第131話

 と言う事で、解散して、カフェのキッチンへ。


 スイーツ部隊にチョコの実を取り出して、少しづつ味見させ、チョコレシピの伝授開始。

 ホットチョコミルク、チョコレートパフェ、チョコレートケーキ、チョコレートホットケーキ、チョコクッキー、チョコチップクッキーを教えた。


 手慣れた物で、最近は一度実演して見せて、レシピを渡すと、同じ物が出来てきたよ。

 彼女らの努力と上達ぶりは本当に凄い。

「最初に比べると、ビックリするほど、手際も勘も良くなったよね? 凄いね!」

と心から褒めた。


 そして、これらも今の内に作りだめして、マジック倉庫に保管しておくようにと指示した。


 2時間程のレクチャーが終わり、地下工房で、内装の照明、エアコン、トイレを設置し、点検終了。


 さあ、次はテストフライトだ!


 昼飯は要らないと伝え、フェリンシアと南門へとやって来た。

 外に出る際、城門の衛兵には、空港の土台建設と、テストフライトの件を伝えておく。


 城門と街道から、100mぐらい離れた場所を綺麗に整地し、カッチリと土台を20cm程上げてガチガチのフラットな物に仕上げる。


 しかし、気合が入り過ぎて、フラットで鏡面仕上げしまい、雨が降るとガッツリ転びそうだったので、あらためて、表面を細かくざらざらにし、浅く賽の目状の溝を入れておいた。

 土台は、400m×200mの長方形、この脇に格納庫反対の面にロビーを作る感じにする予定。


 飛行場はこれで、取り合えずOK。

 先ずは、プロトタイプ1号機で、新機能のオートパイロット、魔動サーボ、オートランディングのテストから。


 フェリンシアと機内に乗り込み、操縦席の横に座らせ、始動開始。


 20mまで上昇し、機体を左右に回転させたり、動作チェック。

 今度は速度を上げて、南方向へと高度300mで直進し、オートパイロットをON。

 操縦桿から手を離し、時速1070kmで南下してみる。


 オートパイロットによる、補正で時々操縦桿が動いているけど、問題なし。


 オートパイロットのスタビライザが効いてるようで、全く揺れもなし。


 Uターンしてトリスターへ帰還し、オートランディングを試す。

 ユックリと降下して、狙い通りの場所にアッサリ着地完了。

 驚いた事に、接地時の僅かなショックも無かった。

「俺より上手い・・・」と軽くショックを受ける海渡。


 機外へ出て、プロトタイプ1号機を収納し、プロトタイプ2号機に乗り込む。


 さあ、これが新しい機体の初飛行。

 機能的には1号機と同じ物で構成されているが、どれ程の性能かは未知数。

 機体強度だけなら、軽く10倍で十分以上の剛性もある。

 智恵子さん情報によると、

『機体の耐G性能は30Gを越えてます。搭乗者が先に無事では済まないので機体は大丈夫』

との事。


 また素材の恩恵で、魔力燃費が抜群で、1号機の10倍は軽く飛べるとの話。


「まあ、いってみようか!」

と、メインキーを差し込み、システムをスタート。エンジンスロットルを10%ぐらいに軽く上げただけで、ひょいと離陸。


「かっるーーーいww」


 50mまで上昇し、左右に回転したりテストし、後は徐々に高度と速度を上げながら、急旋回や急上昇を行うが、カッチッとした反応で追従性も良い。


 ついつい、調子に乗って、宙返りやら、インメルマンターンやら、ロールやらやらかしちゃったが、出来ちゃったw


 何よりも垂直に向いてロケットの様に空へ飛んで行く程のパワー!グングン上がっても、全然気圧は変化しない静かな室内。


 垂直上昇で、フェリンシアがキャッキャと喜んでる。と言う事で、雲の上まで来ました。


 下を見たフェリンシアが、

「わぁーー、雲の上ってこうなってるんですね~」

と感激してた。



『知恵子さん、少々無茶してみたけど、機体の状態はどう?』


『全く問題ないですね。この機体は凄いです。』

との事。


 今度は最高速チェック。

 グングン速度は上がって・・・

 今、衝撃波が!


『知恵子さん、音速超えた!!!! 大丈夫かな?』


『結構な衝撃が翼端とエンジンに掛かってますが、特に問題は無さそうですね。』


『あまり音速を超えには適した形状ではないですから、大丈夫ですけど、無理しない方が良いかと。』


『了解』


 と言う事で、時速1150kmを最大速度とするように、後で制御系にリミッター入れとこう。


 西北西方向に向かっていたので、そろそろUターンだな。


 雲の下に降りてみよう・・・。


 雲の切れ目から下に降り高度700mぐらいまで降りると、集落が所々見える騒ぎになるとマズイので、再度雲の上に上がる。


 速度を下げて旋回して、トリスターへと機首を向け、時速1100kmでオートパイロットON。


「計器もオートパイロットも全部OKだな。 フェリンシアお昼ご飯にしようかw」


「はい♪」


 シートから降りて、床に座ってお寿司を出して、いただきます!


「久々のお寿司は美味しいですね。」

と上機嫌のフェリンシア。


「あと、この海鮮味噌汁も最高だよ!」

と海渡。


 フェリンシアは3人前、海渡2人前を食べ終わり、お茶を飲んで、マッタリとする。


『海渡さん、あと20分でトリスターです。高度と速度を落として下さい。』


『了解!』


「あと20分で到着らしい。」

と片付けして、操縦席に座る。


 オートパイロットをOFFにして、速度を落とし、高度300mまで降下する。

 城壁が見えて来て滑走路も見えてきた。

 オートランディングON・・・着地完了。


 これで、王都に行く準備完了だな。


 機体を収納して、屋敷に戻ると、裁縫部隊が頑張ってくれて、乗客シートにクッションが付いていた。


 シートベルトの裁縫も終わっており、

「ありがとう! これで取り付けたら完成だよ。」

とお礼を言う。


 地下工房で、シートとシートベルトを装着し、2号機が完成した。


 急遽、アルマーさんに伝令を出し、2号機の完成で乗員数が増えたから30名までOKと伝える。


 せっかくだから、庭に2号機を出して、裁縫部隊に取り付けたシートを見せる。


「お陰様で、ばっちりに仕上がったよ。ありがとうございました。」

と頭を下げる。


 裁縫部隊は、恐縮しつつも、自分の製品が2号機に付いた事を喜んでくれた。


「座ってみてもいいですか?」

との問いに、


「操縦席はダメだけど、乗客席は良いよ。座って乗り心地を確かめてみて。」

と薦めた。


 店のスタッフや、地下工場のスタッフ、調理スタッフ、カフェスタッフも、順番に見学に来ていた。



 その日の夕食前に、朝伝達していた臨時ボーナスを1人1人に手渡すと、大喜びしてくれた。

 やっぱり、頑張ってみんなで儲けがでたら、ちゃんと還元しないとね。


 そして夕ご飯は、海渡が爆買いした、海の幸や、色んなコーデリア王国料理を出した。


 子供達に、豚骨ラーメンが大人気であった。

 大人には、蕎麦も人気あった。


 2号機完成と臨時ボーナスと美味しい料理三昧で、軽い宴会となり、更に追い打ちで、

「今度の定休日には、みんな順番に試乗会しようか!」

と提案すると、大人も子供も興奮は最高潮!



 結局、その日の勉強会は流れたのだったw



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 文章のおかしい場所を一部修正致しました。ご指摘ありがとうございました。

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