第19話


 先ほど、オーク・アーチェを攻撃して外した初弾の2発が、オークの群れの方に飛んで行き、オークの集落では、軽くパニックが起きていた。


 実は、この初弾の2発が、オーク3体に被弾し、重症1匹、死亡2匹の隠れた戦果を残していた。


 当初、何処から飛んで来たのか、判ってなかったのだが、次弾2発の炸裂音で、敵の方向を察知され、オーク・キングの号令で、オーク・ジェネラル率いる分隊が、こちらへと向かってきている。


 構成は、オーク20匹にオーク・ウィザード1匹、オーク・アーチェ1匹、オーク・ナイト1匹とオーク・ジェネラルである。


 すぐに、マップの変化に気付いた海渡だが・・・流石に、この数は難しい。

 結界内の木の陰で、どうしようかと考え中だった。


「取り合えず、破られる事の無い、結界を盾にして、やれるだけってしまうか?」


 上手く上位個体をれば、今日中にLv二桁突入も、夢ではない。


 本当なら、また罠を仕掛けたい所ではあるが、流石に間に合いそうにないので、隠れずに、オーク達が見える位置で腕を組んで待つ。


「プギー」と言う号令で、オーク20匹がが横一列に並んで、構える。


 身長2m70cmぐらいのオークの中央には、頭一つ飛び出た身長3mぐらい大剣を持ったオーク・ナイトと、後ろには身長4mぐらいのオーク・ジェネラルを中心に、オーク・ウィザードとオーク・アーチェが左右に揃っている。


 オーク・ナイトは見下す様な眼つきで、小さい海渡を眺め、大剣を地面に立てて仁王立ちしている。


 後ろでは、オーク・アーチェが弓を構え、オーク・ウィザードが、杖を持って、詠唱?を開始しているようだ。


 オーク・ジェネラルの一声で、一斉に攻撃が始まった。


 まずは、オーク・アーチェの矢と、オーク・ウィザードのファイヤーランスが飛んで来た。

 ちょっとヒヤッとしたが、結界で弾かれ、ファイヤーランスの着弾時の煙が白く立ち込める。

 この隙を突き、海渡は10発のアクアカッターを、多重起動して、向かって右側のオーク辺りにぶっ放す。


 ズラリと並んだオークどもは、良い的であるw


 発射すると、そのまま更に10発のアクアカッターを起動して、今度は左側のオーク辺りへぶっ放す。

 この間、約1秒。


 更に、10発のアクアカッターを起動して、中央部分狙って集中砲火を掛ける。


 前衛の20匹のオークの半分が死亡し、半分は重症で戦闘不可状態となった。

 オーク・ナイトは、右太ももから切断されていて、大剣は折れ、これも既に戦闘不可ww

 正に前衛陣は、阿鼻叫喚の地獄絵図となっている。


 ≪ピロリン♪ Lv9にレベルアップしました。≫


 瀕死の重症オークが、次々と絶命していく事で、時間差のLvアップのアナウンスが流れた。


 マップを確認すると、まだ後ろの3匹は、生きているようである。


 視界が晴れる前に、海渡は場所を右側いに移動し、射線を変える。


 木の陰に隠れ、視界がクリアになった時、後ろの3匹の前には、ボロボロになった土の壁、アースウォールがあった。

 オーク・ウィザードが、咄嗟に防いだらしい。


 さて、どうやって攻撃すべきかな? と考え、一人攪乱戦法を思いつく。


 風魔法で、トルネードをイメージし、壁の向こうへ飛ばす。

「プギャー」と混乱した鳴き声が聞こえ、その隙に、結界から飛び出し、10本のファイヤーランスを起動して、3匹の横から攻撃をかける。


 混乱で、オーク・ウィザードは対応が間に合わず、ファイアーランス2本を受け、絶命。

 既に負傷していたオーク・アーチェも1本を受けて、絶命。


 ≪ピロリン♪ Lv10にレベルアップしました。≫


 とうとう目標の2桁に突入したw♪


 オーク・ジェネラルは、左肩と左足と右腕に被弾しており、大剣を片手で杖にして、跪いていた。


 海渡は、小太刀に「鋭利増加」を付与し、飛ぶようにオーク・ジェネラルの元へと駆ける。

 オーク・ジェネラルも杖替わりにしてた大剣を片手で振り上げ、迎え撃とうとしている。

 しかし、海渡は負傷している左肩の方へ、直前で進路を変え、回り込んで背中から袈裟懸に切る。

 オーク・ジェネラルはゆっくりと崩れ落ち、絶命。


 ≪ピロリン♪ Lv11にレベルアップしました。≫

 ≪ピロリン♪ スキル:身体強化Lv3を取得しました。≫

 ≪ピロリン♪ 魔法:火Lv2を取得しました。≫

 ≪ピロリン♪ 魔法:水Lv2を取得しました。≫


 そして、23匹の生き残りに留めをさしながら、嬉々として回収していく。

 本人もまさかここまで圧倒的な勝負になるとは思ってなかった。


 ベースキャンプに戻り、戦闘で汚れた体を風呂で綺麗にし、湯船にゆったり浸かって、ステータスを確認する。


『ステータス』

 ************************************

 名前:(冴島海渡(仮))

 年齢:5歳(27歳)

 種別:人族(+α)

 職業:(テスター)(考古学者)

 Lv:11

 HP:950/3404

 MP:382/4335

 筋力:4509

 俊敏:2013

 武術:剣術Lv10 槍術Lv10 忍術Lv10 体術Lv10

 魔法:火Lv2 水Lv2 風Lv1 土Lv1 光Lv1 闇Lv1 聖Lv1 時空間Lv1

 スキル:鑑定Lv3 アイテムボックスEx 言語理解Lv10 経験値増加

     スキル取得補助 隠密Lv6 気配感知Lv6 女神の知恵Ex 料理Lv1

     魔力感知Lv3 魔力操作Lv3 エクストラレーダーマッピングLv4

     多重処理Ex 身体強化Lv3 魔法付与Lv1

 称号:武術マスター(異世界の訪問者)(神々の使徒)(インテリ筋肉)

    (冒険に童貞を捧げし者)

 ************************************


 こんな体で異世界に来て、タイムリミットとかで日々焦りがあったのだが、昨日と今日で、やっと出口が見えて来た気がする。


 こうしてみると、結構魔力もギリギリだったのかも知れない。

 途中でMP容量が上がっても、満タンに復活する訳じゃないからなぁ・・・。

 もっと魔力量に余裕を持てるよう、日々鍛錬だなぁ・・・。


「よし、今夜はお祝いも兼ねて、女神から貰ったお米と焼肉にするかな。」

と途中から思考の方向が、食欲に収束していくのであった。

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