第156話
異世界1ヵ月と21日目。
今日は、王都支店オープンの日である。
この日に向け、トリスターではラインも増やし、生産効率も上げた。ストックはかなりの数となっている。
また、カフェの方は、明日にオープンを控え、入念なチェックをここ数日やっている。
もう、やり残した事は無い筈。
気を落ち着ける為に、朝の鍛錬を長め行い・・・と言うか、悶々と考えながら鍛錬していたら、1時間ぐらいやっていたみたい。
朝食時には、
「色々とご苦労をおかけしますが、宜しくお願い致します。」
とスタッフ全員に声をかけた。
裁縫部隊には、避難民からテントの評判が頗る良かった事も、伝えてある。
テントの件の一番の功労者である、裁縫舞台の皆さんは、とても嬉しそうな笑顔だった。
朝食が終わり、南門を出て、木の陰からゲートで王都の北門傍へと出る。
北門から入って、路地裏から宿舎の方へとゲートで移動し、オスカーさん、ヨーコさんらと合流した。
本日のオープンは9時からだそうだ。
時刻はまだ8時前なので、まだ1時間以上余裕がある。
やり残した事とかあるのか聞くと、もう万全! と言われたw
ふふふ、やっぱ頼もしいっす。
なので、昨夜作った裏の敷地の使い方の模型を持ちだして、暇つぶしがてらに、見て貰った。
趣旨と設備面、運用面での魔道具の補助とかも説明した。
銭湯(大衆浴場)はラピスにお願いして、回復効果や美肌効果のある温泉を出して貰う事も付け加えた。
そして、ここで育った人材が、5年後、10年後の貴重な人材となる可能性も伝えた。
オスカーさんも、ヨーコさんも、十分に稼いでますし、お金を世間に廻す意味でも良いと思うと賛成してくれました。
良かったよwww
ちょっと大掛かり過ぎるから、反対されたら、どうしようかと・・・。
そして8時半を過ぎたので、2人は店舗の最終チェックへと向かい、海渡はポツンと取り残される。
はぁ・・・ドキドキするなぁ・・・。(←邪魔になるから宿舎の食堂に待機中)
こういう時は、何か物でも作ってると気がまぎれるんだがなぁ・・・。
と言う事で、待ってる間にポテトコロッケを作ってみました。
ジャガイモを茹でて、冷水に漬けて、皮をツルンと剥いて、ドンドンとボウルに入れていく。
オークのひき肉を炒め、火を通し、ポテトを潰しながら、塩コショウで味を付ける。
炒めたひき肉を入れて混ぜていく。そのポテトを小判型に形を整え、暫し冷蔵庫で馴染ませる。
衣を付けて、油で揚げる。
時間短縮使ってやったら、20分強で100個作っちまいました・・・。
揚げたコロッケは油を切ってから、アイテムボックスに収納しておいた。
しかし、100個作ったのだが、収納時は何故か98個しかなかった。
横を見ると、両手にコロッケを握り、幸せそうな笑顔で食べているフェリンシアが居たwww
お! やっと午前9時。王都支店のオープンです。
店舗の前には、結構な数の人が待っていたようで、今も続々と店に入って行ってます。
コッソリ裏口からスタッフルームに入り、各階の状況を固唾を飲みつつ偵察中・・・。
あ、開店僅か15分で通信機を補充しに売り場担当がストックルームに駆けつけていますね。
テントの売れ行きも好調みたい。
お、ショーウィンドーにディスプレイされている超神話級装備に3人集って相談してる様子。
ジッと見つめていた1人が驚きながら、深く頷いてるよ。あいつ鑑定持ちかもな。
その頷きを見て、後の2人が驚愕の顔してるwwww
こうやって第三者の目で見ると、結構面白いもんだなww
1階(のスタッフルーム)に戻ると、砂糖も岩塩も飛ぶように売れてる。
すっげー!あの女の人、50㎏入りの砂糖の袋担いで行っちゃったよww
新スタッフも、ちゃんと接客出来てるし、大丈夫そうだな。
少し安心して3階の事務所へと上がる。
ヨーコさんは、3階の方から売れ行きをモニタリングしてるようなんだが、ちょっと顔が引き攣っていらっしゃる。
「なかなか出足好調みたいだね。」
と言うと。
「いえ、好調なのですが、当初の予想の2倍以上のスピードで売れてまして・・・、もしかすると、供給が間に合わないかも・・・」
と。
「マジか・・・まあ、今日は売れるだけ売って、在庫切れになったら、閉店だな。無理してもしょうがないよ。」
と言うと・・・。
「まあそうなんですが、結構みんな待ち望んでいたようで、出来るだけ多くの人に塩や砂糖は行き渡って欲しいですからね。」
「じゃあ、1人最大50kg袋1つまでに制限するって手もあるし、あまり無茶の無い範囲で行こうよ。販売するのは今日だけじゃないんだし。」
と言うと、
「そうですね。ある程度在庫が減ったら、販売量制限かけますかね。」
と言う事になった。
朝の9時から開店し、現在11時50分だけど、未だに客足は衰えず、スタッフルームに食事と飲み物を用意して置いていたが、食べる暇が、ローテーションでも取れない。
「これ、もっとヘルプ入れないと先々ヤバそうだな。
ヨーコさん、王都でもっと人雇わないとヤバいね。」
と言うと、
「はい、これはトリスター以上にヤバそうですね・・・。ちょっとこれから、色々廻って来ます。」
と言って、秘書部隊の1人を連絡係にして事務所を出て行った。
通信機を出して、トリスターの店舗の副店長に連絡して、短期間でも良いから、何人かこっちのヘルプは入れないかな?と聞いてみた。
すると、ギリギリ1名か2名ぐらいなら回せると言う回答があったので、じゃあ、今日迎えに行くので、ちょっとの間だけお願いしますと伝え、ヨーコさんにも、ヘルプを1~2名、トリスターから連れて来る事を連絡した。
フェリンシアと、ゲートで王都の北門付近の路地裏へ出て、北門を出ると、影からゲートでトリスターの南門付近に出る。
そして南門の外でまちあわせていたスタッフと一緒にゲートで王都へと向かう。
北門から入り、更に路地から宿舎へと出た。
緊急事態と言う事で、やむを得ずゲートを使ったが、絶対に口外しないように、お願いした。
そして、ヘルプの2人は店舗へと入って行った。
この2人のお陰で、2人づつではあるが、順に短時間の昼食休憩を取る事が出来たのだった。
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