第36話
お読み頂き、ありがとうございます。
会話続きの部分が読みにくいとのご指摘を受け、改修致しました。
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「ねえフェリンシア、ワイバーンとかって結構遭遇するものなの?」
海渡は、ふと疑問に思ってフェリンシアに聞いてみた。
「うーん、この森の外に出た事ないので、良く判らないけど、お母さんと戦った1回しか見た事はないですね。」
とフェリンシア。
「そうか、と言う事は、森の中も外も、それほどワイバーンがウヨウヨしてる訳じゃないのかな?」
と海渡が更なる疑問を投げる。
「多分?・・・ね」
と首を傾げながら答えるフェリンシア。
「この世界の魔物で、他に空を飛べる奴って、どんなのが居るのかな?」
「ハーピーとかは見た事あるんですが、あとは昆虫系とかですかね? あと見た事はないけど、ドラゴンもいますね。」
とフェリンシアが答える。
あー、やっぱり居るんだ・・・ドラゴン。
『他に、ガーゴイルとかも居ますね。あとは、ブラッディ・バットとか』
と知恵子さん情報。
「この先に昆虫系居るのかな? 俺、嫌いなんだけど。」
と海渡が嫌ぁ~な顔をする。
「あ、私も昆虫嫌いです。お母さんは、フルーツ・キャタピラって大きな芋虫っぽいのが美味しいって言ってたけど、私は虫は嫌です。」
とフェリンシアも同意する。
「じゃあ、極力、昆虫系は避ける方向で行きたいなw」
と海渡が苦笑いしながら告げると、
「でも、フォレスト・ビーって言う蜂の魔物が作るハチミツは大好きです! 取るのは大変だけど、絶品なんですよ。」
と思い出したらしく、軽く涎を溢れさせていた。
ほう!ハチミツか!!
「森を出るまでに、ハチミツ取れるなら取っておきたいなぁ。パンケーキとかに掛けたら美味しいだろうし。」
と呟くと、
「なんですか!? そのパンケーキって!!!」
と思いの外、聞いた事ない食べ物に食いつくフェリンシア。
「うーん、小麦粉とベイキングパウダーと卵と牛乳と砂糖と塩? あとバターか。説明難しいから、町に行って、食材が揃ったら作ってつくってあげるよ。案外こっちの世界でもパンケーキがあるかも知れないし。」
と必要な材料を思い出しながら、海渡が言うと、
「俄然、元気が出てきました! 早く町に行きたいです!!」
と滅茶気合いの入るフェリンシア。
あれだけ食べたのに、本当に食べるの好きだなww
「元の世界には、スイーツって呼ばれる、甘いデザートとかお菓子とか色々あったんだよ。知恵子さんの情報あれば、同じ材料が無くても、何とかなるかもしれないし、余裕が出来たら色々試そうね。」
「楽しみです!!!! 約束ですからね?」
と食い付くフェリンシア。
「ああ、この体に戻ったせいか、プリンとか甘いスィーツ食べたくなるんだよね。 鶏の卵とか、こっちで手に入るのかな?」
『海渡さん、こっちにも鶏と似た様な鳥が居まして、味も似てるはずです。』
おおお!!!! 流石は知恵子さん、ちょっとテンション上がった。
『と言う事は、TKG(卵かけご飯)もいけるのか?』
と聞くと、
『日本と違って、卵の生はちょっと危険かもしれません。まあ、回復魔法で解毒すれば大丈夫かもですが・・・』
と智恵子さん。
ふむ・・・確かに日本では問題に聞いた事ないけど、外国では卵の生って「あんた死ぬ気か?」と正気を疑われるらしいし、こっちの世界でもサルモネラ菌みたいなのが危険なのかもしれないな。
ふふふ・・・ともあれ、いざとなったら、解毒魔法が使えれば、TKGドンと来い!って事だなwww
食べ物で思い出したが、そろそろ、茸や香草類の在庫が少なくなってきているんだよね。 まあ、出発当初の予定より、大食いな子が仲間に加わった事で、予定外に消費しているのだが、気の許せる仲間と一緒に食べれる事に比べれば、大した問題ではない。減ったら、採取すれば良い。移動しながら採取するとしよう。
「なあ、フェリンシア、ペースは落ちるけど、この先進みながら、香草や薬草や果物や茸とかも出来るだけ採取しながら進みたいんだけど、良いかな?」
と提案してみると、
