C

ごく稀に部屋を出ていく者がいる。私がだいたい50万回吸って吐く間に1人くらいの頻度ではあるが確かにいるのだ。

誰かが部屋を出ると部屋が明るくなり、暗くなる。どうやら扉などがあるらしい。ただ何故に外へと出ていくのかはわからぬ。

その稀な現象が今日も起こった。扉を気にするものなどほとんどいない。目の前が明るくなり、また暗くなるだけである。

そして最近気がついたことだが、出て行った者が帰ってくることはない。それどころか、誰かが入ってくることはまずないのである。

しかし幾度となくこんなことがあっても、呼吸の数は減らない。減っていないと思う。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る