霧島連山・高千穂峰で死にそうになった件(10)

私の旅行は、時々、「なんで私こんなところでこんなことしてるのか??」と疑問を感じるシチュエーションが起こる(or自ら起こしている)。「生きて帰る」ことを目標に掲げる観光なんて、どう考えてもおかしい。。。

でも、そう疑問を抱く時は、すでにのっぴきならないシチュエーションになっていて、自分でもどうしようもない感じなのです。これがどう仕組まれてるのか、私にも今もってよくわかりません!!(単なる自業自得とも言えるが。。。)


テストに出るので…いや、素人なのに今後ここに行こうとしてる人がいたら無事に生還するために覚えておいた方がいいと思うのだけど、高千穂峰登山は、上りは一時間半、下りは一時間、合計でも3時間見ておけば余裕が持てる、と言われる行程だった。

そして、女性でも簡単に登れる初心者向きという触れ込みの山。


が、今ネットで見ると、「標高は韓国岳より低いが急な斜面と石が大量に転がっているため、霧島連山中登山するのに最も苦労する」と書いてあるじゃあ、あーりませんか!

どこが初心者向きなのか。。。

しかも、こちとらなのに。


全行程終了後に見ると、木村さんも巻き込んで私たちはたっぷり4時間かかっていた。ひとえに、わたくしのせいです。


でも、なんとかバスには間に合った。


バスの中で、木村さんは既婚だけど、山登りや旅行はほとんど一人で出かけている、などの話を聞く。しかもこの日、朝早くにすでに別の山に登ってきてて、高千穂峰は二つ目だったと言う。

なんだこの人! バケモノ!?

私はこんなに息も絶え絶えに死にそうになってるのに、木村さんにとってはやっぱり大した山じゃないらしい。


とにかく、彼がいてくれて、私は無事生還できたようなものだ。何度お礼を言っても足りない。なので、住所や名前を聞いて、私はお礼の品を送らせていただくことにした。木村さんとは、今でも年賀状のやり取りをしている。


木村さんは、今夜は鹿児島市内で知人と飲む予定で、その前にこのバスルートの途中にあるなんとかいう神社を見たいと言う。私はくまモンに会いに熊本に行くため、ホテルから荷物を引き取って急いで新幹線に乗らなくてはならない。

というわけで、木村さんだけ神社のバス停で降りていった。


命を救っていただいて(?)、本当にありがとうございました、と、歩いていく木村さんに深々と頭を下げたわたくしでした。


その後、駅でバスを降りると、極度の疲労と筋肉痛と尾てい骨の痛みで、私はヨチヨチ歩きでお昼を買えそうなところを探した。農協系のスーパーだったか、そんなようなところを見つけ、食欲もないのでカンタンにお腹に流し込めて、やさしい感じのものがいいと思い、カップ麺を買ってお湯を入れてもらった。

そして外に出て、かつて足湯を楽しむ場だったらしい枯れた水場の縁に腰をかけて、カップ麺をすすった。


歩くたびに激痛の体を引きずって、なんとか新幹線にも乗り込めた。

車内で靴を脱いでいたら、あまりの足のむくみで、下りる時に靴が履けなくなった。しかも、筋肉痛と尾てい骨の激痛で、シートから立てない。疲れ果て、もうこれ以上絞れないボロ雑巾のようだった。


以上が、霧島連山・高千穂峰で死にそうになった件の全容です。


ヤワな都市生活者の皆さん、あなたは間違ってもですらありません。

初心者未満、素人です。(日常生活においてさえもヤワヤワのひ弱モノだった私はなおさら)。

観光気分で山に登るのはやめましょう! それはというものです。

少なくとも、1〜2カ月、トレーニングしてから行くこと。(ここ、マジでテストに出るよ〜!)


ということを、自戒を込めて、愛を込めて、お伝えします。


※これは2014年当時の話で、登山道が今どうなっているかはわかりません。

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