第6話 「パクリ?ㅤいいえ、パロディです」

 結論から言うと、紅哉ちゃんと朱音ちゃんはすぐにカバンを探してきてくれました。


「よ、よし、何して遊ぶ!?」


 どうか、お前のはらわたを寄越せ!ㅤとか言われませんように……。脳みそかもしれないけど……


「ボール遊びしよう」

「アリエッティの首で」

「アンリだ。……って、えええ!?ㅤ繋がったばかりなのに!?」


 良かったー。私じゃなかったー。

 また首の断面見るのは嫌だけど……。


「酔うからやめてくれ!!ㅤボールならフィリップにでも貰ってくるぞ!!」

「えー、重いのがいい」

「人間の頭部は平均して5キロ。それくらいがいい」

フィリップあの筋肉ならそれくらいのボールを持っている!!ㅤ間違いない!」


 ちらちらと私を見るアンリくん。

 助け舟……出すしかないかな。首の断面見るの嫌だし。


「そうだね。ボウリングでも、それくらいの球投げるしね……!ㅤん?ㅤボウリングって、首を投げてるのと同じ感じになるの……?」


 ついでに嫌なことにも気付いてしまった……。



 ***



 そんなこんなで、私とアンリくんは首の代わりに遊べるボールを貰いに行くことになりました。


「変なことに付き合わせてしまって、申し訳ない……」

「気にしないでアンリくん。むしろ、巻き込まれてるのはアンリくんの方だし……」


 辿り着いたのは、「殺人チェス道場」と看板が下がっている廃病院だった。


 どうしよう、帰ろうかな。


「フィリップを呼ぶには合言葉えいしょうがいる」

「それ、もしかして召喚とか儀式とか言わない……?」


 そもそも「殺人チェス」って何?

 ハリー・ポッ○ーでやってたアレみたいなやつ?


「まあ見ていたまえ」


 アンリくんは深呼吸して、


「滲み出す混濁の紋章

 不遜なる狂気の器

 湧き上がり・否定し・痺れ・瞬き 眠りを妨げる」


 と、唱え始めた。なぜか、さっきよりもキリッとしたかっこいい声で。

 どこかで聞き覚えがある。というか、本当に召喚魔術っぽくなってきた。ドラゴン的なのが出てきそうな……。


「爬行する鉄の王女

 絶えず自壊する泥の人形

 結合せよ 反発せよ」


 ……と、別の声が重なる。こ、これが、フィリップという人の声……?

 それに、この呪文、やっぱりどこかで……


「「地に満ち 己の無力を知れ

 破道の九十 「黒棺」」」

「だから!!!ㅤコレ著作権の限界にチャレンジする作風じゃないからァ!!」


 あれ?ㅤ私は何を叫んでるんだろう。

 恐怖でおかしくなっちゃったのかな……。


「どうしたアンリ、何か困り事かい?ㅤHAHAHA、心配しなくていい。大抵のことは筋肉が解決するんだからねぇ!」


 ……と、何故か白衣のそでを破り捨て、ムキムキの上腕二頭筋を見せつける褐色肌の男前が現れた。

 うん、帰ろうかな。帰らせて欲しいなー!!

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