「うん、判った。私が沢山食べちゃうからだよね?ごめんなさい・・・」
とちょっとシュンとしてしまうフェリンシア。
「え?いや、気にしないで良いよ? 仲間と一緒に美味しく食べられるって、本当に嬉しい事だから。幾ら美味しくても、一人で食べる食事って、味気ないからね。
それに、減ったら補給すれば良いんだし。まあ、二人で狩ってるから、お肉は沢山ストックあるから、調味料になる様な物とか、この先役にたちそうな物を採取したいな ってね。」
と慌ててフォローする海渡。
「判ったわ! 私も匂いがしたら、教えるわね!」
とヤル気を見せるフェリンシア。
「と言う事で、知恵子さんも何か発見したら、教えてね!」
と海渡がお願いすると、
『判りました。早速ですが、ここから東に2km程行くと、マンゴーの群生地があります。その辺りには、味は日本のシイタケに似てる回復効果のある茸も生えてます。
今後は何か採取できる食材とかを発見したら、マップに★マークを表示するようにしますね。』
と早速の智恵子さん情報。
「おお!早いねw じゃあ早速ちょっと寄り道して、東にマンゴー&茸狩りに行こう!」
と海渡が提案し、
「了解! 私も沢山採るね!!」
とフェリンシアも同意する。
話もまとまり、進路を東に変更して移動を開始。
まあ2kmなんて、今のこの体なら、大した時間も体力も使わない。
「あ、マップにマンゴーの★マークみつけた! けど・・・何か沢山赤い魔物も居るよね?」
と海渡。
ちなみに、現在マップのスキルのLvアップで、検索エリアは半径1kmと広くなっている。
その一つを確認すると
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種別:フルーツ・キャタピラ
Lv:22
説明:芋虫の昆虫系魔物。
性格は比較的大人しいが、攻撃されたり、食事の邪魔をされると、
暴れだす。果物のみを食べ、中でもマンゴーが大好物。
攻撃は口から糸を吐き、相手を行動不可能にしてしまう。
知能は低く、強くはない。但し、糸に引っ付くと、なかなか取れないので、
注意が必要。
肉が美味しく、良い金額で取引される。特に希少とされるマンゴーを食べて
育った個体の肉は非常に美味しく、希少とされ高値で取引される。
但し滅多に出回る事はほぼ無い。
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『あ、伝え忘れましたが、マンゴーはフルーツ・キャタピラの大好物です。
あと、マンゴーの木の花から採れる蜜とマンゴーの実はフォレスト・ビーの大好物です。
フルーツ・キャタピラですが、肉が美味しいので町で結構良い値段で取引されていますよ。』
と智恵子さんが補足を入れて来た。
「うん、情報遅いよね。まあ、そういう事なら、取り合えず、『二兎追うものは一兎も得ず』とは言うけど、マンゴー、フルーツ・キャタピラ、ハチミツをついでにGetだぜ!!」
そして、マンゴーの木の群生地の前に到着し、フルーツ・キャタピラが居た。結構沢山。比較的低い枝のマンゴーに、猫サイズのフルーツ・キャタピラが1~2匹張り付いているけど、上の方のマンゴーは無事みたい。
猫だったら可愛いし、癒されるけど、デカイ芋虫に癒しは無い。
「しかし、そうか・・・。マンゴーを食べて育ったフルーツ・キャタピラは、滅茶苦茶美味しいらしい。町でも高値で取引されてるってよ?」
と海渡が言うと、
「お母さんも、美味しいって言ってました。でもあの形を食べるのは・・・ちょっと抵抗あります。でもそうですか・・・美味しいんですか・・・」
とフェリンシア・・・。
なんか、美味しい情報に、尻尾が大きくブンブンと揺れてるんですが・・・
「あとで食べてみる?」
と海渡が聞くと、
「一口だけ味見しても良い気がしてきました。」
とフェリンシアww
「さて、どうやってフルーツ・キャタピラを排除するかな? 取り合えず、木と実を傷つけないように、弱い風魔法の矢とかでヤルか。」
まずは、一番手前の木の実に張り付いている1匹を狙い、弱いウィンド・アローをイメージして、発射!
