序
初戦 金華剣戟
夏の終わりに内閣府の長である
花守——それは、
霊魔の持つ〈
その苦悶を、少女・
魂が変質することへの悲痛な叫びが、
月の美しい夜だった。
いや、迫る死を前にして——そう錯覚しただけかもしれない。
先ほどまで杏李を守護し、
異形の腕が振り上げられる。杏李は目を
ほとばしる鮮血は致命傷を意味している。あまりの痛みと熱に、杏李は声なき悲鳴をあげた。恐怖が支配する胸に去来するのは後悔と
この時間に出歩くことを戒められていたにもかかわらず、彼女は無理を言って外出した。
一夜明けてからのほうがいい、夜は霊魔が
(私は、死ぬのか)
脳裏に浮かぶのは、義兄の顔だ。幼い時から焦がれ、
(死にたくない……)
滲んだ涙は痛みからではない。そんなものはとっくに麻痺してしまっている。ただ悔しさから溢れ出したものが視界を洗い流し、明瞭にする。
(死にたくない!)
見開いた目が捉えたのは、血に濡れた刃。すでに息絶えた従者の持ち物か、たまたま偶然落ちていたものか。あゝいずれにせよ、少女にとってそれは真実、必然の救済であった。
少女の動かないはずの腕を動かしたのは、
「
血に塗れた羽織が
無茶苦茶
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