第8話 やるべきこと

「あなた、どうする?」

「ここは俺が何とかする。だからお前はモモコを頼む」

「わかったわ」


お母さんは私を連れて裏口から逃げ出した。


「お父さんはどうなっちゃうの?まさか捕まったりしないよね」

逃げる途中私はお母さんに聞いた。


お父さんのことが気になって仕方がなかった。



「大丈夫。お父さんなら何とかしてくれる。それよりモモコ怪我してるじゃない。お母さんが治してあげるわ」


お母さんは私の傷跡に手をかざした。

「ホワイトヒール」


白い光が現れ、私の傷はあっという間に塞がった。


「えっ!?もしかしてそれって」

「そうよ。これは魔法。今までは隠していたけれど、これでも実は元魔法学校の先生だったのよ」

「そうなの!?」


私は驚きとそしてこの世界に魔法があることに嬉しさを覚えた。


私の以前の知識をもってすれば私はきっと賢者にでもなれるだろう、そう思った。


まあ、本当になるつもりはないけど。



その後私たちは、お母さんの旧友のもとへ向かった。なんでも先生時代の仲らしい。


「彼女は私の唯一の親友であり、信頼できる人なの。きっと私たちを助けてくれるわ」


しかし、結局その親友のもとへ辿り着くことは出来なかった。


突然、目の前に兵士たちが現れたのだ。


「やっと見つけたぞ。こっちがどれだけ探したことか」

バリトン男がそこにはいた。


「まさかお前が本当にあいつの妻だったとはな。よくもあの時は嘘をついてくれた」


私はバリトン男と視線があった。


「こいつが例の子供か。うちの兵士が、人相書きを見て慌てている子供が見かけたっていうから、試しに尾行させたら、まさか本当にここの子供だったとわ。笑える話だ」


お父さんが見つかったのは、私のせいだったの!?

私は視界が真っ暗になった気がした。


「よし、女を連れて行け」

「子供はどうしますか?」

「そいつはその辺に捨てておけ。なんせそいつのおかげで見つけられたんだ。感謝しなくちゃな」


お母さんは兵士に拘束された。


「待ってお母さん!待って!!」私は懸命に叫ぶ。


「お母さんのことは心配しないで。いつかきっとまた会えるから。その時までに強く生きるのよ!!何か困ったらお母さんの親友のもとを訪れなさい!!きっと助けてくれるはずよ!!わかったわね」


「お母さん!!!!!!」


お母さんの後ろ姿が消えると、途端に涙が溢れだした。



この時、私がこの世界に転生してきてやるべきことが決まった。








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