第51話


「いやぁ・・・手紙を見た時は信じられなかったけど、見た今でも信じられんwww

 これから、登録の手続きと、テストはもう良いから、チェックだけさせて貰って、ランクを決めるから。

 まあ、冒険者ギルドの説明もあるし、お茶でも飲みながらやっていこう。」


 受付のおねえさんと、お茶や初期ランクを判断する為の魔道具を持って来きてくれました。

 お茶を飲んでる間に、ギルドマスターが、おねえさんに手紙の内容と事情を話、おねえさんが驚きつつも、

「了解しました。」

と返事をしていた。


 食べ物が絡まない時のフェリンシアは、平常運転でポーっとしている。

「さて、改めて、初めまして。私は冒険者ギルド、トリスター支部の受付をやってる、アニーっていいます。宜しくね。

 じゃあまずはこちらの申請用紙に、書ける所を書いて下さい。字が掛けなければ、こちらで代筆も可能です」


「あ、多分大丈夫です。フェリンシアの分は、私が書きます」


「名前・・・カイト

 年齢・・・5歳

 出身・・・

 武器/魔法・・・剣術、槍術、体術、火魔法、水魔法、土魔法、光魔法、闇魔法、時空魔法

 スキル・・・

 その他・・・                                   」

 うーん、出身地もスキルも流石に書けないよなぁ・・・こんな感じで良いかな。

 今度は、フェリンシアの分か。


『フェリンシアの分を書くね。武器や魔法の欄があるんだけど、同じで良い? 歳は10歳で良いかな?』


『あ、歳は10歳で。あと、私時空魔法は使えないですが、回復魔法使えます。戦闘に関する部分は体術にしておいて下さい。』


『了解!』


「名前・・・フェリンシア

 年齢・・・10歳

 出身・・・

 武器/魔法・・・体術、火魔法、水魔法、土魔法、光魔法、闇魔法、回復魔法

 スキル・・・

 その他・・・                                   」

「よし、っと、出来ました。出身地とスキルは書かなくても良いですかね?」

と2枚の申請用紙を手渡す。


「はい、うん、ありがとう。おお、字がとても綺麗ね。 それに、あなた達、多才ね!! こりゃ凄いわ。何かまだ書いてない凄い事がありそうだけど、これで大丈夫よ。」

と意味ありげにほほ笑むアニーさん。歳の頃は20歳ぐらいかな? 美人の笑顔って良いね!! やっぱり中身が27歳だから、20歳以上じゃないと、ね。


 もっとも、俺は今5歳だから、恋愛とかはあと13年とか先の事かな・・・。と、他愛のない無関係な事を考えている。


「じゃあ、1人づつ、この魔道具の丸い部分に手を置いて、魔力を流してみてくれるかな? これはランクを測る魔道具で、魔力からステータスを読み取って、該当するランクの石が光る物なの。 じゃあカイト君からね。」

と、魔道具を前に置かれた。


 手を置き、魔力をそっと流す。魔道具には、8個の透明な石?水晶?が嵌めてあって、自分のランクの所で、光るらしい。


 なんか、あまり強く魔力を流すと、ラノベの定番通り、「何だこの輝きは! ああ、壊れるーー」って展開になりそうだから、そっと流すよ?


 おお!壊れなかったね・・・お!光ったね・・・8個全部!???


「あれ? 1個だけ光るんじゃなかったの?」


 あれ? アニーさんも、ギルドマスターも固まった・・・。


 あ、ギルドマスターが再起動して、おでこに片手をあてて、下向いたよ・・・。しかも肩が少し震えてるよ?


 アニーさん、再起動。

「えっと、先にフェリンシアの方からやりましょうかね。」


 あ、俺の事なかった事にしてスルーしようとしてる・・・。


「さあ、フェリンシアさん、こちらの丸い部分に手を置いて、魔力を流してみてくれるかな? これはランクを測る魔道具で、魔力からステータスを読み取って、

 該当するランクの石が光る物なの。」


 あ、何か強調したね・・・。


 フェリンシアは、平常運転。手を置いて、無造作に魔力を流した。

「あ・・・そっと流して・・・」


遅かったか・・・


 お!「無事」光ったね・・・8個全部・・・


「・・・」アニーさん再びフリーズ。


 ギルドマスターは、既に隠す事なく、笑ってらっしゃる。腹を抱えて・・・。


「いやぁ~♪ 面白い物を見せて貰ったよ。君ら、実力だけで言うと、SSランク、いや今は無いけど、その上のSSSランクだね。これはランク増設を本部に申請しておかないとな。

 この魔道具だけど、一般には知られてないが、判定可能なSSランク以上を測定すると、全部光るようになってるのを思い出したよ。ギルドマスターしか知らない裏設定。

 でも、長年やってるけど、全部光ったなんて話は、聞いた事なかったね。いやぁ~ 今日は一生の思い出に残る日だwww」

と。


「まあ、しかし、この魔道具だけでランクが確定する訳ではなく、魔道具のランク判定が40%、実績が30%、ギルドへの貢献度が30%でランクアップしていく仕組みになっているんだよね。

 で、普通新人だと、実績も貢献度も無いからランク判定が40%がメインとなる訳だけど、今回君らはあり得ない程の素材を納品しちゃうからねぇ・・・。

 つまり実績も加味され、それの売却でギルドも潤うから、貢献度も加味されちゃうんだよね・・・。

 と言う事で、今数回に分けて貰っている買取の納品が終わるまで、暫定でSランクって事で良いかな?」と。


 あら~、なんかテンプレが来た感じですね。

 まあ、今更だから、「ありがとうございます。」と頭を下げておいた。

 そして、Sランクのギルドカードを渡され、色々注意事項とかを聞いた。


 まあ、要するに、よくある話で


 ・依頼は自分のランクの1個上までは引き受ける事が可能。但し、自己責任で。

 ・依頼を受け、失敗すると、ペナルティとなり、罰金が発生する。

  失敗が一定回数以上となると、ランクダウンや冒険者資格の剥奪もある。

 ・依頼を一定期間(1年以上)受けないと、ランクダウンや冒険者資格の剥奪も

  ある。

 ・冒険者ギルド内で、正当防衛以外の喧嘩や戦闘は禁止。罰金やランクダウンや

  冒険者資格の剥奪もある。また内容によって衛兵に引き渡す。

 ・犯罪行為は厳禁。即冒険者資格の剥奪で、衛兵に引き渡す。


 とこんな感じ。


 あと、ギルドは全世界に支部があり、何処でもそのカードが利用出来る。

 ギルドカードを渡された際に、血を1滴垂らし、初期設定されたカードは、他人が使う事は出来ないらしい。

 カードに登録された本人の魔力を流す事で、本人証明になるそうだ。

 カードには、ギルドへの預金能力もあって、何処のギルドでも引出が出来るらしい。この世界の所謂キャッシュカードだね。

 あ、ギルドカードの番号に直接、他人から振り込む事で、支払いとかも出来るんだって。

 その場合は、ギルドでカードの残高を更新出来るらしい。

 ATMに近い機能だよね? つまり世界中のギルドには、何某かのネットワークが構築されてるっぽい。これは大変興味深いね。

 俺も、そういう通信魔道具作りたいな・・・。


 最後にギルドマスターが笑いながら

「あ、納品が全部終わった時点で、そのカードはSSランクのカードに交換となるからね。じゃあ次は明後日にまたこの部屋に来てね。」

と、背中から声を掛けて来た。


 そして、一礼して、ギルドを後にしたのだった。

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