第68話 巨人退治2
俺が泡魔法の飽和攻撃で巨人騎士スライムを一体倒している間に、他の六体の巨人騎士スライムが接近していた。
「さすがに大きいだけあって歩幅がでかい。もう近づかれたか。」
俺が独り言を呟く間にも、一体の巨人騎士スライムがその巨大な剣を振り下ろしてくる。
俺は飛行スキルを全速で発動。
斜め前から来た剣撃。俺は真後ろに全速力で下がる。
振り下ろされる剣が大きすぎて、目の前を通りすぎて行くそれが、まるで十階だてのビルのようだ。剣の風圧で、髪が逆立つ。
まだまだ不馴れな飛行スキル。細やかな軌道変化は望むべくもない。ただ、力任せの全速で、避けきる。
俺が後ろに下がったことで、周りの巨大騎士スライムの足が止まり、視線が俺に集中する。
ちらりと江奈の姿が視界によぎる。
(エナさん、俺が倒して開けた前方の隙間に、無事に走り込んでいるね。こいつらが動いているだけで、振動が酷い。飛べないエナさんじゃあ、動くのもきついはずだし。もう少し足止めしときますか。)
六体の巨人騎士スライムたちはてんでバラバラにその剣を俺に向かい振るってくる。
巨大なそれは、四方からビルがぶつかってくるのとほぼ同義。
俺は重力軽減操作スキルと重力加重操作スキルを発動させ、強引に体を地面と水平に倒し、天を向く。
倒れた俺の上下を、それぞれ通りすぎる二振りの巨大な剣。
目の前を通りすぎる大剣に、帯状に発動した酸性の泡を巻き付ける。
その結果を見ずに、体を反転。通りすぎて下の大剣に触れ、重力加重操作をかける。
空中にいる俺は、高速度で横薙ぎされる大剣に触れたことで、回転エネルギーを受けて、横向きにくるくると周り始める。
その回転する俺の横をたて薙ぎされた別の巨大騎士スライムの大剣が、通りすぎる。
その間に、帯状の泡魔法を受けた方の大剣が、泡の触れたところでポカッと二つに別れると、残った先端がくるくると周りながら飛んでいく。
その先には、別の巨大騎士スライム。先端はそのまま巨大騎士スライムにめり込み、その質量と加速を持ってして、刺さった巨大騎士スライムを吹き飛ばす。
剣に重力加重操作を受けた巨大騎士スライムは、突然重くなった大剣につられ、姿勢を崩す。
そしてそのまま周りの巨大騎士スライムを巻き込み、倒れ込む。
俺は回転を活かしたまま、泡魔法の泡を多方向に放射する。
いまだに立ったままの巨大騎士スライムたちの足元を狙う。
次々に足に打ち込まれた泡が、巨大騎士スライムたちの足を喰らい、さらさらとしたものに変えていく。
六体いた巨大騎士スライムたちは、この一瞬ですべて地に伏せていた。
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