第185話
「話は変わりますが、ちょっとテリラス領の事について、色々お聞きしたい事があるのですが、宜しいでしょうか?」
と話題を気になる事に切り替える海渡。
「ほう、どんな事だい?」
とジャックさん。
「テリラス領の主な産業は、豊富な水資源を用いた農業と畜産業とお聞きしてますが、合っておりますでしょうか?」
「うむ。そうだな、それがうちの主力産業となるな。」
「農産物としては、小麦、野菜類ですよね? それらは近隣の領とかに輸出する感じでしょうか?」
「ああ、その通りだ。」
「色々考えたのですが、当方のカフェなんかでは、ミルクやバター、チーズなどの乳製品、小麦粉を使っております。
小麦粉は製法によって、ランクも決まりますよね?
例えば、その小麦を100%が上質の白い小麦粉になれば、収益が上がると思うのですが、違いますか?
とはいえ、全部が白い上質の小麦粉になると、今までの金額では需要と供給のバランスが崩れ、売れ残る可能性が出て来ます。
しかし、例えば、上質の小麦が、庶民の買う小麦と同等、又はグレードによっては、若干割高程度であれば、みんな、真っ白なテリラス領の小麦を買いませんかね?」
と聞いてみる。
すると、ジャックさんが、前のめりになる。
「つまり、カイト君は、どの小麦も真っ白な小麦に出来ると言う事か?」
と聞くので、
「まだ試しては無いですが、真っ白か真っ白でないかは、脱穀と製粉にする過程の差ですよね? であれば、その過程を魔道具でやらせる事によって、真っ白な小麦にする事は可能だと考えてます。」
と答えると、
「となると、商会である当方としてもある程度の旨味が無いと拙いので、例えば、脱穀製粉魔道機のリースと言う形で、収益に対し数%を支払って貰うか、当方で小麦を買い取って、製粉して販売するか、
又は、当方の商会の流通網を使って、これから先の色々な支店で販売していくとか、色々お互いがプラスになる方向性があるかと思うのです。」
と答えると、
ジャックさんが、明るい笑顔で、
「それは是非前向きに別途話をしたい。」
と言って来た。
「あとは、稲作ですね。お米ってご存知ですか?」
と聞くと、
「ああ、食べた事は無いが、コーデリア王国で食べられている物と聞いている。」
との事。
なので、うな重を1つ出して、
「食事前なので、皆さんで取り分けて、味見してみませんか?」
と提案してみるが、既にうな重から放たれる、人を惹きつける魔性の香りに釘付け。
皿をだして、少しずつ、取り分けてフォークを出してみると、全員がパクリと口に入れ、
「「「「美味い(おいちい)」」」」
と絶賛。
「この白い粒がお米と言いまして、色々な物に合う主食となります。
一応、私の知る限りでは、水の豊富な所でないと、お米は栽培出来ないのですよ。水田と言って、10cm~20cmぐらい水を張った畑みたいな所で育てるらしいので。」
と説明する。
「もし、ご興味があれば、また近い内にコーデリア王国へ行くので、その時にでも情報を仕入れてきますね。」
と言うと、
「おお!是非頼む」
と言われた。
「あと、農作物と言えば、この国ではお茶や紅茶が主流ですが、コーヒーと言う物があるのをご存知でしょうか?」
と聞くと、やはり当然の様に知らないらしい。
「サンバル王国では飲まれているらしいとの情報までは入っているのですが、まだ忙しくて、行く時間が取れずに居ます。
しかし、本日後でご試食頂く、当方のカフェで出してるデザート、スイーツと呼んでますが、これにとても合う飲み物でして、早目に入手したいと思ってます。
もし、豆が手に入れば、こちらでも生産が出来ないかな?と考えてまして。
これも情報が入り次第、またお知らせ致しますね。」
と締め括った。
アリスちゃんが、
「うぅ・・・とてもアリスと1歳しかちがわないのに、カイトさんはかしこいです。」
とシュンとしていた。
ごめんよ、アリスちゃん、中身オッサン入り始めてる奴だからね? 気にしちゃダメだよ?
と心の中で謝るのであった。
「そうか、色々有益な話をありがとう。是非とも続報が入ったら、教えて欲しい。こちらで協力出来る事ならば協力し、領民達にもっと夢のある明日を見せてやりたい。何卒宜しく頼むよ。」
と頭を下げられた。
「こちらこそ、宜しくお願い致します。」
と頭を下げる。
丁度、食事の準備が出来たとの知らせがあり、全員で応接室を後にするのであった。
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