第147話


王様の待つ、別室?プライベートルーム?に通され、王様、お后様、王子様1人、王女様2人・・・総勢5人が待ち構えていた・・・。


何?何が始まるの? と若干ビビっていたのだが、早い話が、

「おい、飛行機に乗せろ!!!」

と言う熱い要望だった。


あと、お后様、王女様2人は

「お父様だけスイーツ食べるとか、ズルい!!! 食べさせて💛」

と言う内容だった。


なので、全員にスイーツ全般をご用意し、試食して頂いた。

もうそれは凄い食い付きっぷりで、王女様なんじゃないの?と言う状況だった。

何故か、その中にちゃっかりフェリンシアも混ざっており、一緒にニコニコ食べていたw 流石はフェリンシア。


で、全員が試食を終わり、満足してくれたので、

「飛行機の試乗はいつにしますか?」

と聞いてみたら、


当然のように、

「いや、今から乗るよ?」

と王様。


「じゃあ、これから城壁の外まで皆さんで行きましょうか?」

と言うと、


「アルマーから庭でも大丈夫って聞いたけど?」

と王様。


「え? 城内から飛んじゃって、大丈夫ですか?」

と聞くと、


「構わん! ワシが許す!!!」

と熱く語られた。


と言う事で、今、試乗希望のご一行様と王城の庭に居ます。芝生の上に、2号機を出したら、

アイテムボックス持ちと言う事を知らなかった、お后様や王子様と王女様に驚かれた。


「えーー! あの御伽噺に出て来るスキル持ちですか!!!」

と。


その御伽噺を知らないので、何とも言えないのだがね。


そして、後部ハッチを開き、全員を乗せ、シートベルトの説明をして後部ハッチを閉じた。

何故かチャッカリ、大臣のワリスさんと、近衛騎士団の団長のアーメイドさん(アーメイド・フォン・ガリス)と言う人が乗り込んでいた。


フェリンシアは既に、コクピットに座っており、シートベルトも締めて、準備万端。


「では、発進しますね。」

と後部へ声をかけ、メインキーを入れ起動。


いつものように、スロットル10%で離陸。

フワリと浮いてドンドン上昇する。


既に、城内に通達されていたようで、城の中で騒ぎは起きてなかったが、見物人が滅茶滅茶沢山居た。


みんな、目をキラキラさせて手を振っている。

「どうしますか? 城壁の外でも1周しますか?」

と王様に聞くと、


「是非とも、最高速度を味わいたい。」

との事。


「では、王都から、一番近い都市って何処でしょうか?」

と聞くと、400km離れたサンバドルと言う都市が南南西にあるそうだ。


「じゃあ、南南西に向かって全速力で行ってみましょうかね。」

と答え、


『知恵子さん、南南西にサンバドルって都市があるらしいんだけど、知ってる?』

と聞くと、


『方位、169°を目指して下さい。約421km先にあります。』

と回答。


『流石、知恵子さんは頼りになるぜ!ありがとね。』

とお礼をいって、ホバリングしながら、方位、169°を向く。高度は現在70mを越えた。


そのまま徐々に上昇しつつ、全開飛行へと移行する。


あっと言う間に後方へと消えていく王都に、全員が驚いている。

現在高度1000mで速度は時速1170km。せっかくなので、そのまま上昇して雲の上に出る。


雲の上の景色に、後部座席は大はしゃぎ。


トリップメーターが350kmを過ぎたので、徐々に降下して雲の下に出と、前方にサンバドルが見えて来る。


「あ、サンバドルが見えてきたようですよ?」

と後部座席へと伝えると、


「もう着いたのか!!!!」

と驚かれる。


「そりゃあ、400kmしか離れてないですから、30分掛からないですよ。」

と答える。


高度200mでぐるりとサンバドルを周回して、王都へと向かう。


合計で1時間掛からない空の遊覧飛行を終え、発進した王城の庭へと無事帰還。


オートランディングでショックも無く着地し、メインキーを抜いて、

「お疲れ様でした。到着です。シートベルトを外して大丈夫です。」

と伝える。


後部ハッチを開けて、興奮冷めやらぬ皆さんを降し、飛行機を収納する。


何故か、王女様がガシッと握手して来て、

「また宜しくお願いします!」

と言われた。


「まあ、機会があれば・・・」

と返事を濁しつつ、引き留め工作を振り切り、何とか王城を脱出したw


「あぶねぇー! あのまま居ると、いつまでたっても、開店準備出来ない可能性があるよなw」

とフェリンシアと笑いながらアルマーさんの別邸へと戻ったのであった。




さて、一方トリスターの地下3階の地下工房では・・・

棟梁率いる大工さん達と職人さん達が、鬼の様なスピードで仕事を熟していた。


2度目となる今回は、どれも同じ規格で作られていた為、その完成速度を上げていた。


「おら、おめーら! あの坊主を驚かせてやろうぜ!!!w」

と激を飛ばす棟梁。


「「「「おーー!!!!」」」」

とそれに応える大工達や職人達。


一丸となって、進める作業は鬼がかっていた。

そして、深夜まで続く工事で、店舗は完了。


先行した一部の作業は宿舎へと移行していた。


既に、彼らには、これらの作業が、十軒以上続く事を伝えてあったので、この先も同じ規格で作られる建物のドアや棚、ディスプレイケース等、最終的には先行して作る予定でもあった。

正に頼もしい集団である。


深夜1時には一応、その日の作業は終え、店舗の方には、言われた通りに、完了と紙を貼っておいたのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る