ネッ友恋愛

第15話 約束

　とある日、タイムＬＡＮＥを確認すると、ちとせが投稿したタイムＬＡＮＥにとんでもない内容が記されていた。

『あ～もう、面倒くさいから一番最初に会いに来てくれて人を彼氏にしよっかなぁ～誰かかもーん』

　その反応に対して、何人の人がコメントを残しており、『ユミちゃん！行くよ！！』とか『今どこにいるの？すぐに向かうよ～』っといったような僕の煽らせるようなコメントが多数見受けられた。さらに、そのコメントに対して、ちとせは、『来て来て～！！』っと好意的な印象を残すようなメッセージを残していた。その中に【ゆうきくん】と思われる人物が何かアクションをタイムＬＡＮＥ内で起こしているかどうか確認するが、どうやら特にはコメントもいいねも見られなかった。

　僕は急いでちとせにメッセージを送った。

『タイムライン見たけど、あれはどういうこと？』

僕がメッセージを送ると、すぐに既読が付いて、ちとせから返事が返ってくる。

『ん？？いろいろと面倒くさくなっちゃって…』

『面倒くさいって…』

『だって、もう生きてるのすら面倒くさくなっちゃったんだもん…』

『そんなこと言わないの！』

僕が注意すると、ちとせからムッっとした表情の顔文字が送られてきた。

どうしたものか…僕が悩んでいると、ちとせから再びトークが送られてきた。

『個通しよ？』

個通とは、個人通話をすることを示している。僕は『うん、いいよ。かけるよ？』と送って既読が付いたのを確認してから通話ボタンを押した。

1コールもならない間に、ちとせが通話に出た。

「もしもし？ちとせ？大丈夫？」

『う～ん･･･』

「う～んって…」

声のトーンが低いことからも暗の意味で大丈夫ではないと言っているようなものだった。

僕は一つため息をついてから、電話越しからちとせに語り掛ける。

「辛かったら、甘えてきてもいいんだぞ？？」

『･･･』

しかし、ちとせからの返事はなかった。

どう言葉を掛けてあげたらいいのだろうかと考えている時だった。

『え！？何！？！？』

っと元気な声でちとせが聞いてきた。

「え？？」

『ごめん、聞いてなかった！なんか言った？』

「おいこら」

『えへへ…』

「こっちは本気で心配してやったってのによ…」

『ごめんごめん～』

どうやらちとせは、他の人のLANEのトークを返すのに必死で、僕の言葉を全く聞いていなかったみたいだった。さらに、声のトーンはいつも通り元気なちとせに戻っていた。というか、不安を文面で煽るに煽っといて、実はピンピンしてるとか、全くどうしようもない奴である。

僕は、無駄に心配してしまった労力を返してほしいよ…といわんばかりの大きなため息をついたのであった。

◇

しばらくいつものように会話を続けた後、話題は先ほどのタイムLANEの話へと戻っていた。

「そういえば、さっきのタイムLANEは何だったんだよ？」

『一番最初に来てくれた人は、ちゃんと私のこと想ってくれてるってことだし。ゆうきくん全然こっちに来てくれないから、もういいかなって…』

「なるほどね…」

どうやらちとせは、ゆうきくんにやきもちをやいて欲しいがために、先ほどのような内容のタイムLANEを投稿したようだ。だが、僕は、逆にこのタイムLANEの真の意味とは違い、逆手を取ってやろうと思った。

「じゃあさ、ちとせ僕がちとせのところに行って、1週間時間を奪ってもいい？」

『えっ！？』

ちとせが驚いたように声を荒げた。

「ちとせの行きたいところに連れて行ってあげるよ」

『本当に！？』

「うん！」

『やったぁ！私遊園地行きたい！あと、ランドも！！』

こうして、ちとせと直接会って、旅行をすることが決まった。

だが、これの旅行計画が今後のちとせとの関係性に支障をきたすこととなるなんて、今の僕には知る由もなかったのであった。