TALK WITH Shadow
塚野 夜行
第1話
人間、というか動物というのはどうしても動いているものや周りとどこか違うものに惹かれてしまうようで、これを聞いている皆様方も今日を思い返せば「確かにそうだ」と言える経験をしたことがあるだろう。かくいう私もそれをライブ感満載で体験中である。
最初に気付いたのは2週間前のこと、大学の講義が終わり、座っていた時間の反動で友人と終電近くまで遊んだ真夜中のことであった。いやはや自分のアンテナの受信性能に感心するばかりだ。
政治の大ニュースを号外新聞でばらまく新聞社員のように、誰かが不意に現れては初夏の訪れをまき散らした暑い暑い夜。私は早くクーラーのきいた自宅に帰りたい一心で、急ぎ足で駅前の広場を通り過ぎた時。
そこにある噴水の池のへりに柴犬が飼い主も連れずに、迷っている様子もなく堂々と1匹で置物のように座っていた。飼い主がいるとしたらとっくに帰っているような時間帯にも関わらず、そう大したことでもなさそうな息遣いで辺りを見回している。忠犬……にしては少々間の抜けた表情だ。
変わった犬もいるものだ。こういうのが動画でどこかのSNSに投稿されるのだろう。それに対する第一印象はそのような風に漂う綿毛のようなものであった。
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