第2章詩はこころのおやつだったりくすりだったり

海乃もくず

抱きしめて

ねえ 私がドアを背にして立ってたら

後ろから抱きしめて


ねえ 私が鏡の前でリップ塗ってたら

知らないフリするから抱きしめて


ねえ 私がベッドのなかで夢見てたら

それがあなたの夢でも抱きしめて


もし骨が折れるほど抱きしめられても

それは覚悟の上なの

空気が入る隙間も無くなるほど強く

誰かの手が割り込めないほど強く

抱きしめて



あなたの抱き方が

私の一番の好みだから


ねえ そんなことありえないけど

私が誰かに揺らいだら

真正面から抱きしめて


ねえ 私が家に閉じこもりすぎてたら

外へ引っ張り出して

緑のなかで抱きしめて


ねえ 私が病気になったら

熱が上がってもいいから抱きしめて


いつだってあなたに抱かれると感じる


ねえ 私が夢中でおしゃべりしてたら

あなたに気がつくよう抱きしめて


ねえ 私が夜遅くまで起きてたら

目が腫れないように抱きしめて


ねえ 私が泣いていたら

あなた一晩中抱きしめて


あなたは抱きしめてくれさえすればいい

私があなたにキスをする


だからねえ 抱きしめて



s600407



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