第10話「結局、一番怖いのは幽霊よりチンピラなんですよ」
里帰りするはずだった恵子……ケイトが姿を消したと、ティートさんは口にした。
「えっ?」
恵子がリビングデッドだったのもびっくりだけど、その上姿を消した……って、どういうこと?ㅤ状況がさっぱり呑み込めない。
「この……無線じゃないね、なんだっけ、これ」
「スマートフォンよ。アンタ、いつまで1940年代気分なのよ」
アマンダさんが呆れたように突っ込む。意図せず、ざっくり生きてた年代が把握できてしまった。
そっか、スマートフォンは最近の技術だもんね。20世紀を生きたおじ様は見慣れないんだ。……うーん、どうやって調達したんだろうか……。
「そうそう、このスマートフォンだけが見つかったって、晴明が言ってたんだ」
……ん?ㅤこの流れは、なんだろう、すごくまずい予感がする。
アマンダさんがイライラしているのが嫌でも伝わる。……も、もしかして……
「えっと……もしかして、私……疑われてます?」
「まあ……少なくとも、アマデオは疑ってるみたいだね」
苦笑するティートさん。その隣で、アマンダさんが大きく舌打ちをした。
ダンッとヒールが地面を踏み鳴らし、アマンダさんはこちらを睨む。そのまま彼……彼女……彼?は、焼けただれた隻眼と顔半分をあらわにした。
コキコキと首を鳴らして上着を脱ぎ、赤いノースリーブのワンピース姿になる。……月と生首のタトゥーが、よく鍛えられた二の腕に彫られている。
あ、これ凄まれてるんだ。怖っ。ホラー的な方向じゃなくて普通に怖っ。
「おうおうおうとぼけてんじゃねぇぞ小娘がァ!ㅤこのアマデオ・レッジ、ならず者でも仲間への義理立ては忘れねぇ!ㅤ洗いざらい吐いてもらおうじゃねぇか、あ゛ァン!?」
「ひえええええええっ」
人生最大の恐怖、未だ更新中です。
うわぁぁあん、誰か助けてぇええ……。
なんて、泣き出しそうになった瞬間、
「アマデオ、落ち着きなさい。素が出ているよ」
ティートさんの声で、アマデオ……アマンダ……アマデオさん?はハッと我に返った。
ありがとうティートさん!!ㅤまた助けて貰っちゃった!!ㅤほんと好き!!!!!
「……あ、あら、ごめんなさい。ついカッとなっちゃったわ。巻舌まで使っちゃって……」
そうだね。アマデオ・ルェッッジみたいになってたね。
怖かった…………。マフィアに凄まれたせいで、カタコンベの涼しさがすっかり寒さに変わっちゃってる。鳥肌が止まらない。
「あと、アマデオじゃないわ。アマンダよ」
「さっき自分でアマデオって名乗ったじゃないか」
「あ、あれはノリよ!!ㅤノリ!!」
何はともあれ、ティートさんありがとう。
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