未来への既定路線

 さて今回の話は、前回(UFOが現れるワケ)の続きになります。


 前回、我々が宇宙人と呼んでいる存在は、実は未来人なのではないか? という説を紹介しました。そこで、過去に介入するのは危険だ、といった言葉で締めさせていただきましたが……。


 都市伝説に詳しい方であれば、ここで「あれ?」となったかもしれません。

 そう。だって宇宙人は、否、未来人は現代に干渉してきているのですから。



 アメリカ大統領が彼らとコンタクトを取っている、という話は有名です。


 またさまざまな古代文明や、先住民には、宇宙人らしき者と交流があったことを示す痕跡が多々残っています。


 つまり未来から来た彼らは、訪れた時代の人々と交流しているんです。


 きっと彼らは、我々よりも過去に介入することがどれだけ危険なのかを知っているはず。それなのにどうして――?



 ところでみなさんは、ジョン・タイターという人物をご存じでしょうか?

 2000年にアメリカのネット掲示板に書き込みをした、未来人を名乗る男です。彼は2036年からやって来て、この先起こる様々なことを予言していきました。

 ここでも立派な、過去への介入が行われています。


 しかしタイター曰く、未来の世界線というのはいくつかあるそうです。

 パラレルワールド、似て非なる世界が無数に存在しています。


 ダーウィンの生命の樹を思い浮かべてください。時間というのは、あれと同じです。起点は同じでありながら、進むにつれいくつも枝分かれする。ゾウになるルートもあれば、犬になるルートも存在する。


 人類の歴史も同様で、大きく、あるいは小さく、異なる歩みを進むのです。

 きっと、私がこれを投稿していない時空もあれば、そもそも執筆していない世界もどこかにある。あなたがこれを読んでいない時空もあり得るのです。


 人間1人の行動を取って見ても、歴史というのは何パターンにもブレます。

 それが当たり前なのです。



 ではなぜ未来人は現代に関わりを持つのか?


 答えは1つ。未来を集約するため。


 理想の世界を築くため、と言った方がいいかもしれません。


 歴史には分岐点があります。レバーの操作1つでその先が大きく変わってしまう。


 大袈裟に言うなら、Aコース=戦争が起きないと、Bコース=戦争が勃発の2パターンの未来が存在する。できることならAコースに運びたいですよね。だから未来から来た彼らは、現代人がAコースにポイントを切り替えるよう、密かに誘導するのです。


 そのポイント切り替えを繰り返すことによって、未来は1つに絞られていく。そこで生きる彼らにとっての、理想郷になる。


 それこそが、未来人が現代人にコンタクトを取る理由です。


 全ては彼らの住む世界のために。


 我々はユートピア建造のための歯車にすぎないのかもしれない。


 けれど、だからと言って未来人に反抗してはいけませんよ。理想郷に不要とみなされれば、まずあなたの存在しない世界線を作られるかもしれませんから。

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