ハルヒ短編集(一話完結)

むーらん

2019年5月27日『赤面』

 朝比奈さんが自発的にメイド衣装に着替えるようになったため、部室で服をひん剥かれることが無くなったなぁなどと思っていたところ、ふいに思いついたので古泉に話を振ってみた。


「なあ古泉。ハルヒの奴って頭のネジが外れてるけど、羞恥心とかどうなっているんだと思う?」


 ちなみにハルヒは掃除当番のため現在部室にいない。たとえ居ても別段気にしないような気もするし、拳がとんでくるような気もする。


「羞恥心ですか?」


 そういいつつ古泉がポットからお茶を汲もうとしていたので手で制した。朝比奈さんが淹れたお茶ならともかく、お前が淹れた茶などこの暑さの中飲めるわけないだろう。


「当然あると思いますよ。涼宮さんはエキセントリックではありますが、常識のある一人の女子高生ですからね」


 常識ねぇ。お前の頭の中の常識は枠線が広すぎるとしか思えんな。


「どうでしょうかね。仮に、涼宮さんがまったくの羞恥心を持ち合わせていないと考える方がどうかしていると思いますよ。旧約聖書によれば、アダムとイブは禁断の果実を口にしたことで羞恥心を覚えてしまい、それをもってエデンの園から追放されたといわれています。逆説的に、禁断の果実を食べなかった存在は羞恥心を持たず、人間よりも神に近い存在と言えるかと思いますが、涼宮さんがそのような方だとは僕は思っていませんね」


 分かるような分からんような。古泉は簡単に言えばですねと答えた。


「涼宮さんが顔を真っ赤にして目をそらしているのを想像してみてください」


 激怒してるわけではなくか?ハルヒがねぇ…。いや、想像できない。見かけたとしたらまず世界改変を疑う。


「ふむ、ではこうしましょう。涼宮さんが朝比奈さんを無理やり着替えさせているとしてください」


 何度も見た光景だからそれなら簡単に…止めろよなとは思うが、まあ思い浮かぶな。


「その配役を逆にしてみてください」


 配役を…逆に?朝比奈さんに服を引っぺがされて涙目のハルヒ?


「そうです」


 朝比奈さんに耳をかじられて赤面しているハルヒ?


「いい調子です」


 朝比奈さんに「おくれてごっめーん!」襲われているハルヒ?




「はぁ!!!!!!このエロキョン!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


 俺は目の前にいた赤面するハルヒにぶん殴られた。

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