第47話 危険な芽
私が屋敷を出ても、追手が追ってきた。人数は二人。
武器を持っている様子は見られない。
こんなに走ったのはいつぶりだろうか。
かなり体にくる。
そしてすぐに息が切れ、私は走ることを止めた。
振り返ると追手が二人立っていた。
やはり振り切ることは不可能だったみたい。
「お前は何者だ。なぜダム様の屋敷に忍び込んでいた?」
そんなの答えるわけないでしょ。
「どうやら言わないようだな。なら力ずくで吐かすまでだ。行くぞ!」
追手の二人は私に向かってきた。
「エアカッター」
「ブルーボール」
二人から風の刃と水球が飛んできた。
やはり魔法使いだったか。
私はぎりぎりでかわす。
「おいおい、逃げてるだけじゃ意味ないぜ」
その後も男らは魔法をバンバン使ってきた。
「二対一は分が悪い。とりあえずここから逃げよう」
「んっ!」
私は相手の打ってきた水球に同じく火の球をぶつける。
すると蒸発し、水蒸気が周りにあふれた。
その隙に私は逃げることに成功した。
追手を撒いたところで、白魔法を使って自分の傷を治す。
「いや、それにしてもまずいことになった。だけど年貢米だけは決して納めさせるわけにはいかない」
私はどうやってダムのことを出し抜くか考えていた。
一方そのころ、モンドは顔をしかめていた。
「どうしましたか?またダム様が騙されやしないかと案じておられるのですか?」
部下が訊いた。
「いや、そうではない」
確かにダムを案じているのも理由の一つであるが、問題なのはダムを騙した奴がいるということだ。
そして年貢米を盗み出した奴もいる。
これが同一人物かどうかわからないが、明らかにダムに対して敵対する存在がいることは明らかであり、ひいてはバラガン様に敵対する存在がいることになる。
この危険な芽を今のうちにつんでおくべきだ。
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