中国史、人物評伝
ケビン・カルキン
第1話 武則天
武則天(ぶそくてん)
(生没 西暦 624-705)
唐王朝(とうおうちょう)第三代皇帝・高宗(こうそう)の皇后にして、後に中国史上唯一の女帝として、天下に君臨した。
中華帝国(ちゅうかていこく)の歴史は基本的に、女性が表立って権力を握る事に、否定的である。
ではなぜ彼女は、中国史上唯一の女帝となり得たのか?
それは彼女の生きた中国・唐代(とうだい)が、女性が活発な時代であって、彼女がそれをなし得たのは、そのような時代の空気と、無縁ではなかったからと思われる。
武則天は自らの治世(ちせい)において、唐の皇族である李氏(りし)に、反乱を起こされているが、それは鎮圧されて、彼女の権力を覆すような、大反乱には繋がらなかった。
なぜなら、彼女の(失政(しっせい)もあったが)統治(とうち)は安定しており、民衆がそれを壊される事を望まず、皇族の反乱に付いていかなかったからである。
そして彼女の孫にあたる玄宗皇帝(げんそうこうてい→楊貴妃(ようきひ)の夫)の時代に、唐は全盛期(ぜんせいき)を迎えるが(いわゆる『開元の治』→かいげんのち)、それをもたらしたのは、玄宗皇帝の力量だけではなく、武則天の政治的遺産に依る所も大きい。
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