三章 見染められた少女

二章のあらすじ

〜これまでのあらすじ〜

 調査隊に参画する条件としてシャナンは砦に巣食うゴブリン族の討伐を提示される。


 討伐隊に一緒に参加するディークと一悶着あったが、トーマスの毅然とした態度で信頼を得ることに成功したシャナンは無事に討伐隊を編成する。


 砦ではゴブリン族の猛攻をシャナンの”威圧“と”明日への希望“で撃退し、無事に討伐完了かに見えたが、砦の地下にはゴブリン族でなく魔物”脳吸い“が潜んでいた。


 古い砦の地下で魔物“脳吸い”に襲われたシャナンたちを逃すべくサラは単身立ち向かう。サラは自身の真のクラス“理知者(ワンダラー)”の能力を解放して脳吸いを圧倒する。

 だが、ふとした油断から形勢が逆転して敗れてしまう。


 一方、地下から逃げる途中で魔物“赤帽子(レッドキャップ)”に襲われ、シャナンたちは窮地に陥る。何とか切り抜けたと思った矢先に脳吸いがシャナンたちに追いつき絶体絶命の危機を迎える。


 次々と倒れる仲間を置いて逃げるシャナンに脳吸いが追いすがり、シャナンの命を奪おうとする。


 だが、その瞬間にシャナンのスキル“猟奇”が発動して……


〜登場人物〜

“勇者” シャナン

 召喚されし勇者の少女。心根が優しく争いごとがあまり好きではない。勇者特有のスキルを幾つか持つ。その殆どは少女の思いと反する凶悪さを持つ。


”組合の魔法使い“ サラ

 冒険者組合の魔法使いの一人。補助魔法が得意。真のクラスは上位十クラスの理知者(ワンダラー)。魔法を使ってムキムキになる。


”重戦士“ トーマス

 四人の供回りのリーダー格。理想に燃える若者。シャナンのためなら、その身を惜しまない。


”魔法剣士“ ルディ

 口が悪く思慮が浅そうに見えるが、魔法と剣を両方扱える万能な魔法剣士。騎士道とは無縁な喧嘩殺法を用いる。


”弓使い“ セシル

 元冒険者の娘。冒険者時代の経験から他の冒険者をよく思っていない。四人の供回りの中で一番戦闘経験がある。


”魔法使い“ カタリナ

 元文官の魔法使い。炎の魔法以外に精神に異常を来す魔法も使用できる。


”経験豊富な剣闘士 ディーク

 オカバコの街の冒険者。”おじさん“呼ばわりされることを嫌う。剣以外に戦棍も使う。脳吸いの生き餌として捉えられる。


”斧戦士“ ユミル、“斥候” ジュリアン

 ディークの仲間。ユミルは脳吸いにやられて死亡


“脳吸い” ルサッルカ

 砦に巣食う魔物。ゴブリン族や赤帽子レッドキャップを操る。覚醒したシャナンにいたぶられた挙句に惨殺される。


”組合長“ ジェガン

 冒険者組合の組合長。厳つい見た目とは裏腹に結構いい人。シャナンを気に入っている。


〜用語〜

“古砦”

 オカバコの街近くにある古い砦。ゴブリン族が巣食う。


“ゴブリン族”

 魔物の一種。古い砦や洞窟に潜み集団で人を襲う。


“オカバコの街”

 交通の要所で流通で栄えている街。近くに初心者向けのフォレストダンジョンがある。


“フォレストダンジョン”

 初心者向けのダンジョン


“勇者”

 異世界から召喚された強力な能力を持つ人間


“魔族”

 魔王の眷属。一族の仇には執念深く復讐する。


“魔物”

 魔族とは別種の生命体。人間に友好的な者もいるが、多くは魔族と同じく人間と敵対する。


“スキル”

 個人が持つ特性


”魔法“

 世界の理の力を使って放つ超常現象


”魔法触媒“

 魔法効果を増幅する道具


〜スキル〜

”明日への希望“

 シャナンが持つ勇者のスキル


“威圧”

 シャナンが持つ相手に恐怖を引き起こすスキル


”明日への絶望“

 シャナンが持つ絶望を引き起こすスキル


〜魔法〜

”看破(ペネトレーション)“

 相手の隠された能力や正体を見破る魔法


”分析(アナライズ)“

 相手の能力を調べる魔法。意図的に隠された能力は調べられない。


”火焔(ファイア)“

 火焔を放つ魔法。魔法触媒が無ければ効果は薄い。


“隠密(スニーク)”

 気配を消し相手の注意を阻害する魔法


“回復(ヒール)”

 身体の外傷を治す魔法。使われた相手は栄養不足のため空腹感を覚える。


“異物除去(クリアランス)”

 体内に入った異物を取り除く魔法


“取引魔法(ディーリングマジック)”

 自らの身体を掛け値にして相手に制約を仕掛ける誓約の魔法。強敵相手に用いる場合が殆どだが、稀に相手をいたぶるために使用する。

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