第157話


ハプニングは突然やって来た。


やっとトリスターからのヘルプ2名のお陰で、昼食休憩を回し終え、みんなが少し気力を復活させた20分後に・・・。


混雑している店内ではあるが、店内がモーゼのが通る海の様に、人垣が割れて通路が出来る。


え??? と3階でモニタリングしている、3人(居残り秘書部隊のステーシアさんと海渡とフェリンシア)は、何が起こったのか理解出来ずにいたが、一早く発見したフェリンシアが、


「あ、あの店の入り口に居る人って、王様って人じゃないですか?」

とボソリ。


「「えーーーー!」」

と思わず声を揃え、絶叫するステーシアさんと海渡。


いやいや、何しちゃってくれてるの、王様!!


しかも、お供が3名って・・・。 一応、王城で見た様な服装でも王冠も着けずではあるが、バレバレですよ・・・。


「えー、これって俺も店に行くべき?」

と思わず、ステーシアさんに聞いちゃった。


「いや、やはりこれは出て行かないとマズイんじゃないですかね? 絵面的にも。」

とステーシアさん。


なので、2階に居るオスカーさんを連れて、急遽1階へと向かいました。


「いらっしゃいません、王様。」

と2人で頭を下げる。


「おお!カイト君、今日はおめでとう! 今日は1人の友人として、友人の支店のオープンを祝いに来ただけじゃ。無礼講で良いぞ。」と・・・。


それを聞いた、周りのお客さんは

「「友人・・・」」

とか言いながら、ボソボソと何か話してるし。


うっはーー・・・初っ端から飛ばしますねーwww


「そうですか、お越し頂き、ありがとうございます。では、店内をご案内させて頂きますね。」

とお供の人を含めた5名で店の中を、ご案内していく。


「ここ1階では主に食品関連や日用品等の一般的な物を販売しておりまして、彼方が岩塩を販売している場所となっております。 その隣が砂糖の販売コーナーでして・・・・」


すると、王様の視線は店の奥に貼ってある大きな鏡に釘付け。

「おい、あの巨大な鏡は? あれは鏡だよな?」

と驚いて聞く王様。


「はい、私がちょっとした悪戯で取り付けてみたら、意外に好評だったので、王都支店でも付けておりますw」

と海渡が説明すると、


「あの鏡も売り物なのか?」

と聞くので、


「特注の受注生産にはなりますが、販売しております。」

と答えると、


「あれを是非売ってくれ!!! そうだな・・・取り合えず100枚程か」

と王様。


「ありがとうございます。では値段等は、このオスカーと詳しい打ち合わせをお願いします。」

と丸投げw すまない、オスカーさん。


「では、2階へご案内致します。こちらへどうぞ。」

とエスカレーターに誘導する。


「おぉぉ!これは何じゃ!??」

と王様が驚く。


「これはエスカレーターと言う魔道具でございます。階段の登り降りを乗るだけで自動で行います。」

と説明。


王様が1歩踏み出し、

「おお、動いておる!!!」

と喜んでいる。


王様、気に入ったらしく、3周しちゃったよwww


「これも王城に欲しいな・・・」

と王様。


「でもこれを取り付けると、既存のデザインと言うか、構造物を壊す事になりますが、せっかくの歴史ある建物を傷つけてしまっても良いんでしょうか?」

(内心は、えーー?取り付けるの面倒だからいやだぁーーー)


「うむむ・・・そ、そうか・・・。ちょっと考える・・・」

と王様。


「では2階をご案内させて頂きます。 ここでは主に魔道具と冒険者等に向けた商品を取り扱っております。一部の商品は既にご存知かと思いますが・・・」


すると、王様はショーウィンドーに飾ってある超神話級装備に釘付け。


「ん?あれはなんじゃ? あれは初めて見るな? なになに? 超神話級!?」

と驚愕の王様。


「ああ、ええ、あれは昨日やっと完成したので、王都支店は3セットのみとなりますが、持って参りました。」

と新商品である事を説明すると。


「売ってくれ! 欲しい!!!」

と凄い勢いでガッつく王様。


「オスカーさん、あれはまだ残ってるよね?」

とオスカーさんに確認すると、


「ええ、1セットは既に売れたので、展示品以外は残り1セットですがあります。」と回答があった。


「うむ・・・本当は10セットは欲しいのだがな・・・」

と王様。


「今伝説級の職人が作っておりますので、10日前後ご猶予を頂ければ、展示品を除いた1セットをお持ち帰り頂き、残り9セットは後日王城の方へお持ち致しますが、如何でしょうか?」

と提案すると、


「おお!ではそれで頼む!」とご満悦の王様。

更に、


「ちなみに、あれは注文すれば、何セットでも出来る物なのか?」

と聞いてきたので、


「うーん、前に私とフェリンシアが倒したワイバーン、3匹の内の1体分の素材しか残ってないので、残りで30セットと言われると厳しいかも知れません。

ワイバーンのお肉は格別に美味しいので、私もフェリンシアと出会わないかと、気にしてるんですが、なかなか居ないんですよねぇ・・・。

残りのお肉が少なくなったので補充したいんですがね・・・。」

と思わず口をついて出る。


「なんと、あれはお主らが倒したのか!! 普通災害級や伝説級などは、遭わない事を祈るもんじゃがwwww 美味しいと来たかww」

と豪快に笑う。


「ちなみに、あれば何セットぐらいをご所望でしょうか?」

と聞くと、


「うむ、最初の10セットは各騎士団の団長、隊長、出来れば副隊長まで装備させたい。 それで結果が良ければ、近衛騎士団全員の分を追加で欲しいと思っておる。だから60セットじゃな。」


「では、ちょっと連絡して、職人の方に聞いて参りますので、少々お待ちくださいませ。」

とスタッフルームに戻り、ドミニクさんへと電話をする。


「あ、ドミニクさん?海渡です。どうも。ちょっとお聞きしたいのですが、残りの素材って、大体何セット分残ってましたっけ?」


「おお!坊主か! 残りの素材・・・大体80セットかな。 なんじゃ、大口注文か?www」

とドミニクさん。


「ええ、既にバックオーダーで10セット、良ければ追加で60セット。まあ良い結果になるのは目に見えてるのでww 出来たセットはトリスターの店に連絡入れて貰えれば、取りに伺わせますので、取り合えず10セットは早めに欲しいです。」

と伝える。


「ふむ。了解したわい。ガハハw 人使い荒いのぉ~www じゃあまたな!」

と切られた。


急いで戻り、

「お待たせしました。最初の9セットと追加予定の60セットは在庫の素材で何とか間に合いそうです。 また私もワイバーン探しておきますよw」

と答えた。


「そうか!それは良かったw ちなみに、少し気になっておるんじゃが、あのトイレの飾ってある便器は何じゃ?」と。


なので、どういう物かを説明し、ここのトイレは全部それですよと。

すると王様は

「ほお!それはまた凄いな。ちょっとトイレ借りるぞ!」

とトイレに消えていったが・・・中から


「うほっ!!!!」

と大きな声が聞こえてきたwww


暫くして、戻って来た王様が、

「あれも売ってくれ!!!! 是非に!」

との事でした。


うんうん、病みつきになるよねぇwww


と言う事で、取り合えず、在庫の1セットの超神話級装備はお持ち帰り、残り9セットも注文で、鏡も注文、便器も注文と相成った。


王様がホクホクと帰って行って、店の中は再稼働し始めたのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る