第9話 永遠に翔
サプライズパーティの帰り道。
歩いて東京の我が家に向かう途中、姉ちゃんが公園のブランコに乗りたいと我が儘を言い出した。
言い出したら聞かない人だからね、仕方なくオレは姉ちゃんの隣でブランコをこぎながら聞いた。
「とわちゃん、ホンマに驚かすの辞めてや。
何で今日来たん?
今日来るのまさかママにも連絡してないんとちゃうやろな。」
「何でやろなー。
何か数日前から胸が締め付けられるようにドキドキしてて、もしかしてかけちゃんに何かあったのかと思っていても立ってもいられず来たんや。
昔からそうやったやろ。
かけちゃんに何かあるときはいつもうちまで調子崩すねん。」
「それはオレも同じやった。
とわちゃんがケガするとオレも同じところ痛くて…
そんならわざわざ東京まで来なくても電話すれば良かったやろー」
「電話で聞いたってどうせ本当のことなんて話せへんやろー。
かけちゃんてそうゆうところあるよ。
弱音吐くの嫌なところ。
でもな、今回の虫の知らせは、胸がざわざわじゃなくて、胸がドキドキしたんよ。
何かハッピーなことが起こる予感。
だから、翔に何か良いこと起こるんならそれを姉として見届けたいと思うて来たんよ。
でも今回の虫の知らせはいったい何のことやったんやろ?
良いことが起きたような?
起きなかったような?
でも、かけちゃんの周りにおる人がかけちゃんから聞いてたとおり、皆良い人やとわかって安心したわ。それは良かったことやな。」
「ホンマにオレら双子だよな。」
実はオレも数日前から胸がドキドキしてたんや。
「オレは永遠に良いことが起こるところを弟としてちゃんと見届けられたような気がしてる。
次はオレの番やから、そんときは見届けてや。」
オレは先にブランコを降りてスベリ台を滑る姉貴に聞こえないように呟き、ブランコを思いきりこいでから翔び降りた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます