「ちゃんと休むことも大切じゃない? 」
「ちゃんと休むことも大切じゃない? 」
俺は自分が乳の事しか考えていなかった事を悟られないように、ありきたりな事しかいえない。
さっきまで浮かれていた自分が恥ずかしい。
反省しなければならないな。
「そうですね、そろそろ寝ようかな」
そう言いつつも戻ろうとしないよつば。
何か…… 言いたい事でもあるのか? なんとなく俺の様子を伺っているようだ。
チラチラと俺の顔を見ては何かを言いたそうにしているが言葉が出ない。
これはあれだな、告白されるな!
学校の屋上とか校舎の裏とか使われてない教室とかであるイベントか。
てか、学校の屋上も校舎の裏もカツアゲでもされそうな場所だな。
俺は今からカツアゲされるの?
まぁこの雰囲気。それはない。
俺は鈍感系ラッキースケベ盛りのハーレム主人公ではない。
とても鋭いのだ。
よし。
「よつば」
「は、はい? 」
俺は持てうる最大限の真面目な顔をする。
角度によっては……
見方によっては……
光の加減で……
加工すれば……
イケメンに見えるかもしれない。
イケメンじゃなくとも真剣な顔は伝わるはずだ。
「おっぱい揉ませてくれ」
「はぁぁああ!? 」
「おっぱい揉ませてくれ」
大切な事だから何度でも言おう
「なんでですか! なんでなんですか! バカアホ!! 」
「おっぱい揉ませてくれ」
「そもそもなんで揉ませないといけないんですか! 」
「なんで!? 約束したじゃん!! 」
「約束?? 」
うーん? と首をかしげるよつば。 本当に覚えてないのか?
しばらくすると思い出したのか あっ! と頭にピコーン! と電球が灯ったのがわかる。
これは思い出したな。
「思い出せません! 」
「嘘つくな! 明らかに思い出した顔しただろ!! 」
なんてこと言い出すんだ。
約束を破るなんて最低だぞ。
聖神の
こいつは嘘つきの悪いヤツなんです。
「あの時は先輩が死んじゃうと思ったんだもん!! 生きてるから無効ですよ!! 」
「え!? 何それ! 死んでたら揉んでよかったって事!? 」
「そうです! 死んでください!! 」
この娘怖い!! 警察呼んで!! 聖神もこんな殺人鬼寵愛すんなよ!!
「そもそも先輩会社の同僚には手を出さない! って言ってたじゃないですか! 」
「ここ会社か!? どこだよここ!! 」
「先輩としてはもう私は会社の同僚じゃないって事ですか? 」
「その会社がこの世界にないしな! 」
よつばは少し考えているようだったが俺と目が合うとスッと横を向く。
髪の毛先をクルクルといじる。
「うるさいゾ!! こんな夜中に何やってるんじゃ!!」
げえ! クローディア!
なんやかんや、うやむやにされ部屋に戻ったが俺は諦めていない。
よつばも俺が諦めてない事くらいわかっているだろう。
揉むだけじゃなくパンツとブラもセットだしな。
それでもまぁ仕方ない。
明日の訓練に備えて寝る事にした。
=====
翌日。
午前中からそれぞれの仕事をこなした。
よつばは教会のお手伝いを、俺は子供たちへの算術指導。
ナルシッソスは教会の掃除や買出し等、雑務を引き受けてくれている。
クローディア?
あいつはココの散歩に行った。
始めはよつばと一緒にママの手伝いをしていたのだが、知らない誰かがくる度に
「わらわはクローディア・ボトルフィット!! 」
と名乗りをあげるもんだから邪魔だったらしい。
怪我人や病人もくるしな。
あいつに治療は向いてない。
子供たちの算術指導は順調だ。
すでに俺を先生と崇める意識改革は終わっているからあえて『指導者』のスキル、
『アテンション』を使う意味もなかったが、たまに使ってみた。
発動させる事に成功すると、ちょっと余所見をしていた子もすぐに俺のほうを向く。
『アテンション』を受けたほうは、どういう感覚なんだろう?
何度か使っているうちに『アテンション』の使い方はわかった。まぁ指導ぐらいにしか使い道はないがいいだろう。
今度はいつ戻ってくるかわからない。
足し算・引き算は覚えたのでこれで普通の生活には困らないだろう。
子供たちには自主的に意識して計算をする事を伝えて本日の授業を終えた。
午後。ママとナルシッソスから武器の訓練を受ける。
クローディアも一緒だ。
クローディアはそもそも腕力がとても低いため武器の扱いに向いてない。
短剣の使い方、杖を使った棒術の使い方をナルシッソスから教わる事となった。
「わらわは魔術だけでいいのじゃ!! 」
とか言い出すかと思ったが案外素直に聞いた。
魔術の無くなった魔術師など雑魚の
俺は相変わらず槍を、よつばは弓の訓練をする。
基本動作の確認、それから守り方を中心に指導を受けた。
同じ槍を持っているのに、ママが槍を持つと空気が変わる。
強者の雰囲気、とでもいうのだろうか。
ピリッするんだよな。惚れ直しちゃう。
「陽介さん…… ちゃんと見てますか?」
見てますとも。
足運びを中心に。
スリットから見える生足を。
槍の訓練が終わった後、俺は短剣の使い方をよつばと一緒にナルシッソスに教わる。
せっかく『身体変化』で作れるしな。
短剣形状は使いそうだし、覚えておいて損は無い。
俺はママから短剣を借りずに自分で左手を『身体変化』させる。
「え!? 陽介さん!? 」
「え? どうしました? 」
「その手!! 」
あ、そういえばママにオセの事を話していなかった。
なんとなく聖神を信仰しているママと、魔神のオセ。
相性が悪そうで言いにくかったんだよな。
悪魔め! ここから出ていけ! とか
結婚の話はなかった事にします! とか言われたらもう生きていけない。
言っても大丈夫かな……
よつばを見ると目が合う。
よつばもなんとなく雰囲気を察しているのか、言いづらそうだ。
『身体変化』見せちゃったしな。言うか。
「実は、私の中に『魔神オセ』がいるんです……」
「ど、どういう事ですか!? 」
言いづらいが仕方ない。
俺は魔神オセ召喚の話をした。
ママは真剣に話を聞いてくれたが、話を聞き終わった時
「そうなんですか、大変な事になってたんですね。 魔の咆哮の方々が心配です」
おや? 聖と魔って仲悪そうだけど…
〈別にそんなことはないぞ〉
オセ! そうなの? なんか敵対してそうじゃない?
〈なぜだ? 『魔』も『聖』も同じ魔神だ〉
そうなの!? なら分けなくていいじゃん!!
〈分けて考えているのはこの世界の者だ〉
そうなのか。
「ママ、私はここに居てもいいんですか? 」
「はい? もちろんいいですよ? 」
「魔と聖、仲が悪いかと思いまして……」
「そんな事はないですよ。安心してください。それにしても魔神様が体の中にいらっしゃるなんてすごいですね」
「魔力がないのでたいした事はできないんですよ。 出来る事の一つが『身体変化』です」
俺は左手の短剣をママに見せる。
「すごいですね。 魔神様の短剣……」
ママが俺の短剣を見てうっとりしてる。
俺の下半身に変えてやろうか?
「先輩! 早く訓練しましょうよ!! 」
よつばが俺のあやしい雰囲気を察知したのか話題を変えてくる。
まぁそうだな。訓練しよう。
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