第161話


時刻は午後1時10分だったが・・・フェリンシアが食事を待っていてくれた。


「ごめんなさい。すっかり食事の事を忘れてました。」

と素直に謝った。


「ふふふ、海渡は熱中すると、いつもですよねww」

と笑って許してくれた。


そして、料理長アニータさんの美味しい昼食を2人で食べた。

製造部はとっくに食べ終わっていたらしい。

店舗やカフェの店員が、少しずつローテーションで食べに来ているぐらいなので、食堂は疎らだった。


食べながら、カフェの店員に、

「客足はどう?」

と聞くと、


「朝から変わらずで、凄いです。 なんか客が客を呼ぶと言うか、どうやら口コミで広がっているらしくて。更にイートインで食べてるお客さんが、みんな口々に、美味しいって絶叫する物だから、余計に凄い感じですよw まあ、あれを食べちゃうと絶叫したくなる気持ち判るんですけどねww」

と笑っていた。


「そうか、この分だと、カフェの店員も増員しないと、きつそうだな。

君も友達とかで良い子いたら、紹介してね! 随時面接して人員強化したいから。」

とお願いしておいた。


昼食後、また地下工房に戻って、カード型教材のラインを作った。

1セットが厚紙の箱に入るようにしておいた。

材料は安価なので、安く売りたいな。


一応100個ぐらいを先に量産し、後は・・・またまた製造部のダスティンへ引き渡し、丸投げ。出来たらドンドン倉庫に入れておいてね!とお願いしておいた。

本当にすいません!!



オスカーさんにも連絡し、本日最後の製品作った! 子供向けの文字を覚える教材、題して『文字カード』!これ、大銅貨5枚で売って!!! とお願いしたが、いや流石にこれは銀貨1枚以上するでしょ? と説得され、了承した。


気を取り直して、託児スペースへ行き、お手伝いで子供らを見ているスラム組(なんか表現が悪いな・・・考えよう)や、まだ文字を覚えてない子らに、『文字カード』を1セットずつプレゼントした。


あとは、リバーシを5台出して、遊び方を教えて上げた。


スラム組の子に、

「何か困った事とか、不自由している事はない?」

と聞いたが、


「もう毎日が天国ですよ。本当にありがとうございました。」

と嬉し泣きされた。


「文字を覚えたら、計算も教えるから、早目にマスターしてね! 色々覚えると楽しいよ?」

と言っておいた。



そして、フェリンシアと町に出て、孤児院へと向う。


勿論途中の屋台で買い食いしつつ(主にフェリンシアが)、ウインドーショッピングを楽しみながら進む。


教会に辿り着き、まずは祭壇の前で女神様にご挨拶。

『女神様・・・』


真っ白に光り、女神様の元へ。


「どうも、女神様。」


「こんにちは、海渡さん、フェリンシアさん。カフェの成功、おめでとうございます。いつ見ても美味しそうですよね。ああ、食べてみたいわぁ・・・」

と女神様。


「アイテムボックスには入っているんですけどね・・・。ここでは体が無いから無理ですよね?」

と言うと、


「え?だせますよ?」

と言われた。


「え?出せるんですか?」

と聞き直してしまった。


「ええ、だってスキルって魂に直結してますから、魂がある場所であるここでも出せる筈ですよ?」と。


なので、スイーツ全般を出そうと念じると・・・出たww


「あ、本当だ、出せた!!! 宜しければ、是非味見してください。」

と言うと、


もの凄く嬉しそうな顔で、

「ああ、嬉しい。食べたかったのですよ!!」

とパクパクお食べになりました。


「あと、フルーツとか、お寿司とか色々ありますが、どうですか?」

と言うと、


「いえ、今回はこのスイーツだけで十分です。楽しみはとっておかないとねw」

と生クリームを口の周りにつけたまま、キメ顔で答える女神様w


「クリーム、口の周りに付いてますよ?」

と一応指摘。


「あらw」

と直ぐにクリーン?


「あ、娯楽品のリバーシ作ってみたのですが、他の神様と遊んだりしますか?」

と聞くと、


「ああ、それも興味あったんですよ。是非!」

と言うので、デラックスバージョンを出してあげた。


「ああ、嬉しい。これでみんなで勝ち抜き戦やってみますわww」

と大喜び。


「ところで、人員が足りなくて困っているのですが、どこかに良い人材いませんかね?

料理スキル持ちも足りなくて・・・ あとは飛行機の操縦が出来る人を見つけたいのですが、パイロットに適したスキルってありますか?」

と悩み事を相談してみる。


「人員ですか。そうですね。信頼出来る人材でないとダメなのは当然ですが、トリスターであれば、避難民キャンプに良い人材が埋もれてますよ。製造部門や調理部門、カフェや、今度作る大衆浴場の方でも使えますね。


あと、調理スキルなんかは、最初に海渡さんが教えれば、調理スキルを持ってなくても、直ぐに調理スキルが取れる筈ですよ。調理スキルを持っている人は、調理スキルのレベルの上がりが良くなります。


所謂ところの、神の使徒の恩恵ですね。調理スキルだけでなく、どんなスキルでも同じです。海渡さんが教えると、みんな物分かり良くないですか?

あれはその恩恵の効果なのですよ。


パイロットの適性スキルですが、パイロットと言う職種自体が今まで無かったので、作って置きました。海渡さんにも戻ったらスキルが付いている筈です。

あ、あと王都であれば、人材はスラムに何人も居ますよ。

基本、海渡さんと縁あって雇う事になる方は、悪い人は居ませんから、ご安心なさい。」

と、滅茶滅茶凄い情報を頂いた。


「おお、それは何とも嬉しいニュースです!! ああ、なんか一気に人材が増えそうで嬉しいです。ありがとうございます。」

とお礼をいった。


「いえいえ、いつも頑張ってくれていて私も嬉しいのですよ。」


「では、またいらして下さいね。」

と、祭壇の前に戻ってきた。


≪ピロリン♪ スキル:パイロットLv10を取得しました。≫

≪ピロリン♪ スキル:女神の使徒の恩恵Lv10を取得しました。≫


「フェリンシア、何か一気に希望の光が湧いてきたな!」とフェリンシアの方を見てほほ笑んだ。


「良かったですね。じゃあ私も海渡に一杯習おうっとw」

とフェリンシア。


「「ふふふ」」と笑い合う2人。


「今度、フェリンシアにも飛行機の操縦教えるねw」

と言うと、


「ええ、是非!」と。


そして、「「ふふふ」」と笑い合うのであった。

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