「バシュッ」と言う音と共に簡単に貫通し、その先の木の枝にも当たってしまって、枝が「バンッ!」弾けた。
「わぁ・・・失敗した。これでも強すぎるのか。これは違う意味で神経使うなぁ・・・ ちょっと方針変更しようか。」
暫し作戦を考えた後、バインド系の魔法を思いつく。
「イメージは闇魔法で作った触手の様な感じで・・・巻きついて引きはがすっと・・・」そしてダーク・バインドを発動。
黒い靄の様な職種が手から現れ、1匹を絡めとり、こちらへと引き寄せる。
そして、すかさず、小太刀で頭部を切断。
「うん、こっちの方が若干手間はかかるけど、確実だな。じゃあ、俺がダーク・バインドでドンドンとフルーツ・キャタピラを3匹づつ引き剥がすから、フェリンシアはとどめを刺してくれる?」
「判ったわ。まかして下さい。」
今度は3つのダーク・バインドを準備し、3Dマップで3匹をロックして発動。
フェリンシアの近くの地面へと引っ張って来たフルーツ・キャタピラを、フェリンシアがウインド・カッターで次々に頭を切断。
「こんな感じのペースで大丈夫そう?」
「はい、全然大丈夫です。ドンドンやっちゃってください。」
と言う事で、流れ作業でドンドン、フルーツ・キャタピラを仕留めて行く。
30匹ぐらい仕留めた所で、一旦やっつけたフルーツ・キャタピラの死骸をアイテムボックスに収納し、場所を移す。
また、流れ作業開始。このループを14回やり、やっとフルーツ・キャタピラが居なくなった。
「じゃあ、今度は実の収穫だね。ダーク・バインド、便利だからこれでやってみるね。」
『ねえ、知恵子さん、無傷で食べごろのマンゴーだけって3Dマップでロック出来ないかな?』
『出来ますよ。3Dマップに黄色の▲で表示しますね。』
どうやら、出来るらしい。有能だよな。
10個の▲をロックしてダーク・バインドを10本を同時に発動。
手元に引き寄せたら、そのまま流れ作業で収納。
場所を移しながら、38回繰り返し、食べごろのマンゴーの収穫は終了。
続いて、茸だな。
『ねえ、知恵子さん、さっき教えてくれた茸ってマッピング出来る?』
『出来ますよ。3Dマップに同じく黄色の▲で表示しますね。』
おお、マンゴー程ではないけど結構あるね。
さっきと同じく、10個の▲をロックしてダーク・バインドを10本を同時に発動し、手元に引き寄せたら、1本は手元で鑑定し、他は収納。
シイタケと言うより、オレンジっぽい薄茶色で、大きさは大人の手のひらサイズ。形はマッシュルームだな。
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マギ・マッシュ
説明:回復効果のある茸。非常に美味しいが、マンゴーの倒木を苗床にする為、
なかなか手に入らない。市場に出回る事は殆どない。
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「ほほ~、これは良い食材だ!!!」
とその味と効能に喜ぶ海渡。
ちなみに、フェリンシアは?というと、現在黙々と収穫したマンゴーの1個に齧り付いております。また綺麗な毛並みがマンゴーの果汁で赤く染まってるよw
黙々と食べてるフェリンシアを横目に、シイタケ改めマギ・マッシュを本格的に収穫開始する。
取り合えず、良い時間になってきたので、本日はこのマンゴーの木の傍で一泊する事にした。
ダーク・バインドを次々に繰り出し、200本ぐらい収穫したので、収穫を終了する。(一応乱獲しない様に配慮をしてみた。)
「ふぅ~ 沢山収穫したぁ~♪」
と海渡が喜んでいると、
「ふぅ~ マンゴー美味しかったぁ~♪」
とご満悦のフェリンシア。
「フェリンシア、口元の毛が赤く染まってるよ?」
と言うと、慌ててクリーンをかけていたw
「どうする?先に進んでも良いけど、多分あと1時間ぐらいで夕暮れになるかも。いっそ今夜はここで1泊する?」
「私は海渡の判断にお任せします。」
「じゃあ、ちょっと早いけど、今夜はここで野営って事にしようね。」
テントとお風呂を出して、2分で設営完了。
まあ流れで結局一緒にお風呂に入り、体と頭を綺麗に洗って、現在湯船でマッタリ。
5歳児には似合わない、「ふぅ~ 生き返る♪」とジジ臭いセリフ漏れてしまうが、ご愛敬って事で。
夕食は、フェリンシアの熱い要望で、またワイバーン。
いくら美味しいといっても、そろそろ、純和食や、焼き魚とかが恋しい。
多分、ホームシックに掛かるとしたら、それは食事だろうなw
何とかこの世界で、和食を再現せねば!!!と密に心に誓うのであった。
大小2つの月が夜空に輝く頃、やっとフェリンシアが満足してくれて、夕食は終わりました。
そう、この世界って月が2つあるんですよ。それぞれ大きさも周期も違うみたいで、月が1つの夜もあるんですよ。
逆に、2つが揃うと、結構夜中でも明るい日はある。まあ日本の都会程の明るさじゃないけど。
食後のお茶を飲んで、明日の事や元の世界のスィーツの話とかして、歯を磨いて就寝。
フェリンシアに抱きかかえられるように引っ付かれ、いつの間にか夢の世界へ。
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