第41話 いい話

私はマッドさんと話した。


「商団の人たちに聞き込みをしましたが、やはり彼らにまで情報は漏れていませんでした」

「そうか。それでは彼女本人から聞き出さなければいかなくなったか」


「そこで私に考えがあります」

「どんなのだ?」

「それは―――」

私は計画を説明した。


「なるほど。それでやってみよう」

マッドは納得した様子だった。



その後私はマッドを例の商団のもとへと連れて行った。


「また護衛のお前が何のようだ?」

「実はここの行首様と会いたいという人がいまして・・・」

私はマッドに視線をずらす。


「道案内どうもありがとう」

「いえいえ。では私はこれで」

そういって私はその場を離れ、遠くからマッドを見守ることにした。


「それでお前がうちの商団になんのようだ?」

「その前に私の自己紹介からしよう。私はこのボア国で商業を営むドッマだ。ここの行首様に話があってきた。今行首様はいらっしゃるかい?」


「いや、今はいないね。それにどこの誰かも分からないお前をそうやすやすとうちの行首様に会わせるわけにはいかない。帰ってくれ」

「おいおい、それは寂しいじゃないか。それに私はいい話を持ってきた。」

マッドは意味ありげな笑みを浮かべた。


「いい話?」

男は話に食いついたようだった。


マッドはそこで男の耳元に口を近づけ、小声でささやいた。

「密輸だ」


ここでマッドはをかけた。

もし本当に密輸をしているのならば、相手に何かしらの反応があるはずだ。


男はわかりやすいほどに動揺していた。

マッドはこれを見て、この商団が密輸をしていることに確信を持った。


「その話で行首様にお取次ぎしてほしいんだが」

「ちょっと待て、今行首様に連絡を取ってみる」


男が連絡を取っている間、マッドは私に向かって小さく親指を立てて見せた。


私も同じく親指を立てて返す。


ここまでは全て私の計画通りに進んでいた。











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