第37話 ボア国
道中、やはり山賊らが出てきた。
そのたびに私が赤魔法で薙ぎ払う。
無詠唱は流石にまずいので適当に「ファイヤーボール!」と叫んでみる。
しかしこれが合っているのかどうかはわからない。
ちなみに白魔法も使えることは秘密である。
「モモコちゃんやるね!こんな出来の良い娘を持つなんて親はさぞかし幸せでしょうね」
行首がいった。
「両親は私が幼いころ役人に連れて行かれました」
「それはごめん。さぞ辛かっただろうに」
重い空気が流れる――。
その日の夜は野宿をした。
私が赤魔法で火をおこすととても喜んでもらえた。
これは、ライターを売ったら相当儲かるぞ。
まあ私に売る気は全然ないけど。
「ちなみに隣国へは何を売りに行くのですか?」
私は訊いてみた。
「私の商団は食べ物を扱っているから干し肉や野菜を売りに行くのよ。で、向こうの絹や織物を買ってそれをこっちで売るとこれがすごい儲かるの」
行首は親指と人差し指でわっかを作って見せた。
それから二日後、無事私たちは隣国へ着いた。
隣国の名前はボア国。
行首は知り合いの商人に話しかけた。
「すいません。バニラ国から来たものです」
「よく来てくれたね。さぁさぁ中に入って」
行首は垂れ幕の中へと入っていった。
私はというと、この国を出る三日後まで暇になった。
「さて、何をして時間を潰そうか・・・」
適当に町を散策していると、見たことのある男を見つけた。
「あれは確か、裏ギルドのマッドさん。でもどうして彼がここに・・・」
マッドとは以前、竜の肉の店を嗅ぎまわっていた裏ギルドの男だ。
あれから私が気になって調べたところ、名前がマッドということだけわかった。
「裏ギルドも依頼を受けてこの国に来ているみたいだけど、一体なんの依頼だろう」
私はマッドの後をつけることにした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます