第11話 ラマニアの名器

「はぁっ、はぁっ、はぁっ!!」



 ラマニアは激しく肩で息をしていた。


 二度目なので初めての時よりは楽になると思っていたのに、その予想を裏切られたといった様子だ。


 ラマニアには悪いが、俺のほうは初めての時より体の負担は幾分マシに感じられる。



「ラマニア、大丈夫?」


「はぁ、はぁ、は、はい……。り、リン様は……その………」


「ああ、俺は大丈夫だ。初めての時より全然マシかも」


「そ、そうですか……なんかズルいです」



 そんな、ズルいとか言われてもなぁ。



「わ、私ももっと特訓して、『聖門ミリオルド』を大きくして……」



 そうか、俺が今回これだけ余力が残っているのは御鎮法おちんぽうのおかげなのは疑いようがない。


 ならばラマニアも訓練を積めば体への負担ももっと軽減できるかもしれない。



「それはやめておけ」


「えっ?」



 突然の声に驚いて振り返ると、それはヴィアンテ様だった。



「ヴィアンテ様!?」


「今のはどういう意味ですか?」



 先ほどのヴィアンテ様の言葉に、ラマニアが噛みつくように詰め寄る。


 昨夜のラマニアの自主訓練を見てしまった俺も、それを否定するようなヴィアンテ様の言葉には違和感を覚えた。



「ラマニア姫よ、そなたの努力を否定しているわけでは無い。だが単純に『聖門ミリオルド』を大きくすれば良いという問題では無いのだ」


「何故ですか?」



 今の質問は俺だ。


 ラマニアに言わせてしまうとヴィアンテ様への反感の気持ちを増幅させてしまうように思い、あえて俺が先にその質問を口に出した。



「うむ。本来『聖門ミリオルド』とは『炎』を消すために必要不可欠なものだ。だが同時にこちらの次元に『炎』の熱を漏れ出させる危険性もはらんでいる」


「そ、それは……はい……」


「もしもそなたの『聖門ミリオルド』がリンの『聖塔ミティック』よりも大きくなったらどうなる?たしかに挿入は楽になるかもしれんが、そこに隙間ができればその隙間から『炎』が漏れやすくなるのだ」



 そういう事か。


 次元の門『聖門ミリオルド』はあくまで『炎』を鎮火するための手段だ。


 その『聖門ミリオルド』が逆に『炎』の影響をこちらの次元にもたらす存在になってしまっては本末転倒じゃないか。



「そんな『聖門ミリオルド』では本来の役目を果たせぬであろう?そなたは自分の『聖門ミリオルド』をそんな役立たずの『ガバもん』にしてしまって良いのか?」


「そっ、それは!!」


「ヴィアンテ様!その言い方は無いでしょ!!」


「勘違いするな。私は今のラマニアの『聖門ミリオルド』のままで良いと言っておるのだ。リンの『聖塔ミティック』をくわえこんだ時、隙間なくぴっちりと締め付けているあの状態こそ『炎』を漏れさせぬ理想的な状態だ。自信をもって良い。そなたの『聖門ミリオルド』こそ、最高の名器めいきだ!」


「ヴィアンテ様………」



 なるほど、そういう意味だったのか。


 ヴィアンテ様の説明を聞いて、全てが納得できた。



「ラマニア姫、そなたの訓練の全てを否定はしておらぬ。『聖門ミリオルド』を適度に刺激して挿入しやすくするのは良い。だが、過度に『聖門ミリオルド』を大きくして『ガバもん』にしてしまう事だけは避けねばならん」


「わかりました………」



 どうやらラマニアも納得してくれたようだ。


 だがそうなると、今後のラマニアの負担をどうするかという問題は解決できないという事じゃないのか?


 挿入のたびにラマニアが苦しむのなら、それは俺も心苦しい。



「ふっ……安心せよ。ラマニア姫、明日からはそなたもリンの御鎮法おちんぽう訓練に参加するといい。そなたにかかる負担を軽減する方法を伝授してやろう」

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