第2話

銀の破壊者の余生



僕の名前は『鬼ヶ島おにがしま 鉄也てつや』。


現在、高校1年生。


過去に国を裏側から守る為の組織『国守護者くにしゅごしゃ』に所属して『ぎん破壊者はかいしゃ』という二つ名を付けられたって事とちょっとした能力が使える事を除けばただのどこにでもいる平凡な学生だ。


鉄也

「高校生になって早1ヶ月。時の流れは早いなぁ。」


花音

「鉄也、そんな爺さんみたいな事を言うなよ。シャキッとしろ。」


そう僕に語りかけるのは『鬼ヶ島おにがしま 花音かのん』。


僕の血の繋がりのない姉だ。


僕は『姉さん』と呼んでいる。


『血の繋がりのない姉』ってどういう事かと言うと僕は昔、奴隷として売り飛ばされた事があった。


僕が奴隷として売り飛ばされたのが5歳の時だったかな。


それから5歳なのに強制労働とかさせたらていた。


僕は他の奴隷の5歳児より力が強かったのとやたら身体がタフだったのでなんとか生き延びられていた。


たまに偉そうな奴が現れて僕を拳や鞭、棍棒を使って暴行をしてきたが、僕の身体はどういう事かやたらと頑丈だったので拳で殴られた時は逆に殴った奴の手の骨が折れ、鞭で叩かれた時は鞭が壊れ、棍棒で殴られた時は棍棒が折れた。


ちなみに僕は無傷。


まぁ、暴力はなんてことなかったけど、食事抜きにされた時はキツかったなぁ。


そんな生活が5年続いた時に僕を救ってくれたのは、姉さんだった。


姉さんは当時12歳だった。


姉さんは能力の扱いや戦闘の天才で10歳という若さで、『国守護者くにしゅごしゃ』の戦闘部隊の戦闘員として活躍していたらしい。


姉さんは僕に対して『行き場がないなら付いて来い。』と言って僕をお姫様抱っこしてその場から連れ出してくれた。


そして、僕はそのまま姉さんに引き取られた。


その後、姉さんに勉強を教えてもらい生活し、姉さんの仕事を手伝う事になり、そして様々な敵と戦う日々だった。


そんなある日、姉さんが17歳(高校2年生)、僕が15歳(僕は姉のおかげで学校に通う事ができ、中学3年生になっていた)の時に姉さんは『私は国守護者を辞める。だからお前も一緒に辞めろ。』と言ってきたのだ。


僕が『国守護者くにしゅごしゃ』に所属したのは姉さんへの恩返しのつもりだったのと僕を救い出してくれた姉さんを護りたいから所属していた。


だからその話を了承して、僕は姉さんと一緒に『国守護者』を脱退したのだ。


そして現在にいたる。


花音

「?どうした?私の顔なんか見て?」


鉄也

「いえ。今日も可愛い顔だなって思っただけですよ。」


花音

「世辞でも嬉しいぜ。ありがとうな。」


鉄也

「別にお世辞ではないんだけど。」


姉さんは黒髪のショートカットで可愛らしい顔をしている。


そして、以前にちょっとしたハプニングで僕は姉さんの裸を見てしまった事があるから知っているのだけど…。


…姉さんは着痩せするタイプで胸は大きい方だった…。


姉さんは可愛い顔をしているため男子からは結構モテるし女子からもかなり人気がある。


花音

「それよりお前も高校生か。そして、私は大学を受験するための時期になっちまったなぁ。」


鉄也

「そうですね。」


花音

「なぁ。鉄也。お前は今、幸せか?今、楽しいか?」


鉄也

「?どうしたんですか?いきなり。」


花音

「いや、急に気になってな。」


鉄也

「楽しくなかったらこうやって一緒にはいませんよ。」


花音

「そっか。」


姉さんとの暮らしは幸せだ。


学の無い僕に理解出来るようにわかりやすく勉強を教えてもらい、鍛えてもらい、一緒に出掛けて遊んだり、一緒に笑い合ってくれる。


国守護者くにしゅごしゃ』として働いていた時は辛い事もあったし、悲しい事もあったけど、姉さんと一緒にいたから乗り越えて来れた。


そして姉さんは誰よりも何よりも僕を大切にしてくれている。


だから僕は幸せ者だ。

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