じゃないか!」
と驚くジャックさんご一家。
「まあこの国の食材は本当に素材そのものの持つ味が素晴らしいですからね。
そこそこの調理スキルがあれば、あとは創意工夫で何とでもなるんじゃないですかね?
しかし、このジャガイモのポタージュスープも素晴らしいですね。
とても美味しいですよ。これは帰りに市場で野菜買って帰らなきゃだなww」
と喜ぶ海渡。
「本当に美味しいです!」
とフェリンシア。
「そうか、気に入って貰えて嬉しいよ。我が領の野菜は、どれも良い物ばかりなんだが、野菜は輸送時間の問題で、痛んだりするからなかなか遠方までは輸出できなくてなぁ・・・ 田舎故の苦悩があるんだよ。」
とジャックさん。
「ああ、それなら、我々の商会にお任せ頂ければ、我々の流通網で、新鮮なまま売る事が可能ですよ! ヨーコさん、そこら辺も詰めておいてね!」
とヨーコさんに振る。
「ええ、これだけの野菜は世に広めないと、勿体ないですよねw」
と微笑むヨーコさん。
「そうか、そうしてくれると、農民達も喜ぶよ!」
と嬉し気なジャックさん。
「そうだ、余剰の野菜があれば、それを正当な金額で当方で買い取り、塩の代金に充当して相殺すると言う感じでも良いでしょうかね?」
とジャックさんに聞く。
「おお、そうして貰えると、非常に助かる。
ああ、今日は本当に嬉しい日だ。女神様に感謝だな。」
とジャックさん。
「あ、そうだ、ここにも教会はありますよね?
明日は帰る前に教会に寄りたいな・・・孤児院も教会にありますよね?」
と聞く海渡。
「ああ、勿論教会もあるし、教会の裏に孤児院もあるぞ。」との事。
よし、これで明日の午前中の予定は決まったな。
期待以上に美味しい夕食が終わり、海渡がスイーツ各種を並べる。
「さあ、お話ししていた、当方のカフェで販売している、スイーツです。
色々食べてみてください。」
と薦める。
全員違う種類の皿を取り、一口食べて、絶叫!
アリスちゃんは、プルプル震えている。
「なんだい!この滅茶滅茶美味しい食べ物は!!!」
とジャックさん。
「ああ、このまろやかな舌触りと、口に広がる上品な甘み。最高ですわ💛」
と奥様。
「おお、なんだい、この口の中で溶ける初めて食べるこれは!! 美味しい!!!!」
とクリス少年
「フワフワで、甘くておいちいですぅ♪」
とアリスちゃん。
フェリンシアは全種類を満面の笑みを浮かべつつ食べているww
ヨーコさんは、アリスちゃんと同じに、ホットケーキを頬張ってらっしゃったw
どうやら、皆さん気に入っていただけたようだ。
「そのうち、準備が整い次第、こちらの領でもカフェで販売しますので、いつでも食べられるようになります。その際は是非お越し下さい。」
と、ちゃっかり宣伝する海渡だった。
和やかなムードで、今夜の夕食会は終わり、明日ヨーコさんと、ジャックさんで、詰めの打ち合わせの約束をして、最後にリバーシのデラックスバージョンを置き土産に、領主館から宿舎へと戻った。
是非泊まっていけとの事だったが、一応色々やる事もありますので・・・と遠慮しておいた。
帰りの馬車の中で、ヨーコさんに、
「ここの野菜は本当に美味しかったね。是非ブランド化してこの領に儲けてもらおう。」
と話す。
更に
「あと、明日、店長候補を1人と店員1人は先行して、こっちに来させた方が良さそうだな。オスカーさんに誰にするか、話ししておいてもらえる? サクッとこっちに連れて来るから。」
と指示を出す海渡。
ヨーコさんを一度、ゲートでコッソリトリスターに戻し、明日の朝8時に屋敷でピックアップする事にしたのだった。
ゲートで一旦トリスターに戻った海渡ら3人は、風呂を済ませ、地下工房でトリスターと同じ銭湯を地下工房で作成して、棟梁達への指示を残す。
そして、フェリンシアと王都の北門の飛行場に出て、コッソリと闇に紛れて管制タワーを建てて、魔動波ビーコンを起動し、格納庫も設置した。
そして、テリラスの宿舎へと戻り、眠りにつくのであった。
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